2015年度 Sセメスター 熱力学 2単位

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kato-yusuke-lab/
からMembers->加藤→講義→熱力学とたどってください。

クラス:1年理科I類1-3,7,9,12
注意:他クラス聴講生や文系生で水曜日2限の熱力学の履修を希望する人は斉藤文修先生の講義を履修してください。

担当教員: 加藤雄介(居室:駒場第1キャンパス16号館3階301B号室)

Teaching Assistant(TA)*:
更新情報

講義日時・場所: 水曜日2限(10:25から12:10まで)523教室

第1回 04/08第08回 06/02(火)補講 2限 523教室(いつもと同じ場所)
第2回 04/15第09回 06/10
第3回 04/22第10回 06/17
第4回 05/07(木) 振り替え日第11回 06/24
第5回 05/13休講 07/01
第6回 05/20第12回 07/08
第7回 05/27第13回 07/15

講義内容

熱力学は,膨大な数の原子・分子等のミクロ(微視的)な粒子の集団から成るマクロ(巨視的)な物質の状態を、温度、圧力,体積などのマクロな物理量を用いて記述し,いくつかの基本原理をもとに,マクロな観点から物質の状態がいかに変化するかを考察する学問体系である。熱力学は,力学,電磁気学とともに古典物理学の基礎を構成している。ここで学ぶ内部エネルギー,エントロピーなどの概念は理科生にとって必須の基礎概念である。

以下に標準的な講義内容を示すが,項目の順序や内容は若干異なる。講義では、高校までに習った初等数学以外に、偏微分等の数学的手法を用いることがあるが、その場合は、そのつど必要に応じて講義で解説される。

第0章 ガイダンス、熱力学の既習事項(復習)、これからの熱力学

第1章 温度、理想気体
§温度(4/08はここまで)
§平衡状態
§断熱壁と透熱壁
§温度目盛り
§状態量、状態方程式

第2章 熱力学第1法則
§熱力学第1法則 (4/15はここまで)
§内部エネルギーの定義
§熱の定義
§定積熱容量
§エンタルピーと定圧熱容量(4/22はここまで)
§示量性と示強性~ §理想気体のU, H, Cp
(例題)
§断熱準静的過程(5/07はここまで), 断熱曲線
§熱源
§定温過程
§等温準静的過程
(5/13はここまで)
§WとW_ex
§サイクル(循環過程) §熱機関(2温度熱機関の具体例1, (5/20はここまで) カルノー機関)
§一般の準静的過程(等積準静的過程、等圧準静的過程)
§逆過程と可逆過程(5/27はここまで)

第3章 熱力学第2法則
§章の概要(第二法則の本質、実現しないさまざまな熱力学過程)
§カルノーの定理(2温度熱機関の熱効率に関する定理)
§第二法則;整理の方針
§エントロピー(3通りの定義(6/2はここまで)、換算熱)
§エントロピーの計算例(理想気体, 熱源、熱源)
§エントロピーと熱力学第2法則(カルノー原理、エントロピー増大則、増大則の具体例)
(6/10はここまで) §dS/dV=dP/dT の証明
§エネルギー方程式、偏微分を用いた内部エネルギー、エントロピーの計算(例:ファンデルワールス気体)(6/17はここまで)
§エネルギー方程式の再導出(別解)
§偏微分(有用な関係式)
(6/24はここまで)
§例題:断熱圧縮率と等温圧縮率(不等式の評価)

第4章 自由エネルギー
§ヘルムホルツの自由エネルギー(導入の動機、自由エネルギーの定義
定温過程における最小仕事)
§ヘルムホルツの自由エネルギーと熱力学関係式、マクスウェルの関係式
§ギプスの自由エネルギー(熱力学関係式、導入の背景)(7/08はここまで)
§内部エネルギーとエンタルピーの熱力学関係式
§クラペイロンの式 (7/15はここまで)

前提とする知識: 

高校までに習う物理と高校で習う微分、積分

参考書: 

