一行日記

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2007年10月1日(月) 読書

「1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見」読了(リンク先はAmazonの書籍紹介)。これは面白かった。1990年代および2000年代に明らかになってきたアメリカ大陸の先住民の暮らしについて述べている。彼らは、到達当時のヨーロッパ人の生活水準に匹敵するかある面ではそれ以上の高度な社会を築き上げていた。人口も当時ヨーロッパ全体より多かった。しかし9割以上が旧大陸の伝染病で死んでしまった。管理していた先住民たちが激減したことで、草原は「原生林」になり、それを見て旧大陸の人たちは「先住民は昔ながらの生活をずっと続けていた」と勘違いした、という。特に、熱帯雨林地方にも高度な社会が築き上げられ、熱帯雨林の数割は先住民たちによる人工林であるという話が興味深かった。まだわからないことが多いようなので今後の研究の展開が知りたい。

ところで今日は自分は論文を書いていた。家に帰った後も筆が進んだので、イントロ以外はほとんど書き終えた。

2007年10月2日(火) 第零校

例の思いつき論文「Field Angle Dependence of the Zero Energy Density of States in Unconventional Superconductors: The Relation between the Gap Structure and the Shape of the Fermi Surface(仮題)」、第零校が完成したので林さんにメールで送った。書きやすい話と書きにくい話でこうも執筆速度が変わるとは思わなかった。YKIS2007で話そうと思っていることをまとめた感じ。タイトルは少し長すぎるような気がする。

記憶補助用メモ:フォノンのソフト化

2007年10月3日(水) 小休止

昨日一気に書き上げたせいか、今日は比較的のんびりと作業。15時過ぎに寒気がしてきたので、これは風邪かなと思い、さらののんびり作業。次は何をしようか。そろそろまた強相関系の論文を読もうかなと思い、読むが、わからないことはあっという間に眠くなる。

2007年10月4日(木) 内蔵

理研は埼玉県和光市にあり、東武東上線和光市駅から池袋駅で降り、山手線に乗って新宿で降り、京王線を使って明大前で降り、京王井の頭線で自宅最寄り駅に着く。帰りに駒場による場合は、山手線で渋谷まで行き京王井の頭線に乗り換え駒場東大前で降りる。なので、新宿で一回降りている。というわけで新宿西口のヨドバシカメラに行ってきた。2.5inch内蔵ハードディスクを外付けUSBにする機械を買いに行った。1480円。これでPowerBookG4のデータを救出できると思う。

2007年10月5日(金) 電子複雑系科学研究会

理研の池之端棟でプロジェクト上半期の研究発表があったので、聞いてきた。時間分解能のある光電子分光や電子の長周期構造を探れるsoft-Xray回折やSTMなど、実験の迫力がすごかった。

2007年10月6日(土) 実験

今年の冬学期は去年と同じく基礎物理学実験のTAをやることにしている。今月からだ。今回は理研もあるので、半分の回数の6回にしてもらった。TA収入は、不意に壊れたPowerBookG4の代わりの機種の購入代金の足しにしようかなと思っている。本当は、貯金にしたかったのだが、TA決めたあとに壊れたので用途が確定してしまった。
電子ジャーナルでは読めない雑誌J.Phys.F:Metal Phys.の1973年3号を、昨日夜駒場でコピーした。すぐ近くに図書室があるというのは理研より駒場の方が便利だ。

2007年10月8日(月) SDWとPLDとCDW

今日は祝日だが、駒場へやってきた。昨日は完全に何もしない日(研究関連のことは頭によぎらせない日)にしたので、十分休めた。FF7と桃鉄HappyとAge of Empire IIを久々にやった。
YNi2B2Cに関連して、SDW(Spin Density Wave)とPLD(Periodic Lattice Distortion)とCDW(Charge Density Wave)とフェルミ面ネスティングの関係を調べていた。応答関数が被積分関数が発散する場所がネスティングであって、それは理解できた。一次元の場合は、被積分関数の発散が強いために応答関数自体が発散する、と。で、この応答関数が発散している時は、外部磁場をかけなくても自発磁化が起きてSDWが出る、と。PLDはフォノンのソフト化とほぼ同義である。通常、PLDがおきるとCDWがおきる。で、PLDが起きてSDWがおきる場合もある、と(J.Phys.F:Metal Phys.の論文にあった)。では、フォノンのソフト化がおきていてかつSDWもCDWもおきない場合はどうなるのだろうか?

