一行日記

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2007年6月1日(金) アトム17日目:セミナー

Fractional Vortexのインフォーマルセミナーをした。実現可能性をもう少し説得できるように話さないとこのままではうまい形で話せない。構成とイントロに問題があるのだろう。文献をもっと読まなければ。

2007年6月2日(土) アトム18日目:大原

大原の寂光院と三千院に行ってきた。コケが良い。

2007年6月3日(日) アトム19日目:自転車

自転車で走り回った一日だった。午後9時半ごろ京都駅から北白川まで走ったが、大体30分くらいだった。京都駅までの道も大体わかったので、北白川より南、京都駅より北、二条城より東、南禅寺より西の領域はほぼどこへでも行けるようになった(方向音痴なので地図で確認は常にするが)。

2007年6月4日(月) アトム20日目:談話会

13時半から談話会ということでYNi2B2Cのことをしゃべった。理学部から人が来ていたのでかなりの人で驚いた。もっと話を上手にしたい。終わった後、半ば放心状態な疲れの中、非平衡Green関数の勉強をしていた。Keldysh形式がなぜ行列を導入する必要があったのかを考えていた。Wickの定理が使えるのは納得したが、簡約定理が何故使えるのかが理解できていない。

2007年6月5日(火) アトム21日目:Dyson

非平衡Green関数の非連結ダイヤグラムがなぜキャンセルするのか(簡約定理)は理解できた。非平衡Green関数では行列形式であるKeldysh形式が便利であることも理解できた。あとはDyson方程式が成り立つことを理解できればノートを作れる。シュリーファー輪講ではRPAをやっていたので復習になって大変助かった。京都バスが入り組んでいて困ったがまあなんとか人に聞いて経路を把握。明日は朝早くに岡山大学へ向かう。

2007年6月6日(水) アトム22日目:岡山大町田研セミナー

日帰りで岡山大学の町田研に行ってきた。YNi2B2CとFractionalVortexの両方の話を話した。いつもと同じペースで喋ってしまったので、13時半から16時過ぎという長丁場になってしまった。Fractional Vortexの話は結構受けが良かった。Sr2RuO4について非常に興味深い話を町田先生から聞く。市岡さんとも議論した。とても有意義だった。夜は岡山にいる知り合いと少し飲んだ。そして終新幹線で京都へ。あまり観光できなかったが、とりあえず吉備団子は買ってみた。

2007年6月7日(木) アトム日記23日目:焦る

午前中はKeldysh形式のGreen関数のまとめノートを作成していた。だいぶんわかってきた。3時半からは竹内さん(佐野研D1)の液晶の非平衡相転移のセミナーを聞く。実験と計算を両方やって、ちゃんと実験結果を説明できているのはすごいと思った。一つだけ細かい質問をしてみた。みんな振り返って少し驚いた。畑違いの人間としてセミナーを聞いて思うのは、「どこまで実験と合わせればハッピーなのか」がよくわからないことだ。その「実験と合っている」が業界のどのような位置づけなのかがわからなかった。まあこれはどんな分野のセミナーにも当てはまることなので、自分のセミナーも話し方を改良しなければならないなと思う。夜は植田くんにエスペラント語研究会の部室に連れて行ってもらった。かなり歴史があるが今は二人だけらしい。その後帰ってきてプログラムミスかと思った計算を見直したらただ自分の記憶が失われているだけでミスではなかったことがわかった。

2007年6月8日(金) アトム24日目:下鴨神社

今日は少しスローペースだった。本当は二時過ぎから金閣寺に行こうかと思っていたが、あいにくの雨で、少し晴れた合間に4時ころに下鴨神社へ行った。しかし、4時くらいに行ったので、境内には入れたけれども中の展示品を見ることができなかった。また行こうと思う。夜は大阪で学部時代の友人と会った。大阪へは新快速を使ったが、京都からすぐ近くだった。

2007年6月9日(土) アトム25日目:清水寺、高台寺

定番ではあるが、清水寺へ行ってきた。混んでいた。二回ほど来たことがあるが、来るたびにやはり見るところが違うのか新鮮さがある。そして高台寺にも行った。

2007年6月10日(日) アトム26日目:金閣寺、仁和寺

今日はやはり定番ではあるが金閣寺へ行った。そして仁和寺にも行った。時間の関係上龍安寺には行けなかった。金閣寺は初めて行った。大きくて光っているので銀閣寺とはやはり対照的だ。敷地も大きい。仁和寺は庭が良かった。もうアトム滞在も26日目だ。次の金曜日に帰るのだが、この週は行きたくて行けなかったところをいくつか見て回りたいと思う。とりあえず平等院鳳凰堂は見たい。

