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燃焼計測に関する研究

概要

高効率・低環境負荷のエンジンを開発するためには、燃焼前の燃料と空気の混合状態や燃焼中の温度分布、燃焼後の排ガスの組成などを正確に計測することが必要不可欠です。 中でも、燃焼温度は燃焼室自体の熱設計に必要不可欠であるほか、重要な環境負荷物質である窒素酸化物の生成にも大きな影響を与えます。 しかし、一般に燃焼温度場は極めて高温となり、温度計自体の耐熱性の問題などにより測定条件が限られてしまいます。 また、熱電対のような接触計測では燃焼場自体を乱してしまい、さらに空間上の1点のみの温度計測となってしまいます。 そこで当研究室においては様々燃焼温度場計測に適用できる非接触の2次元温度計測手法の開発に取り組んでいます。

Citygas

粒子添加可視二色法による温度計測

非接触の温度計測手法に関しては、様々な原理に基づく手法が開発されてきました。中でも、近年はレーザを用いた温度計測が頻繁に行われています。 しかし、計測システム自体が高価であり、また複雑な光学系を必要とすることから計測システムが大規模になってしまいます。 そのため、より実機に近いエンジン内部の温度計測などに対する適用例はそれほど多くないのが現状です。

そこで、我々は低コストかつ簡便な2次元温度場計測として可視二色法と呼ばれる温度計測手法に着目しています。 可視二色法は燃焼中に発生するすすからの放射により燃焼温度を推定する比較的確立された手法であり、主にディーゼルエンジンの燃焼温度場計測に用いられてきました。 可視二色法では放射を計測して温度を推定するため、レーザ計測のように別の光源等を用意する必要がなく、燃焼室内への光学的なアクセスが可能であれば基本的には適用することが可能です。 しかし、すすからの放射を利用して温度計測を行うため、すすの発生しない燃焼場(水素火炎など)やすすの存在しない領域の温度計測を行うことは原理的に不可能でありました。

そこで、我々は燃焼場に意図的にすすに相当する微小な固体粒子を添加することですすの存在しない燃焼場や領域から発光され、その発光に対して可視二色法と同様の画像処理を適用し、 2次元温度場計測を行うことを試みています。 これにより、適用領域の限られていた可視二色法をより広範囲な燃焼温度計測に用いることが可能となります。 当研究室では本手法の開発及び精度向上、添加粒子の及ぼす影響や、画像処理方法、最適な計測システムの研究を行っており、実際に開発した手法を、 水素を用いたジェットエンジンのアフターバーナ内の温度計測や、液体ロケットエンジン内の燃焼温度場計測へ適用することを試みています。

PCTJtemp

予冷ターボジェットエンジンのアフターバーナにおける燃焼温度場

EAtemp

エタノール-空気予混合火炎の温度計測。エタノールロケットの温度計測へ適用するための基礎実験。