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予冷ターボジェットエンジンに関する研究

予冷ターボジェットエンジンとは

予冷ターボジェットエンジンとは宇宙航空研究開発機構(JAXA)で研究が進められている、高速で飛行する飛行機のためのエンジンの一種です。
現在の旅客機はマッハ0.8程度で飛行していますが、予冷ターボジェットエンジンを搭載する飛行機はマッハ5で飛行することを目指して開発が進められています。

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(C) JAXA

ジェットエンジンの原理

ターボジェット

ジェットエンジンには様々な種類がありますが、右の図はその中でも最も基本的なターボジェットエンジンと呼ばれるものです。
前方から入ってきた空気を圧縮機により圧縮し、燃焼器にて燃料を吹いて燃焼させ、高温の燃焼ガスでタービンを駆動し、ノズルを利用して後方に排気して推力を得ます。

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From wikipedia Author:Emoscopes

予冷ターボジェットエンジンの原理

概要

ジェットエンジンは前から来た空気を吸って燃焼によりエネルギーを加え、後方から排気することで推力を得ますが、通常のジェットエンジンによって非常に高速で飛行すると、吸い込んだ空気が非常に高温になってしまいます。 このような高温空気を内部に取り入れてしまうとエンジンが壊れてしまい、さらに高温空気を圧縮して得た更なる高温空気に対して燃料を投入しても推力を取り出すことが不可能であることから、予冷ターボジェットエンジンにおいては通常のターボジェットエンジンに加えて入ってきた空気を冷やす機構を設けることで高速飛行を可能にしています。

エンジンシステム

予冷ターボジェットエンジンは下の図のような構成となっています。図中のコアエンジンと書かれている部分が前述のターボジェットエンジンに相当します。予冷ターボジェットエンジンにおいては、通常のターボジェットエンジンの上流と下流に可変インテークや、空気予冷器、再熱燃焼器(アフターバーナ)、可変ノズルを設けています。 インテークで高速な気流を効率よく減速し、その後燃料である液体水素を用いた空気予冷器を通り温度を下げます。続いてコアエンジン部分を通り、最後に再熱燃焼器(アフターバーナ)で再度燃焼させ、可変ノズルを通り高速で排気します。 このようなシステムとすることで離陸時からマッハ5程度の速度まで作動することが可能となると考えられています。

予冷ターボ

研究内容

概要

我々の研究室では予冷ターボジェットエンジンのアフターバーナに関する研究を行っています。どのような方向にどのような濃度で燃料を吹いたら効率良く燃焼させることができるか、また排気ガスがクリーンになるかを中心に研究しています。 群馬大学、岐阜大学、日本大学やJAXAとも連携しながら東大柏キャンパスにある極超音速超高エンタルピー風洞を用いた実験を行い、予冷ターボジェットエンジンに関する諸問題の解決に取り組んでいます。 さらに燃焼器内での様々なパラメータを実測することは非常に困難であるので、化学反応を組み込んだ流れ場のシミレーションも同時に行い、実験結果と比較しながら研究を進めています。

CFD

燃焼中のアフターバーナ内部の画像

CFD

アフターバーナ内の数値シミュレーションの結果

窒素酸化物の低減

予冷ターボジェットエンジンの燃料は通常の炭化水素系のジェット燃料と異なり液体水素です。従って、単純に考えると排気ガスは全て水となり、二酸化炭素もその他の物質も排出されません。 しかし、空気を吸っているために排気中には窒素が残っています。一般的に窒素は反応しにくい物質ですが、燃焼ガスのような高温の状態では、燃焼ガスに含まれる酸素と反応して窒素酸化物となります。 窒素酸化物は酸性雨の原因である他、オゾン層の破壊にも影響があることが分かっています。予冷ターボジェットエンジンを搭載する予定の飛行機は、通常の飛行機と比較して2倍程度高いところを飛行するので、オゾン層に対する影響を最小限にとどめることは、環境適合性の観点から非常に重要です。 そこで我々はアフターバーナの燃焼の際の燃料濃度と噴射方式を変えることで窒素酸化物の濃度にどのような影響が現れるかを調べています。