第5回「イスラームの生命倫理における初期胚の問題」

中東イスラーム世界セミナー「中東の思想と社会を読み解く」実施報告

日時:2013年7月13日(土)15:30-17:00
場所:駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
講師:青柳かおる(新潟大学人文学部人文学科准教授)
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 2013年7月13日(土)、UTCMESは中東イスラーム世界セミナー「中東の思想と社会を読み解く」の第5回「イスラームの生命倫理における初期胚の問題」を開催しました。はじめに青柳かおる講師は、ガザーリー(1111年没)の『婚姻作法の書』を用い、議論の前提ともなる、イスラームにおける婚姻の理解を説明しました。続いて青柳講師は、イスラームにおける胚の形成過程、避妊および中絶の議論の特徴を、クルアーンやハディース(預言者ムハンマドの言行録)、またガザーリーやカラダーウィー(1926~)らをはじめとするムスリム学者の著述作品から明らかにしました。
 そして胚に関わる現代的問題として、青柳講師は医療分野における初期胚の利用、ES細胞の利用およびヒト・クローン胚の作成を取り上げ、その問題についてのユダヤ教、キリスト教、そしてイスラームにおける立場を整理し、三大一神教における見解を比較しました。