2007年6月11日(月) アトム27日目:非平衡Green関数

非平衡Green関数のノート、導入部が書き終わったのでサイトにアップロードした(「Keldysh形式の非平衡Green関数の導入」)。勉強し始めたころは何故contour orderingを用いるのか、何故行列の形になっているのか、さっぱりわからなかったが、ノートとしてまとめたあとは自明にすら思える。ついでにFeynman diagramの導入の意味も勉強できてよかった。次は超伝導現象の非平衡状態に進みたい。
メモ:YAMAHAのソフトウエアMIDI音源YAMAHA S-YXG50がフリー公開されていた(フリー化は一年以上前の話だが)。Windows標準より圧倒的に音が良いので気に入っている。備忘録としてソフトウエア名をここに書いておく。

2007年6月12日(火) アトム28日目:Mahan

今基研から借りている本の一つはMahanの本だ。これずっと「マハーン」だと思っていたがどうやら「メイハン」らしい。加藤先生の論文チェックが終わった。共同研究者の方々の返事を待って、いよいよYNi2B2Cの論文を投稿できる。共同研究者の方々のおかげでかなりよくなったと思う。第1版と最終版第12版を比べると、読みやすさが全然違う。追記:林さんからコメントが来た。今日中に反映させてしまおうと思う。さらに追記:今日、低磁場比熱の面内磁場方向依存性をDoppler Shift法以外で説明する方法を思いついた。これの最大のポイントは極大比熱と極小比熱の比が実験と同じオーダーになることだ。単なる気のせいかもしれないが、いろいろ試せそうなことがある。さらにさらに追記:うーん、思いつきはだめかもしれない、と日付が変わるころに思った。

2007年6月13日(水) アトム29日目:投稿完了

YNi2B2C論文をPRBに投稿した。長い道のりだった。明日あたりにcond-matに載ると思う。いまとてもほっとしている。そして夕ご飯にまんが肉を食べた。

2007年6月14日(木) アトム30日目:送別会

10時ごろ、cond-matに投稿した論文が出ていた。0706.1863 うれしい。
arXivの番号が統一されたので、いままでarXiv:cond-mat/xxxxxxだったものが統一以降の論文はarXiv:yyyyyyとなる。この場合引用はどうなるのだろう。やはりarXiv:yyyyyだろうか。
遠山さん戸塚さん森成さんの固体物性理論のグループが送別会をしてくれた。感謝。その一次会のあと、エスペラント語研究会の部室で二次会。帰ったのは2時。とても楽しかった。

2007年6月15日(金) アトム31日目:京都から東京へ

午前中にシュリーファーの輪読に少し参加して、そのあとあわただしく基研をあとにした。そして12時半ごろの新幹線にのり、15時半ころ駒場に到着。内海さんの物性セミナーを聴く。
アトム滞在の感想:とても良かった。基研は環境が良い。研究もいろいろ進展したし、勉強もできたし知り合いも増えた。全国のほかの地域の人がどのように頑張っているのかを目の当たりにできてモチベーションも上がった。行く前は一体何をすればいいのだろうと心配していたが、結局杞憂だった。

2007年6月18日(月) 理研

土曜日日曜日は本当になにもせずこんこんと寝たりだらだらしたりしていた。そして今日は理研へ。朝の込み具合はやはり人間的ではないと思う。12日に書いた思いつきが正しいかどうかを検証するためいろいろとプログラムを走らせる。今のところ問題はないような気がする。思いつきが本当であればなかなか大変面白いことになるので、慎重に計算やチェックをしなければ。

2007年6月19日(火) 衝撃の新事実

Mathematicaで、
<< Graphics`
<< RealTime3D`
とすれば、Plot3Dで描いたグラフをマウスでぐりぐりできるのを、今日気がついた。

例の思いつき、まとめたノートがだいたい出来上がった。いい感じのような気がする。そして計算が終わるのを待つ間に、次に研究する分野を何にしようかとPRLやGoogle scholarで調べていた、がいまいちだった。

2007年6月20日(水) Fractional Vortices

DMRGの論文を印刷したりして情報収集をしていた。さて、今何をすべきか、と考えたところ、Fractional Vortexの論文の草稿でも書こうと思い立つ。そして例の如くタイトルといくつかの式を入れて、それっぽくしてみる。論文になりそうなネタは現時点ではこのFractional Vortexと実験の方との共同研究(まだ影も形もないが)と最近思いついた比熱がらみ(まだ研究になるか怪しいが)の三つ。その後何をしようか悩んでいてDMRGなどを知ろうかなと思っている。学振のサイトに久々に行ったら19年度にDC1をもらった人の名前一覧があった。名前で検索して調べてみた。結論から言えば、自分の敗因は研究計画っぽい(業績は何の問題もなかったようだ)。次は当たりますように。追記:「当たりますように」とか書くからまずいのかもしれないとふと思った。次は獲れますように。

