一行日記

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2007年8月2日(木) 論文読み

一昨日と昨日は、伊豆熱川の海に行っていた。知り合いの娘二人(4才児と5才児)とずっと遊んでいた。抱っこしたりおんぶしたり砂遊びしたりして両手筋肉痛+背中真赤になった。彼女らは疲れを知らない。
今日は古崎さんとセミナー。slave boson mean fieldの論文はいまいちよくわからない(気持ちの悪い)式展開があったので計算結果を最後に眺めて終わり。この話で何かするのではなく、違う論文を読むことにする。次はslave roter mean field theoryのを読んでみようかという話になった。

2007年8月3日(金) Pentium IIIとFedora 7

研究室であまっているコンピュータをファイルサーバーにしようと、Pentium IIIにLinuxを入れようとした。ついでだから最新のFedora 7をネットワークインストールしようとした。コンピュータの電源かマザーボードかどこかがおかしいせいか、何度かインストールに失敗したが、最後にはうまくいった。だが、クリーンインストールしたはずなのに、最初から不安定だ。やはり電源かどこかがおかしいのかもしれない。

2007年8月4日(土) カスプ

Runge-Kutta法による数値計算がうまくいかない。これはプログラムのミスなのか、物理的必然なのか。近似法と数値計算結果がなぜ食い違うのか徹底的にみる必要がある。ちなみに今日はPentium IIIのパソコンからCPUを引っこ抜いてセレロンの載っていたマザーボードに差したりした。自作の楽しさを少し味わった。

2007年8月6日(月) 突破口

例の思いつき、何故数値計算がうまくいかなかったのかがわかった。今日は、紙の上で方程式をいじっていたが、それが功を奏した。解析的にある結果を押さえることが出来、それによって数値計算のある挙動を説明できた。そしてその挙動からどのパラメータを動かすべきか理解できた。そのパラメータはいままでのこの思いつき研究のプログラムで一度も動かしたことのないパラメータだった。そのパラメータを変更してはいけないと思い込んでいた。夕方にそのパラメータをいじってクラスタマシンにジョブを投入、二十二時過ぎ、実行結果を確認。かなりの確率で間違いない。思いつきは正しかった。まだ勘違いの可能性もあるが、いまとても興奮している。

2007年8月7日(火) 閲読

学会誌の閲読を一気に書き、メールで内容を送った。例の思いつき、やはり問題はないようだ。今後はより精度を上げるということをしなければ。そして現在までのまとめノートを加筆修正しよう。

2007年8月8日(水) まとめ

まとめノートを作っていた。計算も精度がよい結果がぽつぽつと出始めた。ノートを作るとごちゃごちゃとしていた話が整理されてすっきりしてくる。

2007年8月9日(木) リニューアル

総合文化研究科相関基礎科学系のホームページが大幅リニューアルされていて驚いた。自分のLDOSの絵がさりげなく使われていた。

2007年8月10日(金) レフェリーレポート

24時過ぎにメールチェックをしたら、Physical ReviewからYNi2B2Cの論文のレフェリーレポートが来ていた。レフェリーの一人からのレポートだった。このままだと通せない、s+g波モデルよりもあなたがたのモデルは非現実的だ、とのこと。しかし、コメントは全て反論できるものだった。そのメールのせいで目が覚めてしまい、25時半くらいまでメールを熟読して反論を考えた。こちらの議論が不十分だった点は確かにあるので、議論を拡充すればよいと思う。

2007年8月15日(水) 帰省中

ただいま帰省中。北海道の実家にはクーラーがなく、しかも今年は猛暑でお盆ころから連日30度超え。部屋より外のほうがまだ涼しい。というわけで、扇風機にあたりながらレフェリーレポートの反論を考えたり新しく必要になった図を描いたりしている。

2007年8月17日(金) レフリーコメント

レフェリーコメントに対する反論と、コメントを反映した論文を大体書き終わった。ディスカッション部分が1枚分増えた。最近は北海道は涼しくなったのでとても快適に作業ができてうれしい。

2007年8月19日(日) やぎ肉パーティー

今日はやぎ肉を食べた。羊肉も食べた。豚肉も食べた。鶏肉はおなかいっぱいで入らなかった。種牡馬がその光景を見ていた。上空でとんびが十数羽旋回していた。牛がいなないて、馬もいなないていた。放し飼いの犬が焦げすぎた肉を食べていた。そんな焼肉パーティーの日。ちなみに実家で行ったわけではなく、酪農家の家で行った。明日、東京に帰る。

2007年8月21日(火) 東京暑い

東京はやはり暑い。Fractional論文第0校が出来上がり。現在、四つ同時進行(YNi2B2Cレフリーレポート関連、Fractional論文関連、例の思いつき関連、強相関論文読み関連)になっていて、混乱する。それぞれの特徴的な時間スケールが異なっているから同時にできるのだが(メール返信待ちや計算終了待ちなど、それぞれ待つ時間が異なる)、最小公倍数的にかちあうと、次に何をすればいいのか混乱する。

