強力X線実験室 粉末用自動X線回折計

粉末用自動X線回折計(X線管球の右側,総合試験所 335号室)
(X線ディフラクトメーター; XRD)
封入型X線管球にセットされた粉末用自動X線回折計(右側)。粉末ないしは多結晶の板状試料にいかなる結晶が含有されているかを測定することができる。また,液体やアモルファス試料の道径分布関数測定などにも用いられる。読み取り精度は,1
/ 1,000 度。測定は,パーソナルコンピューターのWindows
NT 上で動作するプログラムにより自動化されている。また,このコンピューターには結晶データベースの一部がインストールされており,リートベルト法などにより含有されている結晶の同定を行うことが可能である(データベースのフルバージョンの購入については,現在検討中)。2θアームの可動範囲は,-5
度 〜 +150 度である(θは,ブラッグ反射角)。
試料は,粉末ならば 0.2 cc 程度,当実験室で備えている試料ホルダーに詰めて測定する。また,液体用の試料ケース(1
cc)も用意されている。板状の試料は,厚さ
1 mm 以下,大きさ 20 mm × 18 mm 以下の物が,測定可能である。
X線管球は,ファインフォーカスの Cr (2.291Å),
Cu (1.542Å), Mo (0.710Å), Ag (0.561Å)
の封入管が用意されている(括弧内に記述した波長は,Kα線)。一般に長波長(低エネルギー)のX線を用いた方が,大きな反射強度が得られるとともに,高精度でピーク分離を行うことができるが,小さな格子面間隔の(あるいは高次の)反射を測定対象とする場合,2θの値が
+150 度を越えないように,短波長(高エネルギー)のX線管球を選択する。また,試料に管球の特性X線(Kα線)よりわずかに低エネルギー(長波長)側に吸収端を持つ元素が含まれる場合,大きな吸収係数により反射強度が小さくなるため,このことも考慮してX線管球を選択しなければならない。
高精度の角度分解能を得るために,管球は,ラインフォーカスのモード(X線発生部が縦長に取り付けられたモード)で取り付けられる。管球の交換,取り付けは,装置管理者によって行われている。
フォトンカウンティングは,シンチレーションカウンターによって行われる。X線光路には,X線の縦方向の角度発散を制限するために,ソーラースリットが挿入してある。また,白色X線とKβ線を取り除いてKα線のみを取り出すために,グラファイトのモノクロメーターが準備されている。Kβ線を取り除くための簡便な方法として,ターゲットの金属より原子番号が1ないしは2小さい金属泊(たとえば,Cu の管球に対しては,Ni のフォイル,Mo の管球に対しては,Zr のフォイル)が,Kβフィルターとして用いられることがある。Kβフィルター法は,簡便であるが,より高精度の測定を行うためには,モノクロメータを使う方法の方がすぐれている。モノクロメーターの調整は装置管理者によって行われる。