一行日記

バックナンバー

[先月] [目次] [来月] [最新版] [トップ]

2007年7月2日(月) 時間のかかる計算

5日まわしっぱなしにしていた計算、半分くらいは終わっただろうとみてみると、まだ四分の一だった。ということはあと15日くらいかかるようだ。というわけでいま得られている点達から、今後の動きを予想してみた。どうやら予想通りの結果になりそうな気配だ。古崎研のクラスターマシン、いま修理中だ。一番計算したいときに壊れていて運が悪い。プログラムでガンマ関数を使うことになったので、ガンマ関数は組み込み関数かなと思ったらFortran90以降では組み込み関数らしい。自分は77を使っているので、使えない(.f90という拡張子にしてコンパイルするとエラーが大量に吐き出される)。ほかにいろいろ近似のサブルーチンを見つけたがどれもなぜかうまく値を返してくれないので、定義式通りで積分したら意外と速かった。

2007年7月3日(火) 物理部会談話会

談話会があった。ケーキを食べた。うまい。話はLHCの実験計画について。いわゆる素粒子実験という分野。とりあえずお金も研究者人数も時間も場所もとてつもない規模であることはよくわかった。内容は、この分野の基礎知識が無いので、最初の装置の説明以外は全然わからなかった。例の問題はいまはただ計算が終わるまで待つのみ。というわけで学会の概要を作っていた。
ちなみに今日は誕生日だった。

2007年7月4日(水) プログラム

徐々に精度を落として計算時間を短くしている。しかし、ルンゲクッタはなかなか計算時間が有限の時間で終わらない。いっそのこと台形公式の方がいいのだろうか。精度保証型サブルーチンではなく、イタレーションをしないプログラムにしようか。

2007年7月5日(木) Slave boson

古崎さんと何かしたいということで、新しい分野の勉強を開始した。強相関電子系の論文を読み始める。ハバードモデルだー、とモチベーション高く論文をイントロから読み始めるも、最初から二つ目の式で眠くなる。論文を読むための論文を読むための論文を読むという被引用の鎖をほどく作業が必要となりそうだ。例の計算、YNi2B2Cの場合に計算したら予想外のまずい方向に向かっていることがわかった。さて、どう切り抜けよう。

2007年7月6日(金) 並列計算

MPIによる並列計算を行うプログラムを作っていたが、どうしてもうまく実行できず、悩んでいた。しかし、よく考えれば、Doループを分割するだけの並列計算であれば、手動でDoループの範囲を変えて流すだけでよいことに気づいた。古崎研の古いほうのクラスター計算機が使い方がわかったので、Doループを細かく分割して流した。

2007年7月7日(土) 論文読み

Slave boson mean field theoryをつかった書かれた論文を読んでいるがそもそもslave bosonの気持ちがわからず、Hamiltonianで難航中。例の計算のプログラムもなぜかうまくいかないバグに悩まされて難航中。より精度がよくなる方向に改良したはずなのに、ぜんぜん違う挙動を示していて、意味がわからない。はて。

2007年7月9日(月) Hubbard

Hubbardモデルをよく理解していなかったので、Hubbardの原論文(Proc. R. Soc. London, Ser. A 277 237 (1964))を探しに理研の図書館に行った。Proceedingsなのに19ページもありしかも丁寧に書いてあるように思う。昔はみんなProceedingsは長かったのだろうか。地下の書庫で探している途中、1902年の論文集を発見して驚いた。100年経っている。紙がものすごく茶色かった。Slave bosonの勉強は少しSlave bosonの気持ちがわかってきた。あとはSlave bosonの平均場近似の気持ちがわかればいいなと思う。

2007年7月10日(火) Sigristさん

Sigristさんが著者の一人である強相関な論文の内容について、古崎さんとショートゼミをした。わかってくるとおもしろそうな分野ではある。例の計算は、Runge-Kutta法がおかしいのかとd波のLDOSを計算させてみたが、普通に出た。ではなぜあの計算は失敗するのだろう。四重積分の方はなんとなく落とし所が見えてきた。

