2016年度 Sセメスター 熱力学 2単位

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クラス:1年理科I類24-26、他クラス聴講生、文科生

担当教員: 加藤雄介(居室:駒場第1キャンパス16号館3階301B号室)

Teaching Assistant(TA)*:福井毅勇(東京大学理学系研究科物理学専攻修士課程)
更新情報

  • 07月25日 質問への回答
  • Q1:エントロピーの定義2によれば熱の移動がなければエントロピーの変化量は0ではないか。
    A1:定義2では、与えられた始状態から終状態へ「準静的過程で」到達したときに、系が受け取る換算熱がエントロピーの変化分に等しい事といっています。断熱自由膨張のときには (T,V1)から(T,V2)へ到達しているので、これを実現する準静的過程としてもっとも単純で考えやすいのは等温準静的過程です。 そのときの仕事はnRTln(V2/V1)であり、内部エネルギーの変化はないので、受け取る換算熱はnRln(V2/V1)これがエントロピーの変化に等しいわけです。
    Q2:Tを一定にしたUのVについての偏微分はゼロでないか。
    A2:それがゼロなのは理想気体の特殊性であり、一般の物質では違う。例えばファンデルワールス気体ではゼロではない。
  • 07月22日 2014年演習問題I解答例の問題I-11についての補足(Jensenの不等式) 掲載
  • 07月20日 第9回-第13回の理解度確認問題 掲載
  • 06月14日 レポート課題I解答例, レポート課題I講評 掲載
  • 06月01日 第7回,第8回の理解度確認問題 掲載

2014年度の問題も参照のこと
2014年度演習問題I
2014年度演習問題I解答例
2014演習問題・レポート課題I講評

  • 05月09日 課題の〆切を5/20にしました。
  • 05月06日 講義中に出した問2の(2)(3)を解き、5月20日の講義開始前に講義室(1225)にて提出せよ。複数のページにまたがる場合にはホッチキス(ステイプラー)で留めること:(3)のヒント、区分求積法と対数関数のテイラー展開を用いて解けます(参考資料)。
  • 05月06日 例題解答例I(講義中に扱った問題) 掲載
  • 04月03日 ページ作成

講義日時・場所: 金曜日3限(13:00から14:45まで)1225教室

第01回 04/08第08回 06/01(補講日4限1225教室、いつもと同じ場所、違う時間)
第02回 04/15第09回 06/10
第03回 04/22第10回 06/17
第04回 05/06第11回 06/24
第05回 05/16(振替日 月曜日なので注意)休講 07/01
第06回 05/20第12回 07/08
第07回 05/27第13回 07/15

講義内容

熱力学は,膨大な数の原子・分子等のミクロ(微視的)な粒子の集団から成るマクロ(巨視的)な物質の状態を、温度、圧力,体積などのマクロな物理量を用いて記述し,いくつかの基本原理をもとに,マクロな観点から物質の状態がいかに変化するかを考察する学問体系である。熱力学は,力学,電磁気学とともに古典物理学の基礎を構成している。ここで学ぶ内部エネルギー,エントロピーなどの概念は理科生にとって必須の基礎概念である。

以下に標準的な講義内容を示すが,項目の順序や内容は若干異なる。講義では、高校までに習った初等数学以外に、偏微分等の数学的手法を用いることがあるが、その場合は、そのつど必要に応じて講義で解説される。

第0章 ガイダンス、熱力学の既習事項(復習)、これからの熱力学 (4/08はここまで)

第1章 温度、理想気体
§温度
§平衡状態
§断熱壁と透熱壁
§温度目盛り
§状態量、状態方程式(4/15はここまで)

第2章 熱力学第1法則
§熱力学第1法則
§内部エネルギーの定義
§定積熱容量
§エンタルピーと定圧熱容量(4/22はここまで)
§示量性と示強性
§理想気体のU, H, Cp
§断熱過程の例題(5/06はここまで) §Taylor展開(課題についての補足説明として) §WとW_ex
§熱の定義
§熱源
§定温過程
§準静的過程 §§断熱準静的過程(5/16はここの途中まで+ 断熱圧縮) 断熱曲線
§§等温準静的過程
§サイクル(循環過程)(5/20はここの途中まで+ 熱電変換機(熱機関の例))
§熱機関(2温度熱機関の具体例1 非カルノー機関、2カルノー機関 (5/27はここまで)
§逆過程と可逆過程
補足§一般の準静的過程(等積準静的過程、等圧準静的過程)