教科書は特に指定しない。以下のものを参考書として挙げておく。いずれか一冊を購入し、講義と平行して各自が読むことを強く勧める。 

・「熱力学」 フェルミ著 加藤正昭訳 三省堂
(Thermodynamics, Enrico Fermi, Dover 154pages)
駒場の前期課程の内容にほぼ一致した教科書。著者はノーベル物理学賞受賞者で有名

・「熱力学入門」 佐々真一著 共立出版 134pages
駒場の前期課程の内容にほぼ一致した教科書。論理展開が緻密。著者は物理学者

・「基礎から学ぶ熱力学」 大野公一著 岩波書店 168pages
駒場の前期課程の内容にほぼ一致した教科書。論理展開が緻密。著者は化学者

・「アトキンス 物理化学(上)第6版」アトキンス著 東京化学同人 488pages
熱力学から化学への応用(反応、相平衡)までを丁寧に記述した教科書。特に化学方面のプロを目指す人は持っていてよいと思う。演習問題が豊富。

・「熱力学= 現代的な視点から」田崎晴明著 培風館 302pages
熱力学に関する本格的教科書。講義の範囲より多くの内容を含んでいる。 論理展開が緻密。著者は物理学者。熱の定義の箇所など話の流れは講義と異なるが大いに参考になる本。

・「熱力学の基礎」清水明著 東大出版会 408pages
熱力学に関する本格的教科書。講義の範囲より多くの内容を含んでいる。論理展開が緻密。著者は物理学者。エントロピーや温度の導入の箇所など話の流れは講義と大きく異なるが大いに参考になる本。

・「大学演習 熱統計力学」久保亮五編 裳華房
程度は高いが物理方面のプロを目指す人は持っているべき。熱力学と統計力学でここにない問題を作るのは難しいと言われる。

準参考書: 

物理学という学問の特徴が良くわかる啓蒙書

・「物理学とは何だろうか 上下」 朝永振一郎 岩波新書 246pages
上巻の2章において熱力学第2法則成立の経緯について生き生きと描かれている。

・「熱学思想の史的展開 熱とエントロピー」 山本義隆著 現代数学社 593pages
熱力学成立の歴史が迫力のある筆致で描かれている。最近文庫本が出版された。

成績評価: 

期末試験とレポート課題(2回程度)における得点で評価。なおレポートについての注意参照。

レポート課題

レポート課題I
1.2013年度の演習問題I I-2を解き、 c=3/2, P_i/P_f=2として、n=5,10のとき(できればそれより大きい整数の場合も)
{(V_1/V_0, P_1/P_0), (V_2/V_0, P_2/P_0),・・・・,(V_n/V_0, P_n/P_0)} をプロットせよ
(ソフトウエアを用いてグラフを作成することが望ましい(excelでも可)が、方眼紙に点をプロットするのでも良い。)。 2.講義に対する要望、意見があれば記せ。

以上をレポートとしてまとめ、5月20日の講義開始時間までに、 523教室の教卓上に提出せよ(〆切厳守)。

レポート課題II
1.第7回講義理解度確認問題の補足問題第一問と第二問を解け。

2.講義に対する要望、意見があれば記せ。

以上をレポートとしてまとめ、6月10日の講義開始時間までに、 523教室の教卓上に提出せよ(〆切厳守)。

レポート課題に関する注意:

作成に際して参考にした文献、議論した相手の氏名を明記すること。友人同士の議論は大いに奨励する。議論相手を明記しない同一内容のレポート答案が見つかった場合には不正行為とみなすことがある。
〆切を過ぎたレポートは原則として採点しない。
レポート問題に対する解答がわからない場合でも「何が」「どのように」わからないのかを自分なりに分析した結果をまとめての述べること。ただ「わかりません」と書いてある答案は無効とする。
レポート答案に、講義に対する要望、苦情、感想を書いて頂くことがあります。そこで書かれていた皆さんのコメントは匿名の形で、このWEBページその他で公開することがありますのでご了承ください.

授業評価アンケート: 最終回に授業評価アンケートを実施する予定。