2007年10月9日(火) 直し

論文の構成を変えて、書いていた。構成を変えるために、書きあがった論文の段落ごとの主題を書き出して構成を眺めてみた。確かにあまりよくないような気がした。というわけで、構成を直して、書き始めた。大体半分くらい作業終了。明日には終わらせたい。

2007年10月10日(水) TA初日

基礎物理実験の初回の講義があった。自分は手伝いということで見ていた。来週から始まる。実験のTAが終わった後に論文の直しをしていたがあまりはかどらなかった。また明日やろう。

2007年10月11日(木) ランチセミナー

ランチセミナーがあった。西脇君と仲井君の学会発表内容の話。構成を直した論文を林さんに送った。やることに優先順位をつけてつぎつぎと処理できるようにしようと思う。

2007年10月12日(金) 出直す

古崎さんと論文読みのゼミをやっているのだが、自分の基礎知識の欠如のせいで「すいません出直してきます」という状態になってしまった。勉強が足りない。特に、Green関数と物理量の関係の理解が不十分だ。

2007年10月14日(日) Green関数

13日土曜日、魚を食べて魚鑑賞ツアー(寿司食べたあと水族館)を大洗で行った。魚は見ててなごむ。日曜日はGreen関数について勉強していた。いまだにGreen関数を理解していない。準粒子の寿命とかそのあたりのことを読んだ。ザゴスキン「多体系の量子論」はするめのような本だ。読むたびに発見がある。

2007年10月15日(月) 歓迎会

古崎研に二か月ほど滞在する予定のロシア人Zlata Pchelkinaさんの歓迎会があった。ロシア語を勉強したことがあるという話をしたが、ほとんど忘れていて二つくらいしか文章が出てこなかった。やらないと忘れてしまう。日中は、今後DMFTをやろうと思い、レビュー論文を印刷し、眺めた。

2007年10月16日(火) DMFT

古崎さんと読んでいた論文をとりあえず終わらせた。有田さんが面白そうなDMFTの拡張方法を知っていたので、それの論文を解説する、というのを今後の予定とする。DMFTの考え方自体はそんなに難しいものではないが、プログラムするとなると量子モンテカルロやファインマンダイヤグラムの知識が必要になってくる。とりあえずダイヤグラムの習熟を行うべきだろう。

2007年10月17日(水) 続DMFT

DMFTがどういうものなのかは大体わかった。その拡張方法として二種類の方法があり、方法の一つとしてDΓAというのがある。最新の論文を読むためにはこれを理解しなければならない。そしてこれを理解するためには経路積分表示とかファインマンダイヤグラムとかをもう少し知らないといけない。でもその前にそもそもGreen関数についてよくわかっていないことがあるので、それをノートにまとめようと思い、ノートを作っていた。

2007年10月18日(木) Mathematica

Mathematica 6が研究室に届いたのでさっそくインストールした。Plot3Dをマウスでぐりぐりできる(Gnuplotでは前からできた機能ではあるが)。色がいろいろ付いた。計算機室にあるPCにもインストールしようと思ったが、鍵の関係で入れず。しかし、sshfsというssh経由で他のコンピュータのディレクトリをマウントできるプログラムの存在を知り、解決した。他のLinuxマシンにDVDを入れておき、マウントし、それを入れない場所にあるPCからsshで接続し、そのマウント先のディレクトリをさらにマウントした。これで、DVDを遠隔で読むことに成功した。
ノート「Green関数のエネルギー−運動量表示と準粒子描像」をアップロード。今後読むものの基礎となる部分を確認した形になっている。最終的には経路積分表示を使って双対変換してファインマンダイヤグラムを計算するということをやる論文を読むので、道はまだ長い。

