研究内容
金属をベースとする材料の特性は、その微視的構造・組織に大きく依存します。新たな機能材料の開発には、ナノ、もしくは原子スケールでの確かな現象理解が必要不可欠です。
本研究室では、原子レベルの構造までを直接観察できる世界最高性能の電子顕微鏡、および計算機シミュレーションを駆使して、材料特性発現のメカニズム(Structure-Property relationship)を追求し、そこから新しい材料開発へとつなげるべく研究展開しています。
走査透過型電子顕微鏡(STEM)法とは
走査透過型電子顕微鏡(STEM)法は、0.1nm程度にまで細く絞り込んだ微小電子ビームを試料に走査し、試料中の各原子コラムより透過・散乱されて検出器に到達する電子強度を2次元マッピングすることで原子像を得る観察手法です。
従来の位相コントラスト法を用いた観察手法と比べ、原子位置と像コントラストがほぼ一意に対応した非干渉像を得ることができる、原子番号に対応した強度を示すZ-コントラスト像を得られるなどの特長があります。
近年では、磁場レンズの球面収差補正技術の進展によって、0.1nmを超える空間分解能が実現しており、原子1個の位置を特定するとともにその結合状態の同時測定を行うことも可能です。
近年の研究テーマ
本研究室では、マグネシウム(Mg)合金、アルミニウム(Al)合金などの金属材料を中心に、主に複雑化合物の局所構造を明らかにすることを課題とした研究を行っています。
いずれの研究テーマも、実験による現象の理解をもとに、結晶中における複雑秩序の形成過程や機能発現のメカニズムについて、より本質的な解明につなげることを目標としています。