船上重力計
重力測定 地球上における重力とは、地球の引力と地球の自転による遠心力の合力です。この重力を測定するには、実際に物を落とし距離、時間等より求める絶対測定と、バネばかりのような物で重力値のわかっている場所との差から求める比較測定があります。私たちの測定法は比較測定であり、センサーの構造が簡単、小型軽量が特徴です。陸上の固定点で重力を測定する場合、センサーを鉛直方向に設置すれば測定できます。しかし、船、ヘリコプター、セスナ等、移動物上で測定する場合、センサーを鉛直方向に保つため鉛直ジャイロ方式、シュウーラー同調型ジャイロ方式などの安定台に設置する必要があります。鉛直方向の動揺は、動揺の周期が10―5秒を利用し数値フィルターにより除去されます。船で測定する場合平均海水面(ジオイド)を走るので高度補正は必要ありませんが、船の走る方向によっては、遠心力の補正(エトベス補正)が必要になります。近年Global Positioning System(GPS)による位置精度の向上に伴い、船、航空機による測定も飛躍的に向上しています。 |
重力測定によってわかること 重力を測ることによって、地下の密度構造についての情報を得ることができます。例えば、海底下に密度の軽い層が厚く存在すれば、そこでは負の密度異常が観測できます。観測している重力異常は海底下のさまざまな深さに起因する密度異常を足しあわせた結果を見ているため、単純に観測データから地下構造のモデルが決まるわけではありません。そのため、海底地形や地震波探査などによる海底面や地下の層構造の形状、時には地磁気のデータとの整合性などを評価しつつモデリングを行い、地下の密度構造を推定しているのです。 |
図1 白鳳丸 KH-01-3 次航海で得られた重力異常の例。黒点線は南東インド洋海嶺の海嶺軸(プレート境界)の位置を示す。調査海域西側では、海嶺の下に負の密度異常が見られ、地殻(比較的密度が軽い)が厚いことを示す。一方、東側は異常に海洋性地殻の薄い可能性を示している。 |
白鳳丸船上重力計システム概要 2002年度に新重力計システムを導入しました。 |
表1 システム仕様 | ||||||||||||||||||||
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