インタビュー
副機構長
鄭 雄一(てい・ゆういち)

研究成果を必ず社会に生かす

鄭 雄一(てい・ゆういち)

「医学は実学である」という信念のもとに、工学的な手法を使って病気の治療に貢献するものを開発し、患者さんの役に立ちたいと思っている。内科医出身。医・工・薬・理連携に関わる研究教育プロジェクトを指導的立場で推進し、産学連携、規制対応、規格化・標準化の推進に積極的に取り組んでいる。3Dプリンターを使ったオーダーメイドの人工骨などユニークな成果もある。

著書

  • 若さを保つ「骨ケア」8つの法則(日東書院)
  • 東大理系教授が考える道徳のメカニズム(ベスト新書)
  • 今から始める「寝たきりにならない体」のつくり方(三笠書房)
  • 骨博士が教える「老いない体」のつくり方(WAC BUNKO)
  • 老いない体をつくる「骨の力」ー 骨博士が語る「老いの覚悟」(主婦の友社)

当拠点では「自分で守る健康社会」という将来ビジョンのもと、「入院を外来に、外来を家庭に、家庭で健康に」という目的に向かって研究開発を進めています。この拠点が、通常の産学連携拠点と大きく異なる点が3つあります。

バックキャスト型研究開発

研究から生まれるシーズから実用化を発想する「フロントキャスト」型ではなく、社会のあるべき姿を出発点として取り組むべき研究開発課題を設定する「バックキャスト」型の研究開発を推進しています。ともすれば、大学での産学連携はシーズベースになり、社会実装へのイメージが不足する面がありましたが、それを解消しようとするものです。

アンダーワンルーフ

一つ屋根の下、大学や企業の関係者が議論し、一体となって研究開発に取り組むイノベーション拠点を構築することを目指しています。これまでの研究開発は、それぞれのステークホルダーがばらばらに活動し、バトンを次のステップに渡すような形で行われてきましたが、バトンの受け渡しがうまくいかないことが多々ありました。これに対し、本拠点では、研究開発の初期から産官学民すべてのステークホルダーを参加させて巻き込み、迅速に目的を達成することを目指しています。

もちより方式(potluck方式)

本拠点からの支援は、アカデミアに限り、プロジェクトパートナーとなる企業・行政には直接の支援は行きません。パートナー企業は、必要となる資源(人件費、実験費等)は自らの持ちよりで賄っていただいています。この方式により、単なる補助金目当ての企業は振り落とされ、東大のシーズが企業戦略とマッチし、真剣に産学連携しようとする企業のみが選別されるようになっています。

拠点には産官学民の全てのステークホルダーが一堂に会して、将来ビジョンに合致するプロジェクトをワンストップでサポートし、迅速な研究開発を促進する体制ができています。さらに拠点は、神奈川県、NIHS、PMDA、ISOなどとの連携ネットワークをもち、また、このような仕組みを持続させるために、産学連携の場所を実践的な教育な場として利用して、東京大学における人材育成にも取り組んでいます。

これらの仕組みを通じて、革新的音声・超音波・ICT技術・行動変容プログラムを軸に東大でないとできない破壊的イノベーション・社会システム改革に挑み、医療崩壊・財政破綻などの少子高齢化の課題解決に貢献しようと日夜努力しております。