2007年6月21日(木) Gmail

情報基盤センターから新しいメールアドレスをもらった。今まで使っていたss56079は使えなくなり、ss077039になる。まあ、ynagaiがあるので基本的には使わない。JPSJがメールアドレスを生で書いてしまっているせいで、ss56079にはスパムが大量に来ていた。それがss56079の転送先であるss077039に大量に入ってくるので、結果的にynagaiにも大量の迷惑メールがやってくる。そこで、ss56079→ss077039→ynagaiという転送の間にGmailを挟むことにした。つまり、ss56079→ss077039→Gmailのアドレス→ynagaiという流れだ。こうすることによって迷惑メールはGmailの強力なフィルタにはばまれる、はず。情報基盤センターが提供しているメールサービスはいまどき迷惑メール対策が件名での手動振り分けで、あまりにも無力だ。Gmailの効果の有無は今後大量にやってくるであろうss56079へのメールの処理をみて考える。

2007年6月22日(金) 物性セミナー

山口氏の「超流動3He-A1相におけるスピン緩和とマイノリティ・スピン対凝縮」だった。マイノリティスピン対凝縮が起きているのを実験的に確認したという話。He3A1相では↑↑スピン対が凝縮している相だと考えられているが、その臨界温度近傍では↓↓スピン対もほんの少し凝縮していた方がエネルギーが低いのでマイノリティ・スピン対凝縮が起こっているのではないかというのは随分前に理論的に言われていたが、それを実験的に確認した、という話だった。マイノリティスピン対が増えていって、臨界温度に達した時、物理的には一体何が起きているのかがよくわからない(何の対称性が破れるのか)。比熱にはピークがでるので何らかの相転移であるそうだが……。
自分の研究、例の思いつきは、プログラムが入り組んでいるためなかなかうまくいかない。四重積分の精度が非常に悪いのと、いくつかのミスがあって、思い付きが本当なのかどうかがまたわからなくなってきた。

2007年6月25日(月) 難航

四重積分、しかも被積分関数がある点で発散するので、困る。四重積分をなんとかいろいろな近似的を使って一重積分にまで落とせたのでMathematicaさまにお願いしても、彼はMethodを変えるたびに異なる結果を返してくれる。彼は意外と頭が固い。Fortranで発散点を含む場合の四重積分の精度のよいアルゴリズムがあればよいのだが、そんなマニアックな積分のアルゴリズムは見つからない。

2007年6月26日(火) DE公式

二重指数型(DE)数値積分を二回、二次元優良格子点法を一回使って四重積分を計算しているが、なんとか誤差の制御ができるプログラムになってきた。最初は二次元優良格子点法を二回使って四重積分をしていたが、このやり方だとなぜかうまく誤差が評価できず、得られる計算結果が予想以上にノイズだらけになってしまう。DE公式を使うと時間はかなりかかるが、相対誤差の制御がどうやらうまくいっているようなので、時間さえかければいい結果が得られそうだ。低精度で様子を見てから、少し精度を上げてジョブを投入。仕上がりは明日になりそうだ。

2007年6月27日(水) ほぼ大丈夫

例の思いつき、ほぼ大丈夫だろうというところまでいったと思う。四重積分を一重積分までもっていくことで、物理的描像も含めていろいろなことがわかった。手計算でおさえるところをおさえられたので問題ない、はず。まとめノートは22ページくらいになった。しかし思いっきり計算ミスをしている可能性も否定できないので油断ならない。

2007年6月28日(木) ランチセミナー

今日は西脇君のランチセミナーだった。有限温度系のボーズ凝縮体の散乱問題の話。例の思いつき、加藤先生と議論した結果、計算結果待ちということに。手計算の部分は若干の修正が必要だけれどもたぶん問題ないと思う。Mathematicaの積分がおかしかった原因は、もともと発散する積分を無理やり積分していたせいだった。1/xを積分しているようなものだったのでlog発散していたようだ。発散を抑える項をつければよい。夕方には六本木にできた新しい美術館でモネを見てきた。混んでいたが、良かった。本物と写真は全然違う。

2007年6月29日(金) 物性セミナー

野村さんの「グラフェンにおける特異な量子輸送現象」だった。グラフェンの分散関係が線形で、mathless Dirac Fermionとして考えることができる、という話。個人的には300Kで量子ホール効果が起きるということにかなり驚いた。例の研究、計算時間が大変かかるので、なかなか進展しない。直接数値計算の解を参考にするため、Runge-Kuttaで微分方程式を解くプログラムを作ったが、これはさらに計算時間がかかる。高速化したい。

2007年6月30日(土) 学会

概要集原稿を書く。学会の概要、去年や一昨年はいろいろとレイアウトの試行錯誤をしたりしていたが、今回は前回の春の学会で使ったファイルのレイアウトを流用すればよいので楽だ。Latexテンプレートは便利。

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