PrOs₄Sb₁₂におけるカイラル超伝導体状態の研究

PrOs₄Sb₁₂は電子がトリプレットペアーを組むことにより超伝導が発現する数少ない超伝導体の１つとされている。また、本物質は時間反転対象性を破る超伝導状態の実現が指摘されており、外部磁場を退ける超伝導状態において、自発的内場を発生している可能性がある。このような物質では、超伝導状態において縮退した超伝導成分が共存し、ドメイン（カイラル超伝導ドメイン）を形成することが考えられる。これまで我々は、微小ホール素子を用いた局所磁化測定により、カイラル超伝導ドメインの存在を強く支持すると考えられる磁化の異常を観測することに成功した。今後、磁気光学法や走査型ホール素子顕微鏡などの局所磁場観察により、このようなドメインの実空間観察を目指し、PrOs₄Sb₁₂におけるカイラル超伝導状態の更なる検証をおこなう。

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Editted by 笠原成