2007年7月11日(水) Doppler shift

林さんにDoppler shiftについての自分の見解をまとめたノートを送った。それでいろいろ文献も調べていたら、JETP Lettersの古いのは(1-65までは)
http://www.jetpletters.ac.ru/ps/index-v-ten_1.shtml
からダウンロードできることを発見した。これでVolovik等の論文を簡単に読めるようになった。

2007年7月12日(木) 磁場依存性

例の物理量の磁場依存性を計算していた。まあなかなかコンシステントな結果になる。例の計算をきっちりやるにはサブルーチンをいちから作り直さないと精度が悪いことがわかってきた。

2007年7月13日(金) Mimetex

加藤研サーバーにmimetexを導入した。その結果

等と書くことができるようになった。 画像ファイルを生成するので、winでもmacでもlinuxでもブラウザも問わずに利用できる。

2007年7月14日(土) 計算が終わらない

台形公式で二重積分をやらしている。最初は20点くらいのサンプル数で、それから徐々に増やして計算させている。サンプル数をN倍するとN^2倍で計算時間が増えていくので、まともな精度が出るときにどの程度時間がかかるか見当がつかない。いまのところ、サンプル数100で心の目で見るとまともっぽく見えてきたような振る舞いをしており、サンプル数200ならもしかしたらうまくいくかもと淡い期待をしている。使っているPentium 4 2.8Ghzが26個のクラスター計算機(一部ノードは壊れているが)はハイパースレッディングで1cpuあたりのノード数は2個、つまり約50個のノードがある。古い計算機なので、自分ともう一人の人しか使っていないので、人海戦術ばりに1node使用のジョブを10以上投入している。しかし、新しいほうのクラスターが早く使えるようになればいいなと思う。やはりPen4は遅い。

2007年7月16日(月) 祝日

風邪を引いたのか体調が悪く、昨日はなにもしない日だった。今日は朝起きて少し頭がまだ痛かったので、そのまま寝ていた。午後になり、お腹が空いたので駅前へ。そしてここまで来たのだからと大学へ。スピーカの音量をオンにしてのんびりと過ごす。プログラムしたり勉強したり。Fractionalの論文を一行程書いた。これは少しずつ書こうと思っている。たくさん同時にやることがあると時間の配分の練習になってよいのかもしれない。

2007年7月17日(火) PRB

Sigristさんが著者の一人に入っている論文(2007年5月)の式の導出を行っていたが、この論文、3ページまで読んでいままで見つけた間違いは三つもある。どうしても出ない式は必ずどこかが間違っている。まあ、式の導出の訓練にはよいのかもしれない。大分slave boson法がわかってきた。例の計算は、どれも一晩では終わらないので、今日は進展なし。どうやら三日以上かかるようだ。YNi2B2Cはプログラムを精度が出るように書き直したが、精度を出すためには計算時間がかかるみたいだ。

2007年7月18日(水) 線形代数

今日、線形代数を教える機会があった。線形代数、余因子のあたり、大学一年の頃これを定義して何がうれしいのかさっぱりわからず計算もあまり腑に落ちず、なんともいえない気持ち悪さがあった。久々に見ると、相変わらず何がうれしいのかわからないが、計算についてはわかるようになっていた。行列に慣れたせいかもしれない。

2007年7月19日(木) 見守る

計算を見守って、データがでてくるのを見るという作業をしていたが、それは別に自分が頑張っているわけではなくてコンピュータががんばっているわけで、あまり疲れる要素はないはずだがなぜか仕事をした気分になる。大分計算は落ち着いてきたように思える。

