一行日記

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2006年11月1日(水) ボロカーバイド

めどが立った。改めて昨日の一行日記を見てみると、なぜか丁寧語になっていて驚く。YNi_2B_2Cに関して今現在わかっていることをtexにまとめている。へこんでばかりでもしょうがないので、前向きに頑張ることにした。三本目の論文に取り掛かりたいところだ。

2006年11月2日(木) まとめ

林さん@ETH zurichへのまとめノートの後半を作った。一応パラメータを確認して再計算をした。図を並べると結構楽しい。一ヶ月位取り組んでいたDoppler Shiftの計算結果はグラフ一枚なのであまりに目立たない。

2006年11月3日(金) 三連休

三連休初めだった。しかし、通常通り研究室にいた。修士論文の「はじめに」を書いていたように思う。

2006年11月6日(月) 基礎実験3回目

土曜日は藤原正彦氏の講演会に行き、日曜日は茨城の袋田の滝に行った。滝は予想以上に大きくて驚いた。今日は基礎実験3回目。大分ノートチェックも機器の操作も慣れてきたように思う。その後理研のジュニア・リサーチ・アソシエイトに申し込むべく書類を書く。修士論文も書く。最近は書くことばかりだ。土曜日にキッテル「固体物理学入門 下」の第三版を神保町で見つけたので買った。400円だった。これでキッテルは第七版の上と第三版の下を持っていることになる。

2006年11月7日(火) 書きもの

理研のJRA応募書類と「スーパークリーン物質で実現する新しい量子相の物理」研究成果報告会@淡路島を書いていた。両方とも締め切りが同じ日。淡路島の方は英語でアブストラクトを提出する必要があるため大変だが、JRAの応募書類は来年度の生活費(奨学金を借りるかどうか)がかかっているのでもっと大変だ。書きものは考え悩んでいる時間が多いので一日を振り返っても何かしたような実感がない。北大工明楽先生からProceedingのアクセプトの通知を随分前にいただいていて、業績欄に書くのをすっかり忘れていたので書いてみた。

2006年11月8日(水) 散々

来日している研究者のセミナー(前田研)で、講演者の方がPower Bookのプロジェクターにつなぐケーブルを忘れてしまい、なぜか自分が走り回ることになった。詳細ははぶくが、アドラボ4階(セミナー会場)→16号館2階→アドラボ4階(ケーブルはまらず)→16号館8階→16号館7階→16号館3階→15号館庶務課→6号館4階(基礎生物実験控え室)→アドラボ4階という道のりだった。ほとんどすべての経路で走ったのでまあなかなかいい運動になったといえばなったのだが。アドラボ4階についたらすでにセミナーは始まっていた。脱力したのは言うまでも無い。

2006年11月9日(木) 非平衡

超伝導の非平衡現象を扱う手法を手に入れるため、Kopninの「Theory of Nonequilibrium Superconductivity」の8章を読み始めた。Keldysh Green関数を理解できるようになってEschrigの論文を読めるようになるのが目標。1月までは修論と勉強と今までのまとめで過ごす予定にする。

2006年11月10日(金) Keldysh

今日は修士論文書きと研究計画書作りが主だった。一時間ほどGreen関数の勉強をした。もう少し読まないとPDFにまとめることすらできない。修論は序章の2/3くらいを書き終わった。

2006年11月13日(月) 基礎実験4回目

4回目だったが、やはり初回よりも負担が少なくなってきている。どの種目も一度以上ノートチェックを行っているので、予習をしなくて済むのがやはり大きい。しかし、終わると19時を過ぎ、放心状態になる。喋り続けているせいで酸素が足りなくなっているのだろうか。

2006年11月14日(火) 基礎実験(代理)

今日は山崎先生の代理で火曜日の基礎実験を担当した。ノートチェックではなく、試問だった。試問は初めてであり、かつ担当する実験も初めてだったので、準備が大変だった。試問は要するにツッコミをいれるというわけだが、どのくらい問うかが難しい。途中、間違ったことを自分が言ってしまった(あとで間違ったことを言った学生に訂正は伝えた)。一番の問題は、後ろに順番待ちの人がいる場合、試問の問題を変えないと聴かれている可能性があるということだった。

2006年11月15日(水) ErNi_2B_2C

最近、この物質が気になっている。約10Kで超伝導、約6Kでスピン密度波状態になるらしく、6K以下でも電気伝導率が超伝導状態を示しておりスピン密度波と超伝導の共存系のようだ。スピン密度波についてはまったくの素人だ。スピン密度波は交換相互作用が強い系で生じるそうだが、このときフェルミ面は転移前とどのように異なるのだろう。そもそもどんなフェルミ面なのかがわからない。バンド計算の論文を探したが今日は見つからなかった。明日は見つかるだろうか。午後9時半頃iTunesでクラシックのネットラジオを聴きながら修論を書いていたら交響曲第9番 (ドヴォルザーク)の第二楽章が流れて家に帰りたくなった。しかし第四楽章で立ち直った。ちなみに、第二楽章はお店が閉まるときに流れる唱歌「家路」のもとネタであり、第四楽章の冒頭部はまるでジョーズである。気づけばもう23時なので帰宅することにする。

2006年11月16日(木) 理研

理研の見学に行ってきた。そしてJRAの書類を出してきた。理研は駅から遠かった。そして広い。余裕を持って駅に到着したはずなのに研究室の前まで来た時には約束の時間を数分オーバーしてしまった。一人当たり駒場16号館の2倍のスペースを割り当てられていたように思った。環境も人も良いのでJRAに採用されたらうきうきで通えそうに思えた。ErNi_2B_2Cについては、ErのほかにもDyやHo等も4fを持ち超伝導と磁性が共存しているようだ。バンド計算結果はHoNi_2B_2Cの場合は見つけたが、Erは見つからない。もっと探してみよう。

