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犬のアジソン病の病態解析

2010.5.1 松木直章
アジソン病の犬
アジソン病の犬

なぜ犬で多いのか

 アジソン病は副腎から分泌されるホルモンが不足し、元気消失、虚脱、食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こす病気です。適切に治療しなければショック状態に陥り、死亡することもあります(アジソンクリーゼ)。発症すれば長期間(生涯)にわたってホルモン剤を服用しなければなりません。

 アジソン病は人間では比較的まれな病気で、患者数は全国で数百人ほどのようです。ところが犬ではおそらくその数十倍の頻度で発生しており、よくみられる病気のひとつになっています。一方猫ではきわめて少なく、世界中で過去に十数例しか報告されていません。なぜこのように犬で多く発生するのかは分かっていません。

 人間のアジソン病では副腎に対する自己抗体がしばしば陽性になるとされていますが、犬では人間と同様の自己抗体は現れません。人間と犬のアジソン病は似て非なる病気のようです。

 アジソン病の治療薬は高価です。人間のアジソン病は難病に指定されているため医療費の助成制度があります。しかし犬では飼い主さんの自己負担のため、費用が治療上の障害になることがあります。私たちは犬のアジソン病の原因を突きとめ、アジソン病を予防することを最終目標として研究を行っています。


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