2007年7月20日(金) Fractional

お盆の帰省の帰りのチケットを無事入手。お盆シーズンは飛行機のチケットは高い。今日は計算も勉強もはかどらないので、Fractionalの論文の文章を少し書いた。一日必ず一行以上書くということにして書いている。だんだん文章が増えてきた。文章が増えてくるとだんだんとやる気がでてくる。初校をお盆前までに書き終わりたい。

2007年7月22日(日) 解決

ここ二三週間ずっとうまくいっていなかったプログラム、林さんにアドバイスをもらったらデータがでてきた。積分精度とアルゴリズムの選択の問題だった。精度保証型アルゴリズムでなかなか収束しないパラメータ領域があったようだ。台形公式でそれなりの精度が出るように直したら今まで一週間しても一点も出なかったプログラムが数時間で一点以上でるようになった。最近は朝と夜に計算の実行状況を確認して必要に応じて新しいプログラムを流すということをやっている。今日はサイモン・シンの「暗号解読」を買ってきた。そして家でごろごろしながら半分ほど読んだ。サイモン・シンはやはり面白い。

2007年7月23日(月) 気づいたこと

どうやらPentium 4 3Ghzだと思っていたものは、Xeon 2.4Ghz x 2だったようだ。つまりHTじゃなくてDualだったらしい。しかし、なぜか、1nodeあたり2つフルに使うと単体速度が遅くなるような気がする。そして、最近悩まされていたバグの元凶がわかった。PGI FortranでコンパイルするマシンとIntel Fortranでコンパイルするマシンでは、微妙にコンパイル後のプログラムが変わっていて、そのせいで値が正しく出ていなかったようだ。Intel Fortranで正しく出ていることを確かめて、PGI Fortranのマシンでコンパイルして実行させると、おかしい結果が返ってきた。サブルーチン内で明示的にreal*8だと定義していない関数があったせいだ。Implicit noneを使うように心がけたほうがよいようだ。

2007年7月24日(火) 計算途中

計算時間がかかるせいで、点と点の間をじっと見つめて、次に出てくる点を予想する。何度もそればっかりやっていると、補間能力が身についてきたように錯覚してくる。実際は自分にとって好ましい曲線を心の目で見ているだけである。さて、計算はどう頑張っても速くならないことがわかったので、計算させている時間に何をするかが問題だ。

2007年7月25日(水) 九月の飛行機

無事、九月の学会の飛行機の往復のチケットを手に入れた。片道5000円のチケットを取れたので、往復10000円で済む。このチケットは二ヶ月前の9時半から予約開始であり、今朝九時半に9月25日の帰りの便がとれた。北海道には実家があるので、宿泊費はいらないので、非常に安上がりとなった。例の計算、二つのプログラムで同じ点を計算していたりするミスなどがあり、進展は特にない。なのでFractional論文用の図の作成をしていた。

2007年7月26日(木) イントロ

Fractional論文のイントロダクションをどうしようか、ずっと悩んでいた日だった。3時くらいに少し頭の中が整理されてきたので、一気にとりあえず書き下してみた。論文の体裁になってきたように見える。そろそろYKIS2007の募集締め切りがあるのでアブストラクトを書かなければ。

2007年7月27日(金) GLとBdG

西脇君がやっている研究の話にちょっかいをだしたりしていた。例の思いつき、計算の精度を上げる段階になっているので、ますます時間がかかる。まあ、計算すれば希望通りの結果が出るだろうから我慢できる。というわけでFractional論文の図を作ったり文章を書いたりした一日だった。YKISのアブストの草案を書いた。最近暑い。

2007年7月28日(土) ジョブ

定期的にジョブを投入した日だった。プログラムをもう少し改善したい。

2007年7月30日(月) ショックな出来事

朝、10時間くらいで終了する計算をパラメータを変えて十個ほどクラスターに放り込んで、夜どうなったかなと眺めてみると、何も出力されていなかった。ソースコードを確認してみると、write文がコメントアウトされていた。意味ない。

[先月] [目次] [来月] [最新版] [トップ]

your@mail.address
Akiary v.0.51