1999年10月 -- 2000年1月
[過去のプログラム]

16:30 -- 18:00 数理科学研究科棟(駒場)
Tea: 16:00 -- 16:30 コモンルーム



10月12日 123号室

吉川謙一 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 

解析的トーションと保型形式

対合付き K3 曲面の同変解析的トーションは、そのモジュライ空間 上の興味深い保型形式で表示されることを紹介する。時間が許せば、 Borcherds の理論と関連する例についても紹介する。
10月19日 休み


10月20日 (水) 123号室 -- トポロジー特別講演 -- 

齋藤昌彦 氏 (University of South Florida) 

Some algebraic and geometric aspects of quandle cohomology and cocycle invariants

A quandle is a set with a binary operation which is self-distributive and right-invertible, such that every element is idempotent. Quandles appear in various areas, including singularity theory, logic, and low-dimensional topology. In this talk we discuss cohomology theory of quandles with applications to knot theory. Cocycle conditions are defined from quandle colorings of knot diagrams and Reidemeiser moves. State-sum invariants for classical knots and knotted surfaces in 4-space are defined using quandle cocycles. Some algebraic and geometric methods for the study of quandle cohomology are discussed. Quandle homomorphisms are used to estimate Betti numbers, and virtual knots are used to show non-triviality of cohomology groups for some quandles. Similar state-sum invariants are defined for triangulated 4-manifolds using certain cohomology theory for quantum double of finite groups.
10月26日 123号室

神山靖彦 氏 (琉球大学理学部) 

空間多角形のモジュライの幾何学的性質

ユークリッド空間内の等辺多角形のなすモジュライの 幾何学的性質について解説する。特にモジュライの シンプレクティック体積およびある種の層係数コホモロジー について述べる。
11月2日 056号室

Bruno Scardua 氏 (IMPA, Brazil) 

Transversely affine and transversely projective holomorphic foliations of codimension one

We discuss the problem of classification of singular codimension holomorphic foliations under the assumption that they exhibit an affine or projective transverse structure. Main results are stated for the case the ambient manifold is a complex projective space, or some simply-connected projective manifold.
11月9日, 16:30 -- 17:30, 056号室, (Lie 群論・表現論セミナーとの合同開催)

Soren Illman 氏 (University of Helsinki) 

Hilbert's fifth problem and proper actions of Lie groups

First we discuss Hilbert's fifth problem, concerning Lie's theory of transformation groups, and earlier known results. Then we present the result that every smooth proper action of a Lie group is equivalent to a real analytic action. We also describe a uniqueness result concerning the obtained real analytic structure.
11月16日, 17:00 -- 18:00, 056号室

深谷 賢治 氏 (京都大学大学院理学研究科) 

ラグランジュ部分多様体の手術と概正則円盤

ラグランジュ部分多様体のフレアーホモロジーを計算するのは 一般にはきわめて困難である。その理由は、フレアーホモロジーは 概正則円盤を数えることによってなされており、その数は非線形方程式の 解の数であることによる。また、ラグランジュ部分多様体がかかわることから、 代数幾何に帰着することがとりあえずは困難である。
この講演では、ラグランジュ部分多様体の手術によって、概正則円盤のモジュライ空間が どう変わるかを説明し、いくつかの場合にフレアーホモロジーを計算をする方法を与える 。
また、ラグランジュ部分多様体の手術が、ミラー対称性で複素幾何学のどのような操作に 対応するかも説明する。
(前に予告した「グロモフ・ウィッテン不変量の整数性」につては、 同じ週に行う集中講義のテーマに変更した。)

11月23日, 30日 休み


12月7日 056号室

秋田 利之 氏 (北海道大学大学院理学研究科) 

閉曲面の写像類群の mod p 森田-Mumford 類

閉曲面の写像類群の mod p 係数の森田-Mumford 類の性質 (冪零性と非自明性) を まず紹介する。それらの性質から (安定) mod p 森田-Mumford 類の自明である条件が 予想される。予想とその肯定的証拠を時間の許す範囲で紹介する。
12月14日, 056号室, (作用素環セミナー との合同開催)

森吉仁志 氏 (慶応義塾大学理工学部) 

エータ不変量とII型フォン・ノイマン環のスペクトル流

多様体 M 上のベクトル束 E に2つの平坦構造が与えられたとすると、 対応する平坦接続と不変多項式を用いて Chern-Simons 型式が決まり、 これを積分して M の二次特性数が定まる。一方平坦接続を用いて、 E を係数とする Dirac 作用素が定まり、そのスペクトル不変量とし てエータ不変量が定義できる。また M の不変被覆空間の構造を用い て II 型の作用素環が定義され、そのトレイスで射影元を測って定まる 不変量が存在する。講演ではこれらの不変量の関係についてお話しし たい。主結果を標語的に述べれば以下の通り。 「エータ不変量は II 型作用素環のトレイスの値である。」
12月21日 056号室