2006年11月17日(金) YNi_2B_2C

ニッケルボロカーバイド超伝導体RNi_2B_2Cというのは、臨界温度T_cが10K程度である。ここでRにはY、Ho,Er,Dy,Tb,Lu等が入る。Y以外はランタノイドであり、ランタノイドの端にあるLu以外は4f軌道の電子が埋まっていないので局在電子を持ち磁性を出す。磁性と超伝導が共存していて、理論的には難しい系だ。ちなみに、Ho,Er,Dy,Tb,Luはそれぞれホルミウム、エルビウム、ディスプロシウム、テルビウム、ルテチウムである。これが覚えにくい。論文を漁った結果、YNi_2B_2Cとどのように異なっているかわかってきた。とりえあず言えることは、これらランタノイド系は4fが効いて来るのでYNi_2B_2Cと単純比較はできないということだ。このあたりは修論に書こうと思う。

2006年11月18日(土) 二時間

今日は二時間だけ研究室に寄った。Windowsがよくわからないエラーを発していたので(ログイン画面でプロシージャエントリポイント云々言われるが実害はないタイプ)、XPの復元ポイントを用いて一週間前の状態に戻したら直った。

2006年11月20日(月) 基礎実験5回目

何度も基礎実験をやったような気がするが、まだ5回目だった。ノートチェックの効率化の案を思いついたのでそれを実行したら大分行列解消に役に立った。cond-matにYNi_2B_2Cの論文が出ていたので読んだが、よくわからない結論だった。

2006年11月21日(火) NbSe_2

NbSe_2は六回回転対称性のペアポテンシャルを持つといわれており、私がよくLDOSの計算例として使っている物質だ。ある理由でNbSe_2のフェルミ面がどうなっているのかが知りたくなり、調べてみた。そこで、NbSe_2がCDW転移を起こすことを知った。いままで知らなかったのが恥ずかしいかぎりだ。修論は全5章を予定しており、各章はそれぞれ90%50%0%70%0%という進行状況である。文字サイズ10ptでいつものノートレイアウトで今現在75枚程度まで書き終わった。このまま膨らんでいくと100枚超えそうだ。

2006年11月22日(水) 執筆。

今日はひたすらに修論を書いていた。85枚くらいまで。第二章は、基本的にJPSJに出したFullPaper一号を翻訳して式をコピペし説明と途中式を拡充するだけなので枚数だけははかどる。

2006年11月23日(木) 祝日

今日が祝日だということに昨日まで気がつかなかった。というわけで今日は午前中は家でのんびりしてお昼を外食して2時ごろに研究室に行った。今日で修論は95枚。第二章はあと数ページで終わりそう。

2006年11月24日(金) 物性セミナー第五回

講師 寺崎 一郎 氏 (早稲田大学 理工学部)題目「強相関電子系と巨大応答:面白くて役に立つ物質の物理学」だった。相転移が起きそうで起きない系での巨大残留エントロピーとそれによる巨大応答の話だった。とても聴きやすく面白かった。有機導体の電荷秩序と非線形伝導については、今年の物性若手夏の学校で森 健彦さんに講義をしてもらったからなんとなく知っていたが、切り口が森さんとは全く違っていた。エントロピーの話になるとなんとなくわかったような気がするからかもしれない。やわらかい物質は楽しそうだ。
修論は第二章はイントロ以外を終わって、計99枚。第三章に突入した。第三章はCePt_3Siの話を書く。イントロから書き始めているがやはりイントロは難しい。

2006年11月25日(土) 駒場祭

駒場祭二日目だったので少し回ってみた。焼きそばを買い3時くらいに研究室へ行く。夕ご飯にするつもりだったが、いいにおいだったのですぐ食べてしまった。CePt_3Siの復習をやっているうちにスピン軌道相互作用ありのEilenberger方程式のとてもよい定式化を思いついたと思って計算したが、できなかった。残念。春の学会締め切りは7日じゃなくて3日だった!危なかった。予定の覚え書きを直しておいた。

2006年11月27日(月) 麒麟

先々週火曜日に基礎実験をやったので今日は基礎実験なし。7時からのルミネtheよしもとに行って来た。前から四列目でお笑いを見られたのはとてもよかった。日曜日は風邪でダウンしていたのだが、かなり笑ったせいか月曜の夜にはもう元気だった。

2006年11月28日(火) Ce

修論に書くためCePt_3Siの情報を集めていた。スピン軌道相互作用のある常伝導金属のハミルトニアンが対角化できることは納得した。Mathematicaで最初やっていたがなぜかユニタリ行列がユニタリになっていなくて困った。しかしそれはコマンド入力をまちがっていたからで、MathematicaではU.Uのように間に点を挟まずにU Uとやってしまうと行列の積を計算できない。すっかり忘れていた。結局全部手計算で確かめた。

2006年11月29日(水) Ce part2

今日はある論文のAppendixにあったスピン軌道相互作用のあるEilenberger eq.の対角化を試みていた。しかし、数時間かけてもどうしても消えない項が出てきてしまって困った。ある行列とある行列が交換すればAppendixの結果が得られるのだが、自分で計算するとどうにもおつりがでてしまう。とりあえずそれはおいておいて一日の後半は修論書きに費やした。ただいま114枚ほど。もう少し。

2006年11月30日(木) 月末

11月末までに修論を書き終わろうと思ったが、書き終わったのは第三章だった。だんだん枚数の収束値が確定してきた。きっと130枚くらいだろうと思う。現在119枚。さて、金曜日土曜日でどこまで書けるか。物理学会の申し込み締め切りが日曜日までだから申し込むのを忘れないようにしなければ。

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