2007年10月19日(金) four point vertex

二体のGreen関数を考えるときに出てくるfour point vertexについていろいろ勉強していた日。ノートを作ろうとコンピュータ上でtexを打ちながら計算していたら、計算ミスなのかどうしても合わない箇所が出てきて、結局その打ったところが全部無駄に。やはり一度紙で計算しきってからのほうがよいようだ。

2007年10月22日(月) 結膜炎と風邪

左目が結膜炎になった。そして風邪を引いた。土日に群馬でバドミントンの合宿があり、数ヶ月ぶりにバドミントンをしたのだが、どうやら張り切りすぎて衰弱し、体の抵抗力が落ちたようだ。というわけで、今日は理研が創立記念日で停電&断水でお休みということもあり、家でのんびりとしていた。例のvertexの計算をベッドで寝転びながら計算していたが、どうにも合わない。教科書にミスプリントがあるような気がしてきたので、明日あたり違う本をあたってみようと思っている。

2007年10月23日(火) ノート作り

ノート「Anderson模型のHartree-Fock近似」をアップロードした。DMFTを習得する上でいろいろな基礎知識を身につけなければならず、Anderson模型の理解もその一つだと思ったのでノートを作ってみた。次はフェルミオンの経路積分について学ぼうと思っている。

2007年10月24日(水) 実験TA

今学期初の基礎物理実験TAだった。去年もやっていたので特に混乱もなく終わった。時間がかかりすぎたということもなかったので、まあこんな感じでよかったのだろう。
フェルミオン系の経路積分は少しずつわかってきた。もう少しグラスマン数に慣れれば論文が読めるようになりそうだ。

2007年10月25日(木) 経路積分

午前中は論文読み。グラスマン数に慣れてきたので「作用」が怖くなくなってきた。午後は経路積分についてのまとめノート「経路積分表示 part 1:1粒子の場合」を作成しアップロード。フェルミオン系までまとめたノートを作成すれば、きっと論文が読めるようになっているはず。DMFTを経路積分から理解できるようにしたい。

2007年10月26日(金) 続・経路積分

ボソン系とフェルミオン系の経路積分のノートを作るため、駒場で文献あさりをした。テンソル恐怖症のため、場の理論の本を恐る恐る開いて、テンソルにあたらないように経路積分を調べていた。

2007年10月27日(土) アクセプト

今朝の八時にPhysical Reviewの編集部からメールがきた。PRBに掲載決定。これで論文は3本になった。うれしい。
今日もノート作りをしていた。「経路積分表示 part 2:ボソン系、フェルミオン系の場合」アップロード。Green関数の部分を少し書きたそうと思っている。

2007年10月29日(月) YKIS

YKISのポスター発表のアブストラクトが出ていた。どうやらポスター番号は最終番らしい。ポスターなので番号はあまり関係ないだろう。しばらく経路積分とか作用とかやっていたので、そろそろZEDOSの話に戻ってポスター作製を始めようかなと思う。しかしそれは明日からにして、今日は有田さんに教えてもらった論文を読んでいた。

2007年10月30日(火) 学振

「あなたの申請は、独立行政法人日本学術振興会特別研究員等審査会における書類選考の結果、面接を実施することとなりましたので、下記によりご出席ください。」
だった。とりあえずほっとした。11月末に面接があるようだ。時間は発表4分全部で10分。去年は書類落ちしたので確実に前へは進んでいると思う。11月はいろいろ忙しくなりそうだ。

2007年10月31日(水) 実験TA

実験TAを午後していた。空いた時間に読めるようにと、本を何冊か借りた。高田康民さんの「多体問題」を借りた。Green関数のところだけ読んでいるが、非常にわかりやすい。特に4点vertexとself energyとの関係を導出する流れが今まで読んだ本の中で一番わかりやすかった。vertexはいま読んでいるDMFTの拡張の論文で使うので、理解しておきたかったのでちょうどよかった。通常DMFTでは不純物問題を解いて得られたself energyを用いて再び不純物問題を解くという流れだが、不純物問題を解く際にvertexを求めてself energyを求めるというのがDΓAという近似法だ。

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