中居 功 氏 (お茶の水女子大学理学部) 

構成的関数のスティーフェル-ホモロジー類の自然性に関するいろいろな話題

多様体上の構成的関数に対して定義されたスティーフェル-ホモロジー類は、 多様体のスティーフェルーホイットニー類の一般化である。それの写像に関する 自然性は原始的形ではじめサリバンによって示され、以後実に多くの結果に発展したが、 ある読み方をするとトムの数学がその流れの軸となっているように思える。 この講演では、それと写像の位相幾何学との関係を解説する。
1月11日, 056号室, 次の2人による50分ずつの講演があります。

目時 伸哉 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 

Non-trivial cohomology classes of Lie algebras of volume preserving formal vector fields

R^2上の体積要素を保つ形式的ベクトル場の成すLie代数のコホモロジーは 無限次元であることが予想されている (PerchikによるEuler指標の計算から、 少なくとも112次元以上であることは分かっている)が、 これまでのところ
Gel'fand-Klinin-Fuksによる非自明なコホモロジー類
及び
Chern-Simons理論から二次特性類として得られるコホモロジー類
を併せた6つの生成元しか分かっていない。 今回、新たな非自明なコホモロジー類の存在を示す。
また、関連した話題として Calabi不変量をLie代数のレベルで実現するモデルについても言及する。

池田 徹 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 

境界で一致する3次元多様体上のPL有限群作用について

3次元多様体上の2つのPL有限群作用がPL同値であるとは、PL自己同相に より一方が他方の共役となっていることである。 このような同値関係に基づくPL有限群作用の研究には、3次元球面上のPL周 期同相や3次元多様体上のPLインヴォリューシ ョンに関するものが数多く知られているが、その他のPL有限群作用については 意外に少ない。この講演では、ある種の3次元多 様体上の2つのPL有限群作用が境界上で一致するならば、それらはPL同値に なるということについて述べる。
1月18日, 056号室, 次の2人による50分ずつの講演があります。

川村 友美 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 

On unknotting numbers and four-dimensional clasp numbers of links

 与えられた絡み目に対し, 4次円板内に張る2次元有向多様体のオイラー数の最大値を 考察することにより, その絡み目の結び目解消数と4次元クラスプ数を評価する. このオイラー数の最大値に関する Rudolph の結果と合わせると, 閉じた組み紐の結び目解消数についてBennequin が予想した 不等式よりも強い不等式が, 全ての絡み目の射影図に対して成立することがわかる. 従って,交差が正のみの閉じた組み紐で与えられる絡み目の 結び目解消数について Boileau と Weber が予想した等式も成り立つ. さらにそのような絡み目に対して, Jones多項式の最小次数が結び目解消数と成分数で定まることが, Fiedlerの結果と合わせることによりわかる.
 また,上とは別の方法で, ある絡み目のband surgeryで得られる絡み目の 結び目解消数および4次元クラスプ数の評価が得られること についても触れる.

Vu thi thu Ha 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 

SYMPLECTIC LOCALLY HOLOMORPHIC FIBRATIONS

In 1997 , Donaldson showed that every symplectic 4 - manifold has a blow up that has the strusture of a symplectic Lefschetz fibration . On the contrary , Gompf has recently ( 1998 ) shown that most Lefschetz fibrations also admit symplectic structures . Here we study locally holomorphic fibrations with the general fibre a Riemann surface $\Sigma_{g}$ of genus $g$ $(g \geq 2)$ , from $C^{\infty}$ - point of view . The locally holomorphic fibration is more general than Lefschetz fibration ( that is , the fibers of locally holomorphic fibration may be much more complicated than Lefschetz type singular fibers ) . We present the result that most locally holomorphic fibrations admit symplectic structures .
1月25日, 17:00 -- 18:00, 056号室

三松 佳彦 氏 (中央大学理工学部) 

3次元多様体上の linking pairing と葉層 cohomology

内容:3次元多様体に volume form を決めると、 ベクトル場からなる(ある意味で simple な)無限次元 Lie 環と その上の非退化な pairing が得られる。 この pairing から符号数として3次元多様体の数値的不変量が 定義できるか?という問いを考える。 葉層構造があれば、大きく繰り込むことが 出来て foliated cohomology と直接関係し、 有限の値を取り出せる場合もあるが、 一般には foliated cohomology の計算も極めて困難である。 現在計算できているものは、T^3 上の線形葉層の場合だけで、 符号数も 0 である。