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航空機排気成分の成層圏オゾンに及ぼす影響に関する研究

概要

オ航空宇宙技術が急激に進歩するにつれて、航空産業が環境に与える影響への懸念が世界中に広がっており、産業界や研究者たちの間で最大の関心事となっています。 近年はより効率的な航空宇宙推進システムの開発目的だけでなく、推進システムがもたらしうる気候変化や地球温暖化など、環境への影響を調べる目的として多くの研究がなされており、よりクリーンで環境にやさしい航空推進システムの開発が推進されています。

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水素燃料極超音速ジェットエンジンとそれが環境にもたらしうる影響

極超音速航空機やスペースプレーンに従来のエンジンを用いると、流入空気が空力加熱されるためにエンジンの効率が著しく落ちる可能性があります。 そこで、極低温の水素燃料でエンジンへの高速流入空気を冷却することでこの問題を解決しさらにエンジン全体の効率を改善することを目的として、予冷ターボジェットエンジン(PCTJ)のコンセプトが提案されました。 現在東京大学では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して予冷ターボジェットエンジンのアフターバーナの研究がなされています。 その中でも、予冷ターボジェットエンジンの排気が環境に与えうる影響、つまり水素燃料の燃焼で生じる水蒸気やNOxの排気がもたらすオゾン層の破壊や気候の変動、地球薄暮化といったものに関する研究が関心を呼んでいます。

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実験内容:水素燃料極超音速ジェットエンジンの排気が大気環境に与える影響に関する研究

私たちはまず、異なる排気マッハ数を持つラバールノズル付の燃焼器を設計製作しました。これらは水素燃料極超音速エンジンのアフターバーナの様々な作動状態を模擬しています。低圧状態を作り出せる大型真空チャンバーにこれらのラバールノズル付燃焼器を設置することで、実際のエンジン作動高度環境に近い環境で実験を行うことができます。この大型真空チャンバー(MB94-1066)は、直径2メートル、奥行き約4.5メートル、体積約12立方メートルの円筒状の形状をしています。2台のロータリーポンプに加えメカニカルブースターポンプ、油拡散ポンプを備え、内部の圧力を1.3×10-3 kPaまで低下させることができます。実際の実験では、真空チャンバー内の圧力を調節して再現した種々の高空大気環境に、空気と燃料を様々な割合で混合し燃焼させたガスを排出します。ノズルからの排気を種々の光学計測手法によって分析することで、未反応の燃料の外燃の存在や排気の流れの様子、飛行機雲の形成などについて調べます。 一般的に、空気と燃料の混合比は当量比というパラメータで表されます。当量比は両論燃空比に対する実際の燃空比の比で定義されます。ここで量論とは、空気と燃料が完全に反応する状態のことを指します。この定義により、当量比が1を超えるときは「燃料過濃」状態であり、当量比が1を下回る場合は「燃料希薄」状態と考えられます。 この極超音速ジェットエンジンのアフターバーナでは基本的に燃料過濃状態となります。したがって、消費されなかった水素が周囲の空気とエンジンの外で燃焼することが予想され、アフターバーナでの燃焼由来のものに加え余計に多くの水蒸気やNOxが大気中に排出される可能性があります。そのため外燃の存在は、排気の化学組成や飛行機雲の形成、排気が大気環境に与える影響において重要な意味を持つと考えられます。以上のことから、研究の第一段階として様々な状況における排気の外燃現象を慎重に研究する必要があります。

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燃焼器

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