2011年 冬学期 第9回 物性セミナー
講師 川村 稔 氏(独立行政法人理化学研究所)
題目 量子ホール効果のブレークダウンによる動的核スピン偏極
日時 2012年 1月 27日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827 829いつもと教室が違います.
アブストラクト
III-V族半導体を構成する元素の多くは、原子核スピン自由度を持っている。これらの原子核スピンは半導体中の伝導電子スピンと相互作用するため、電子スピンを操作することによって、半導体デバイス中の原子核スピンを電気的に制御・検出することができる。これまでにGaAs/AlGaAs半導体ヘテロ接合で実現される分数量子ホール系や量子ホールエッジチャンネルを用いた動的核スピン偏極・検出の研究がおこなわれてきた[1, 2]。我々は、整数および分数量子ホール効果が電流印加によってブレークダウンする過程で、核スピンが動的に偏極することを新たに見出した[3, 4]。量子ホール効果のブレークダウン現象は、電子の流れに沿って雪崩式に生じるため、ブレークダウンによって生じた核スピン偏極も電子流に沿った空間分布を有することが予想される。ホール電圧測定による抵抗検出型核磁気共鳴の実験をおこない、核スピン偏極の空間分布を見出したので、その結果について議論する[5]。
[1] S. Kronmuller et al., Phys. Rev. Lett. 81, 2526 (1998).
[2] K. R. Wald et al., Phys. Rev. Lett. 73, 1011 (1994).
[3] M. Kawamura et al., Appl. Phys. Lett. 90, 022102 (2007).
[4] M. Kawamura et al., Phys. Rev. B 79, 193304 (2009).
[5] M. Kawamura et al., Phys. Rev. B 83, 041305 (2011).
宣伝用ビラ
KMB20120127.pdf(410)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2011年12月26日 19時22分47秒