コンセプト

研究開発期間終了時の達成目標

Ⅰ.健康医療ICTオールジャパン標準化

現状では医療機関ごとに、異なる電子カルテシステムが導入されているが、これらの診療データをSS-MIX2標準ストレージに格納することで、特定のデータベースシステムに依存しないデータ利用プラットフォームを確立することができる。 それにより、他拠点とも連携して、全国規模での標準化を推進し、様々な臨床研究やコホート研究に利活用できるようにする。さらに、本COIで開発するデータ利用プラットフォームを医療機関外での健診や人間ドックデータ、在宅での各種測定データ、調剤記録、個人の服薬情報や生活情報などへと拡張する。パーソナルゲノムデータについては、別途データベースを設けて管理するが、最終的には、これら全てのデータを統合して、医療・健康データから個人の健康・病状変化の予測とリアルタイム介入ができるシステムを構築する。健康医療ICTのオールジャパン標準化は新健康医療産業創出に必須のプラットフォームであり、個別のアプリケーションはこのような標準プラットフォームの上に構築することで、開発の効率化とコスト削減が可能となる。

Ⅱ.ユビキタス診断・治療システムの開発

本COIでは、救急現場、診療所、さらには家庭で安全に使用できる放射線フリーの超音波技術に着目し、診断・治療機器や健康機器の開発と社会実装を行うことで、患者負担の軽減、QOLの向上を図るとともに、入院と通院の期間を半減させる。これらには、以下の3点が含まれる。

  1. 在宅で、しかも患者やオペレーターに依存しない高精度の超音波診断ができる技術の開発(いつでも、どこでも、だれでも超音波)
  2. 高精度音速測定による下肢組織内脂肪推定による高齢者のロコモティブシンドロームの予防と、運動療法や薬剤効果判定への応用
  3. 強力集束超音波による低侵襲治療技術の実用化 (将来は外来・在宅治療を目指す)
  4. 救急車やICUでの超早期診断を可能とするリアルタイムモニタリングができる留置タイプのカプセル超音波イメージングシステム

このような超音波技術を中心に、画像誘導技術による手術精度向上、マイクロ流体技術によるバイオマーカー高感度検出などをフル活用して、「いつでも、どこでも、だれでも」専門病院レベルの診断・治療を受けることができる医療システムを構築する。

Ⅲ.予防・未病イノベーション

“家庭で健康に” を実現するためには、家庭で健康状態の計測や検査を行い、予防・未病を自ら実践していくシステム作りと、国民一人ひとりが健康維持を “自分ごと化” していくことが重要である。これが健康サービスイノベーションであり、COI全拠点で取り組むべき課題である。拠点間連携が必要な中で、本COIでは、マイクロ流体技術のフル活用により家庭での安全、簡便、確実な採血を可能とし、予防・未病バイオマーカーを高感度検出する自己計測・検査システムの確立と、音声病態分析により各種疾患を正確に予兆するデバイスの開発を行い、他の拠点の成果と連携させていく。“自分ごと化” は、このような計測・検査のイノベーションだけでは達成できず、科学的エビデンスに基づいた健康指導マニュアルの策定とその活用により、個々人における “気付き” を起こさせることで、健康リテラシーの向上を同時に行わなければならない。健康指導に関しては全ゲノム解析技術も導入し、これまでに例のない「健康コンシエルジュ」を多数育成し社会実装することにより全国民の “自分ごと化” を定着させる。

Ⅳ.オープンイノベーションセンターの確立

オープンイノベーションセンター

従来型の産学連携では、アカデミア主導での共同研究が多いゆえに、ニーズとシーズのミスマッチ、企業のコミットメントの低下、規制での挫折等が生じやすく、社会実装の歩留まりが悪かった。この問題を根本的に解決するために、本COIでは、病院敷地内に新たに建設する分子ライフイノベーション棟の模擬手術室を中心に、産官学民の全てのステークホルダーが対等に参加できるオープンイノベーションプラットフォームを確立し、自立的な運営を目指す。平成26年度まで取り組んできた創薬プロセスイノベーションは28年度より結晶制御、フロー精密合成技術をプラットフォームとしてオープンイノベーションの場として継続させていく。