コンセプト

研究開発期間終了時の達成目標

Ⅰ.健康医療ICT標準化

現状では、医療機関毎に異なる電子カルテシステムが導入されているが、これらの診療データをSS-MIX2標準ストレージに格納することで特定のデータベースシステムに依存しないプラットフォームを確立し、他拠点とも連携して全国規模での標準化を推進して、様々な臨床研究やコホート研究に利活用できるようにする。 本COIで開発するデータ利用プラットフォームを、医療機関外での健診や人間ドックデータ、在宅での各種測定データ、調剤記録、個人の服薬情報や生活情報などへと拡張して情報の流れを促し、また円滑にして医療の質の向上を目指す。 パーソナルゲノムデータについては、ワンデイ全ゲノム解析を可能とし、別途データベースを設けて管理できるようにする。 最終的にはこれら全てのデータを統合し、健康医療データから個人の健康・病状変化の予測とリアルタイム介入ができる人工知能システムを構築する。

フェーズ1ではプラットフォームの確立が終了し、フェーズ2では生活情報との連結とデバイス企業が保有する健康情報データとの統合への取り組みを開始する。 「健康医療ICT標準化」は新健康医療産業の創出に必須のプラットフォームであり、フェーズ2において強力に推し進める「健康リスクの見える化」、「疾患予防対策」は、このような標準プラットフォーム上に構築することで開発の効率化とコスト削減が可能となる。 フェーズ1では「予防・未病イノベーション」グループを立ち上げ音声病態分析技術を活用して音声からストレスを測定するアプリ、MIMOSYSを開発し、神奈川県と未病に関する連携をスタートさせた。フェーズ2ではこのグループを発展させて、「健康リスクの見える化」グループと「疾患予防対策」グループに分けて、ヘルスケア・シックケアの両面から、研究開発成果を社会実装する際のカギとなる個々人の行動変容推進に取り組む。

Ⅱ.健康リスクの見える化

「外来を家庭に」「家庭で健康に」を実現するためには、家庭で健康状態の計測・検査を行い、予防・未病対応を自ら実践可能なシステムを作り、国民一人ひとりが健康維持を「自分ごと化」し、行動変容を起こしていくことが重要である。 これが次世代健康医療サービスイノベーションであり、本COI拠点が全拠点と連携して達成すべき将来像である。一方、いかなる優れたデバイスやアプリケーションを開発しても、個々人における「気付き」から自らの行動変容に繋がらなければ「自分ごと化」は実現しない。 そこでフェーズ2では、従来十分に活用されてこなかった健診データを用いて、個人の「健康リスクの見える化」を行い、健康の将来リスク予測スコアを画像技術で可視化した行動変容推進アプリケーションの開発を行う。

またフェーズ1に引き続き、誰でも自然に自由にアクセスできる非ウエアラブル・非侵襲による未病対応・疾患予知対応として、音声病態分析技術を活用した疾患毎アプリケーションの開発を行う。 超音波による診断技術に関しては、未病状態の検出についてフェーズ2期間に社会実装に繋げる。マイクロ流体技術をフル活用して家庭での安全・簡便・確実な採血を可能にすることで、予防・未病バイオマーカーを高感度で検出する自己計測・検査システムの確立を行い、これらをリスク予測モデルにアドオンして行く。

Ⅲ.疾患予防対策

健診データを活用したリスク予測は統計解析的アプローチであるが、並行してゲノム解析による予防技術を開発していく。一例として免疫疾患の予防対策を進めると同時に、全ゲノム解析による各種疾患の予防対策へと展開していく。 重症化予防に関しては、糖尿病患者とその予備群に対して、ICTを駆使して病院と同じサービスが受けられるような情報空間を構築し、個人の行動変容推進に繋がるシステムの開発を行う。 超音波技術による乳がんの超早期発見に関しては、フェーズ1で立ち上げたベンチャー企業をサポートし、着実な社会実装に繋げると同時に、他の疾患にも活用を広げて行く。

Ⅳ.医療技術革新

「入院を外来に」を実現するために、救急現場、診療所、さらには家庭でも安全・簡易に使用できる放射線フリーの超音波技術に着目し、診断・治療機器及び健康機器の開発と社会実装を行うことで、患者負担の軽減・QOLの向上を図り、在宅医療の質の向上を図る。 在宅で、しかも患者やオペレーターに依存しない高精度の超音波診断ができる技術の開発(いつでも、どこでも、だれでも超音波)を行う。このような超音波技術を中心に、内視鏡技術の革新や、画像誘導技術による手術精度向上により、「いつでも、どこでも、だれでも」専門病院レベルの診断・治療を受けることができる医療システムを構築する。 また、組織工学を駆使して、生体材料と幹細胞を融合し、外来で注射による局所投与するだけの、入院手術を必要としない再生治療法を開発し、骨格系疾患や血液疾患への対応を外来治療に転換させる。

Ⅴ.オープンイノベーションセンターの確立

オープンイノベーションセンター

従来型の産学連携では、アカデミア主導での共同研究ゆえに、ニーズとシーズのミスマッチ、企業のコミットメント低下、規制対応での挫折等が生じやすく、社会実装の歩留まりが悪かった。この問題を根本的に解決するために、本COIでは、病院敷地内に新たに建設した分子ライフイノベーション棟の医療技術評価実験室を中心に、産官学民の全てのステークホルダーが対等に参加できるオープンイノベーションプラットフォームを確立し、自律的運営を目指す。