研究概要

現在の高度な文明社会は、様々な機能性材料(電気、磁気、光、吸着、触媒材料など)によって支えられています。 しかし、多くの機能性材料は、高価な原料や大量のエネルギーを消費して合成されており、 その合成手法には大きな変革が必要とされています。
当研究室では、
(i)機能性単分子(ポリオキソメタレート)の設計
(ii)構造・機能制御されたカチオンとの自己組織化
(iii)自己組織化反応の制御による集積・凝集形態制御
といったナノ~マイクロメートルに至る階層的な機能性材料(機能としては、分子の貯蔵、混合物の吸着分離、固体触媒、イオン伝導)の創製を目標としています。

研究概要

ポリオキソメタレートとは

ポリオキソメタレートは、ナノサイズのアニオン性の無機金属酸化物クラスターです。
例えば、ケイ酸イオンとタングステン酸イオンを酸性水溶液中で反応させると縮合反応がおこり、 ケギン型シリコタングステートが生成します(右図)。
ポリオキソメタレートの特徴として、①サイズ、構造、電荷を精密に設計できる、 ②構成元素の一部を異種元素で置換できる、③多電子酸化還元反応が進行する、 ことが挙げられ、触媒や磁性材料として活発に研究されています。また、ポリオキソメタレートは、 結晶化の際に対カチオンや溶媒分子の種類や量により、様々な三次元配列をとることが知られています。

ポリオキソメタレート

ポリオキソメタレート

ポリオキソメタレートアニオンとカチオンとの自己組織化

ポリオキソメタレートは、カチオン性遷移金属錯体(マクロカチオン)や金属イオン)と、 水や有機溶媒中で自己組織化し、結晶性固体が得られます。結晶性固体の中に、 分子サイズの「空間」や「空隙」が構築できれば、そこが、 分子やイオンの吸着・輸送・変換場となりえます。 下図に示すように、ポリオキソメタレートの電荷、マクロカチオンの配位子、金属イオンのサイズや電子配置、 をパラメーターとして、結晶性固体の構造・機能の精密制御を行います。

fig3-ver2