第3章 熱力学第2法則
§章の概要(第二法則の本質(6/1はここまで)
、実現しないさまざまな熱力学過程)
§カルノーの定理(2温度熱機関の熱効率に関する定理)
§第二法則;整理の方針
§エントロピー(3通りの定義、換算熱(6/10はここまで)
§エントロピーの計算例I(理想気体, 熱源)
§エントロピーの応用例I; 熱接触(6/17はここまで) 、断熱自由膨張、カルノー原理)
§定義I,IIIの導出
§エントロピーの計算例II(ファンデルワールス気体)(6/24はここまで)
§エネルギー方程式

第4章 自由エネルギー
§ヘルムホルツの自由エネルギー(導入の動機、自由エネルギーの定義
定温過程における最小仕事)
§ヘルムホルツの自由エネルギーと熱力学関係式、マクスウェルの関係式(7/8はここまで)
§ギプスの自由エネルギー(熱力学関係式、導入の背景)

補足§クラペイロンの式(07/15はここまで)

前提とする知識: 

高校までに習う物理と高校で習う微分、積分

参考書: 

教科書は特に指定しない。以下のものを参考書として挙げておく。いずれか一冊を購入し、講義と平行して各自が読むことを強く勧める。 

・「熱力学」 フェルミ著 加藤正昭訳 三省堂
(Thermodynamics, Enrico Fermi, Dover 154pages)
駒場の前期課程の内容にほぼ一致した教科書。著者はノーベル物理学賞受賞者で有名

・「熱力学入門」 佐々真一著 共立出版 134pages
駒場の前期課程の内容にほぼ一致した教科書。論理展開が緻密。著者は物理学者
この著者によって書かれた記事:

数理科学(サイエンス社)2014年4月号26-31ページ「多様な熱力学」(エントロピーの3つの顔)

では熱力学のさまざまな定式化が紹介され、論じられている。

・「基礎から学ぶ熱力学」 大野公一著 岩波書店 168pages
駒場の前期課程の内容にほぼ一致した教科書。論理展開が緻密。著者は化学者
私が一年生のときに熱力学を教えてくださった先生でもある。

・「アトキンス 物理化学(上)第6版」アトキンス著 東京化学同人 488pages
熱力学から化学への応用(反応、相平衡)までを丁寧に記述した教科書。特に化学方面のプロを目指す人は持っていてよいと思う。演習問題が豊富。

・「熱力学= 現代的な視点から」田崎晴明著 培風館 302pages
熱力学に関する本格的教科書。講義の範囲より多くの内容を含んでいる。 論理展開が緻密。著者は物理学者。熱の定義の箇所など話の流れは講義と異なるが大いに参考になる本。ちなみに著者は長年、総合科目「現代物理学」をご担当されていらしたが、聴講するのは今年度が最後のチャンスである(シラバス参照のこと)。

・「熱力学の基礎」清水明著 東大出版会 408pages
熱力学に関する本格的教科書。講義の範囲より多くの内容を含んでいる。論理展開が緻密。著者は物理学者。エントロピーや温度の導入の箇所など話の流れは講義と大きく異なるが大いに参考になる本。著者は駒場にいらっしゃる物理の先生。

・「大学演習 熱統計力学」久保亮五編 裳華房
程度は高いが物理方面のプロを目指す人は持っているべき。熱力学と統計力学でここにない問題を作るのは難しいと言われる。

準参考書: 

物理学という学問の特徴が良くわかる啓蒙書

・「物理学とは何だろうか 上下」 朝永振一郎 岩波新書 246pages
上巻の2章において熱力学第2法則成立の経緯について生き生きと描かれている。

・「熱学思想の史的展開 熱とエントロピー」 山本義隆著 現代数学社 593pages
熱力学成立の歴史が迫力のある筆致で描かれている。最近ちくま学芸文庫から文庫本として出版された。

成績評価: 

期末試験とレポート課題(4回程度)における得点で評価。なおレポートについての注意参照。

レポート課題に関する注意:

作成に際して参考にした文献、議論した相手の氏名を明記すること。友人同士の議論は大いに奨励する。議論相手を明記しない同一内容のレポート答案が見つかった場合には不正行為とみなすことがある。
〆切を過ぎたレポートは原則として採点しない。
レポート問題に対する解答がわからない場合でも「何が」「どのように」わからないのかを自分なりに分析した結果をまとめての述べること。ただ「わかりません」と書いてある答案は無効とする。
レポート答案に、講義に対する要望、苦情、感想を書いて頂くことがあります。そこで書かれていた皆さんのコメントは匿名の形で、このWEBページその他で公開することがありますのでご了承ください.

授業評価アンケート: 最終回に授業評価アンケートを実施する予定。