東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「読み紡ぐ政治学・読み破る政治学 -多読・乱読・精読ゼミ-」  シラバス


(1)授業の目標、概要

 
このゼミは対面で行います。説明会もまた第一週に対面で開催します。もっとも状況に応じて、オンラインでの参加を認めることもあるので、適宜掲示などを参照してください。なお、授業前にオンラインでの講義や打ち合わせがある学生については、東大先端研の牧原研究室でオンラインで視聴するスペースを用意しますので、事前に申し出た上でオンラインの打ち合わせなどに参加した上で、対面のゼミに参加して下さい。

牧原研のYouTubeチャンネルに、ゼミの概要を配信していますので、そちらをご覧ください。

URLはhttps://www.youtube.com/channel/UCjmHAPyMqKTnE1NKAK_k6hgなど、過去のものも含めて適宜参照してみてください。どうしても説明会に参加できないが(できなかったが)受講を希望する学生については、個別にcontact@pha.rcast.u-tokyo.ac.jpまでご連絡ください。

また事前に質問などがあれば、個別ないしはグループでのオンラインのプレゼミを開始します。上記アドレス宛にご質問など投げてください。

今年で12年目となるこのゼミでは、多読、乱読、ときに精読を心がけ、古今東西の政治学に関する本を「読み紡ぐ」そして「読み破る」ことを目標にします。「読み紡ぐ」は歴史をひもとき、互いの議論をつないでいくという意味をこめ、「読み破る」はこれまでの自分の読みを乗り越えていくことを目標としています。毎週1冊本を読んで短いペーパーを書いて全員が事前にそれを読んだ後、ゼミが始まります。ゼミでは、いくつかのペーパーを取り上げて、全学生が意見を言う、質問をする、応答する、質問を重ねる、といった議論を繰り返します。もちろん人の意見をじっくり聞くことも大事です。教員はできるだけ議事進行に努めますが、ここぞというときには今学生に必要と判断したコメントを出すようにします。学生同士の議論が基本です。そこから何が得られるのでしょうか。もちろん政治と政治学についてよりよい読みを目指して理解を深めることはとりあえずの目標です。しかしそれだけではありません。まずは自分の考えを構築してみましょう。その上で他の学生からの質問に驚いたり新たに考えたりすることで、一冊の本に対する多様な理解があることを知るでしょう。集合知としての本に対する理解というものがあることに気づいてほしいと思います。そこから初めて自分の読みが広がります。このように自分の読みを深め広げることこそが、これから勉学を深めたり、研究に踏み込んだり、自分の人生を生きぬく力を得ることができるのです。

こうした読書とそれについての思索・議論は、海外の大学の授業では基本的な開講形態です。また文理の学問分野の違いから言えば、このゼミでの読書とそれについての議論とは、理系にとっての実験がそうであるように、文系にとっての「実技」です。理系の人は、もう一つの「実験」の授業と思って参加していただいてかまいません。読書自体は特別なことではないのですが、毎回気心の知れた多くのメンバーと読書して語り合う経験は、皆さんにとって特別貴重な経験となるでしょう。
ゼミでは、そのためにいろいろな仕掛けを用意しています。ゼミ生同士で読書会をしたい人たちは、先端研の牧原研の自習室を自由に利用することができます。著者同席の回や、「私の勧める一冊」という回もあるでしょう。ゼミ終了後恒例のブック・サロン、ブック・トリップ、ラボ・アドヴェンチャーも可能な範囲で行うことを考えています。すでの多くの修了生がいますが、これらは修了生も一部参加することがあり、読書を重ねた先輩からいろいろな話を聞いたり、議論したりすることができるでしょう。また、夏休みには「合宿」(宿泊が難しい場合は、一日講義室でゼミを行う形をとります)を行います。合宿で何をするかは未定ですが、ここ数年、夏合宿は重要と目される本の集中的な講読、後期に継続開講するゼミでの冬合宿は本に関するドキュメンタリーを製作することが課題でした。

※受講人数:あらかじめ制限はしない。

※開講場所:駒場Ⅱキャンパス・先端科学技術研究センター13号館2Fセミナー室





(2)授業のキーワード

政治学、本、歴史、デモクラシー、思想、近代




(3)授業計画



1.政治学に関する本とは、政治学の本では必ずしもありません。広いジャンルの本を読みます。全体を見渡し、細部を見つめ、再び全体を見つめ直す。深読み・斜め読み、いろいろ試して下さい。

2.毎週木曜15時までにA4 1枚のペーパーを全員がメーリングリストに流します。全員分をプリントアウトして授業の最初に配布します。

3.木曜17:15から駒場IIキャンパスで対面で行われるゼミに出席し、自らのペーパーをもとに各自が議論を展開します。成功も失敗も大いに歓迎します。小さくまとまるよりは、破綻を恐れず議論を組み立ててみましょう。議論を楽しむことが大きなウェイトを占めるゼミです。

4.ペーパーを準備するにあたって、ときにテーマをこちらが指示することがあります。関連図書もできれば当たって下さい。ペーパー・議論のレベルアップを目指しましょう。




(4)授業の方法

毎回、全員が課題を提出し、全体討議を行います。全員が発言し、答える。毎回工夫することが求められます。とにかくコミュニケーションを続けることを目指します。




(5)履修上の注意

牧原研は、教養学部のキャンパスから歩いて数分くらいの駒場Ⅱキャンパス(先端研キャンパス)にあります。HPなどで場所を確認してください。キャンパスの正門に立って目の前にある時計台の建物が13号館、その3階が牧原研です。

教室はこの建物の2階セミナー室で行う予定ですが、人数が多ければ3階の講堂で行います

諸事情から初回の説明会に出席できないが受講を検討・希望する学生は、個別に電子メールで連絡して下さい。説明会での配付資料をお送りします。

なお、3,4限に授業や打ち合わせなどにオンラインで参加する学生には、牧原研のスペースでオンラインの打ち合わせなどを行える自習室があります。オンラインでの打ち合わせやプレゼミの自主開催などから対面のゼミへとスムーズに切り替えることができます。




(6)学習上のアドバイス

本屋に通ってみましょう。もちろん図書館も大事です。新聞紙面上の新刊書評や、場合によっては学会誌上の書評を読んでみるのも有益でしょう。