!!!2020年 冬学期 第2回 物性セミナー !!講師 足立 匡 氏(上智大理工) !!題目 ミュオンスピン緩和で見る銅酸化物/鉄系超伝導体の スピンダイナミクス !!日時 2020年 11月 27日(金) 午後4時50分 !!場所 Zoom 開催 (一度登録された方、物性セミナーMLに登録されている方は、以下は必要ありません。)出席希望者は、予め登録をお願いします。登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。メールにてこちらからZoomアドレスをお知らせします。 !アブストラクト ミュオンは、物質中の微視的な磁性を調べられるだけでなく、イオンの拡散をプローブしたり、水素のシミュレーターとしても利用できることから、磁性材料、超伝導材料から電池材料、水素材料など幅広い分野で利用されている。本講演では、ミュオンスピン緩和(μSR)測定によって高温超伝導物質におけるスピンダイナミクスを調べた研究について紹介する。 電子ドープ型銅酸化物は、超伝導を阻害する過剰酸素の問題、母物質におけるノンドープ超伝導、超伝導が消失する超電子ドープ領域での強磁性など、様々な物理を有する。我々は、Cuスピン相関と超伝導の関連を明らかにするために、電子ドープ型の単結晶と薄膜を用いたμSRの測定を進めてきた。その結果、母物質を含む広い電子ドープ領域において、超伝導が発現する試料では低温でCuスピン相関が発達すること[1,2]などを明らかにしてきた。ホールドープ型銅酸化物とは異なる結果もあることから、超伝導の発現とCuスピン相関の関連を明らかにするための手がかりになり得る。 近年、鉄カルコゲナイドFeSeにおける超伝導、電子ネマティシティ、磁性の関連が注目を集めている。以前、鍋島らは、SeサイトにSを高濃度に置換し、電子ネマティシティが消失したFeSe1-xSxの薄膜において、電気抵抗率に異常なキンクが現れることを発見した[3]。μSR測定を行った結果、抵抗率にキンクが現れる温度付近で初期アシンメトリの急激な現象が観測された。このことから、Sを高濃度に置換したFeSe1-xSxの薄膜では磁気秩序が形成されることが明らかになった。 最後に、表面や界面の磁性を調べることが可能な超低速ミュオンビームを用いた今後の展望についても触れたい。 [1] T. Adachi et al., Condens. Matter 2, 23 (2017). [2] M. A. Baqiya et al., Phys. Rev. B 100, 064514 (2019). [3] F. Nabeshima et al., J. Phys. Soc. Jpn. 87, 073704 (2018). !宣伝用ビラ {{ref}} !物性セミナーのページ http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar