講義科目・内容

医療イノベーション特論II 「企業における研究開発のイメージを醸成する」

科目番号 科目名・単位数・英訳 担当教官氏名 令和7年度
開講
学期 曜日 時間 講義室
47240-49 医療イノベーション特論 II
Advanced Lecture on Biomedical Innovation II
加納 信吾 A1A2 集中 集中 柏/
白金

<主題と目標>
企業における研究開発のイメージを醸成する:
研究成果を社会に展開するために必要となる「企業の研究開発活動のイメージ」を獲得するため、@企業における研究開発について現場の一線の研究者の話を聞く(研究開発の現場を知るための半日集中セミナー)、A自ら主導的に課題を解決していく手段としてのベンチャー企業設立のため知識と考え方の取得のための演習(1日集中)、の2つの側面からアプローチする。起業のための予備知識は、企業に就職してもアカデミアに就職しても必要であり、大学院生の段階で簡単なシミュレーションを経験しておくことが将来の備えとなる。
The program is composed of three units to cultivate the capabilities for leadership, team working and communication to solve the issues based on the fresh view points and ideas.
 1. Learning R&D Activities in Real World
 2. Start-up design

<担当講師>
加納 信吾(メディカル情報生命専攻 バイオイノベーション政策分野 教授)
黒石 真史(ウォーターベインパートナーズ代表取締役・非常勤講師)
この他外部から講師を招く。

<学期・講義室>
演習:白金台:医科研2号館2階大講義室(終日の集中演習なので柏・本郷の学生も白金で実施)
   https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam04_01_09_j.html
セミナー:zoomにてバーチャルに実施

〇2025年11月26日(水) スタートアップ企業のデザイン(講師:黒石 真史)
課題となるストーリーは、大学発ベンチャー企業の設立直前の状況から始まる。登場人物は、発明者である教授、支援するベンチャーキャピタル、新規事業の経験のある大手製薬企業の担当者、事業の将来性と課題を指摘する周辺のエキスパート・・・。どのように役割を分担し、組織をデザインし、事業計画と資金調達計画を立案するのか、一連の手続きと方法論を体験することで、将来、ベンチャー企業を設立する機会が訪れた時に備える。経験と期待値、役割分担を考えながら人事を構想し、内外から人的資源や研究開発資源を調達していくための議論は、大学院生の日常からは隔絶した視点を要求することになるが、これまでの経験では問題なくロールプレイできている。グループワークを基本とした作業により、アイデアを交換しながら構想を練ること、比較的短い時間の中でもチームの中で議論を収束させていくこと、等のトレーニングも兼ねている。講師は大学発バイオベンチャーの設立に20年間関与してきた経験豊富なベンチャーキャピタストであり、演習の参加者をより実践的な課題解決へと導いていく。

【2限 10:25-11:55】「創薬ベンチャーの起業」 ケース紹介と演習@(ヒトの配置と機能)
【3限 13:15-14:45】事業化のプロセスと海外ベンチャーのケーススタディ
【4限 15:10-16:40】資金調達のデザインと演習A(資金調達)
【5限 17:05-18:35】事業展開シナリオの検討と演習B(シナリオ)

〇2025年12月3日(水) 研究開発の現場を知る 13:15-17:00
ライフサイエンス系の学生にとっての職業選択の幅は想像しているよりも広い。研究開発の現場では、今何が語られているか、どんな将来が描かれているのか、就活の前に、現場の声を聞いてみよう。未来のデザイ ンとキャリアデザインの両方を考えるためのセミナー。新領域生命系では、博士課程学生を対象にした、社会実装に直結した生命データサイエンティストを育成する「生命データサイエンス人材育成教育プログラム (DSTEP)」を開始し、その詳細な説明も行います。進学か、就職かの2択問題に入る前に必要な情報を得ておいてほしい。

※ 過去の「研究開発の現場を知る」セミナー
 研究開発の現場を知る2016
 研究開発の現場を知る2017
 研究開発の現場を知る2018
 研究開発の現場を知る2019
 研究開発の現場を知る2020
 研究開発の現場を知る2021
 研究開発の現場を知る2022
 研究開発の現場を知る2023
 研究開発の現場を知る2024
 研究開発の現場を知る2025

2025年度のプログラム
司会:加納 信吾 (東大・新領域・メディカル情報生命専攻 教授)
13:15〜13:20 「イントロダクション」
13:20〜13:40 「生命系博士課程のデータサイエンス教育:DSTEP」
       講師:関  真秀 (東大・新領域・メディカル情報生命専攻 特任准教授)
13:40〜14:10 「創薬を支えるベンチャーキャピタルの役割 ― グローバルの視点から」
       講師:芦田 広樹 (Eight Roads Ventures Japan, Principal)
       [CBMS-OB/2012D卒]
14:10〜14:40 「革新的な医薬品等の有する多面的な価値を巡る製薬企業のアプローチ」
       講師:筒江 紗耶 (Johnson and Johnson Innovative Medicine, (Janssen Pharma)
       Japan, Head, Value, Evidence & Access)[CBMS-OG/2021D卒]
14:40〜15:10 「医療DXをちょっと身近に ― 公的データ活用のリアル事例」
       講師:沖田 崚 (株式会社NTTデータ 第四公共事業本部 ヘルスケア事業部 主任
       [化学生命工学専攻/2018M卒]
15:10〜15:25 休憩
15:25〜15:55 「科学・技術を世界へつなぐ翻訳者 ― 農林水産・食品分野の国際標準化」
       講師:清家 嘉恵 (農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 食品製造課 基準認証室)
       [先端生命科学専攻-OG/2021M卒]
15:55〜16:25 「オープンイノベーション幻想? 霞が関と大学の2つの視点」
       講師:加藤 二子 東京科学大学 医療イノベーション機構 特任准教授/経済産業省)
16:25〜16:55 「製薬企業の細胞治療・遺伝子治療への取り組み 開発経験から」
       講師:冨永 俊輔 (Novartis, Head, Neuroscience/Gene Therapeutics &
       Medical Devices/Precision Medicine, Regulatory Affairs Japan)
       [CBMS-OB/2025D卒]
16:55〜17:25 「Google "for" Healthが目指すヘルスケアデータプラットフォーム」
       講師:Ferenc Kazinczi (Google for Health, Regulatory Affairs Specialist)
18:00〜19:00 「懇親会」(講師〜学生間情報交換会。OB/OGも参加)@医科研2号館2階小講義室


スタートアップ企業のデザイン 演習風景@

スタートアップ企業のデザイン 演習風景A

<成績評価方法>
(1)セミナーへの出席(40%)
(2)演習への参加と発表(60%)
演習に参加した者には、出席点を与えるが、評点は発表内容による。

<教科書・参考書等>
必須図書
講師の配布マテリアル(メールによる配布も含む。)

<受講に関する要件等>
なし