2007年8月22日(水) Slave

Slave-rotor mean-field theoryの論文、大分気持ちがわかってきた。で、あらためてその論文のハミルトニアンを眺めてみる。tUjモデルはどうやらHubbardモデルから導出できるそうだ。強相関電子系にはあまりなじみがなかったので何もかも勉強不足だが、Hubbardモデルで二重占有を禁止した強結合極限はtjモデルになり、占有しないにしろUが非常に大きい場合がtUjモデルになり、というような感じのようだ。また、HubbardモデルからHeisenbergモデルが導出できるようだ。このあたり、磁性の教科書等で徹底的に基本を押さえておいたほうがよいのかもしれないと感じた。

Hubbard model:

Heisenberg model:

mimetexの使い方の練習がてら書いてみた。

2007年8月23日(木) 

9時ころに加藤先生とレフリーコメントについて議論した。レフリーは欧米人の実験家であると予想。午後はいとこの中学生に数学を教えに行く。空間図形で思いのほか手間取った。学部1年のときにやった「図形科学」の授業を思い出すようだった。影を書け、とかあれはずいぶん手間取ったのを覚えている。

2007年8月24日(金) スピン演算子

第二量子化におけるスピン演算子の気持ちが少しずつわかってきた。もう少し強相関系の本を読もうと思う。まとめてノートでも作れればよいのだが、ノートが作れるほど自分の中でまとまっていない。

2007年8月25日(土) 図書室

駒場で本を探そうと思って自然科学図書室に行ったのだが、電子相関を扱った本がほとんどなかった。あったのはクリーム色の大学院物性物理の本くらいだ。しかも今日は土曜日で本を借りられない。というわけでどこかほかで探さねば。

2007年8月27日(月) 本が足りない

読みたい本がすぐに読めない状況にある。理研の図書室は書籍はほとんどなく論文誌ばかりだし、駒場自然科学図書室は大学院以上向けの本がほとんど置いていないし。というわけでそろそろ自分の本を買ったりしたほうがいいのかなと思う。今日はNature Phys.のKissさんのNbSe2のARPESの論文を読んだ。非常に興味深い結果だ。勉強のほうは、最近は量子スピン系の平均場についていろいろ調べているが、勉強不足なところが多い。そもそも、有効ハミルトニアンの導出という前段階でつまづいている。問題は、参考になる本が手元にないことだ。帰りにFF7を衝動買いした(PS1の)。

2007年8月28日(火) 大雨

19時ころ駒場を出たというのに、家に帰り着いたのは21時ころだった。いつもならDoor to Doorで45分もかからないのだが。「今日雨降りますよ」という坂下門付近での彼のセリフが思い出される雨宿りだった。

2007年8月29日(水) Hubbardとt-JとHeisenbergモデル

Hubbardモデルからt-Jモデルを導出するノートを作ってWebにアップした。Hubbardモデルにおいて斥力相互作用がホッピングよりもはるかに強くサイトの二重占有が禁止されている場合、低エネルギー有効理論としてt-Jモデルが導かれる。さらにハーフフィリングのときにはHeisenbergモデルになる。生成消滅演算子の並び替えに思いのほか手間取り、計算にやたら時間がかかってしまった。

2007年8月30日(木) 歩行

ある論文を読んでいて、どうしても計算があわないところがあり、ずっとうなっていた。帰り道に歩きながら考えていたら、2π/3+2π/3=4π/3[rad] = 210度としていたことに気づいた。240度にして暗算したらすぐに解決した。悩んでいるときはぐるぐる歩いて考えるというのは実は本当に有益なのかもしれない。昨日か一昨日かにさりげなく論文リストを昇順から降順へと入れ替え、国際会議のところにYKIS2007で発表するタイトルを書いた。

2007年8月31日(金) SDW

八月最終日。今日も強相関系の論文を読んでいた。spinonのハミルトニアンを平均場近似して、対角化した。SDW準粒子の生成消滅演算子を導入してハミルトニアンを対角化するのはBCSハミルトニアンにボゴリューボフ粒子の生成消滅演算子を導入して対角化する手順と本質的には変わらなかった。ハミルトニアンを行列表示して固有値を出して固有ベクトルを見ればよい。
最近、理研までの通勤時間が長いのを利用して本をいろいろ読んでいる。塩野七生「ローマ人の物語」の文庫の28まで読んだ。その後同じく塩野七生「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」を読んだ。その後マキャベリの「君主論」を。いろいろ読み終わった頃にちょうど「ローマ人の物語」文庫新刊の29から31が出たので、良かった。

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