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物性セミナー/2015-12-18

2015年 冬学期 第6回 物性セミナー

 講師 金澤輝代士氏 ( 東京工業大学総合理工 )

 題目 非平衡定常系における非ガウス型ランジュバン方程式の漸近的導出と解析解

 日時 2015年 12月 18日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827

アブストラクト

近年の実験技術の向上により , 揺らぎを精密に測定・操作することが可能になった . その結果 , 微小系揺らぎのダイナミクスを詳細にモデル化する機運が高まっている . 熱揺らぎを記述するモデルの一つにランジュバン方程式がある . ランジュバン方程式は白色ガウスノイズと摩擦項を持つ解析的な性質が良いモデルである . 更に , ランジュバン方程式は単一環境下での確率過程の弱ノイズ極限( システムサイズ展開 ) として普遍的に導出されることが示されており [1], 幅広い物理系で現れる事が微視的な理論からも示されている . では , 非ガウスノイズに駆動されるランジュバン方程式 ( 非ガウスランジュバン方程式 ) はどのような時に現れるのだろうか ? 非平衡定常状態にある環境 ( 非熱的な環境 ) においては , 非ガウス性が顕著な揺らぎが実験的に報告されている . この様な系の挙動を微視的な視点から理解することは出来るだろうか ? 我々はこれらの問題に取り組み , 肯定的な答えを得た . 我々は複数環境下の確率過程に対してシステムサイズ展開を拡張し , 弱ノイズ極限で非ガウスランジュバン方程式が普遍的に導出されることを示した [2]. デモンストレーションとして , 線形ボルツマン方程式を出発点に粉体モーターをモデル化し , その挙動が非ガウスランジュバン方程式で記述されることを理論的に示した . 更に , 分子動力学計算を行い , 我々の理論がシミュレーションとも整合的であることを示した [3]. また , 我々は非線形項をもつ一般の非ガウスランジュバン方程式の定常分布のフルオーダー摂動解を導出した [4]. 高次の摂動項は , 系が緩和中に複数回キックされるプロセスに直接対応しており , ダイアグラム的に計算できる事を示した . 以上のことから , 非ガウスランジュバン方程式は普遍性と解析的単純性を兼ね備えており , 複数の環境中の確率過程モデルとして良い性質を持つことが分かった .

[1] N.G. van Kampen: Stochastic Processes in Physics and Chemistry, North-Holland (2007).

[2] K. Kanazawa, T.G. Sano, T. Sagawa, and H. Hayakawa: Minimal Model of Stochastic AthermalSystems: Origin of Non-Gaussian Noise, Phys. Rev. Lett. 114, 090601 (2015).

[3] T.G. Sano, K. Kanazawa, and H. Hayakawa: Granular rotor as a probe for a non- equilibriumbath, arXiv:1511.08594.

[4] K. Kanazawa, T.G. Sano, T. Sagawa, and H. Hayakawa: Asymptotic derivation of Langevin-like equation with non-Gaussian noise and its analytical solution, J. Stat. Phys. 160, 1294 (2015).

宣伝用ビラ

KMB20151218.pdf(219)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

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最終更新時間:2015年12月04日 11時31分09秒