タンパク質というのはわずか20種類(+α)のアミノ酸が連なった比較的単純な化学物質でありながら、驚くほど多様な機能を発揮し、あらゆる生命現象に関与します。タンパク質がどのようにしてそれほど多様な機能を獲得しているのか、それを知るための第一歩が、タンパク質の持つ複雑な3次元構造やダイナミクスを明らかにすることです。
加藤研究室では、主に(微生物型ロドプシンやGPCRといった)膜タンパク質の構造を視るため、ターゲットとなるタンパク質の立体構造やそのダイナミクスを「X線結晶構造解析」、「クライオ電子顕微鏡」、「Alphafold2」、「計算機シミュレーション」など多彩な手法を駆使して明らかにします。
タンパク質の構造は「どのようにしてそのタンパク質がその機能を果たしているのか」その分子基盤について我々に多くのことを教えてくれますが、構造情報を元に立てた仮説は別の手法で検証される必要があります。
加藤研究室では、電気生理実験や蛍光・発光プローブを用いたアッセーなど様々な手法を駆使して、得られた構造情報を機能メカニズムの理解へと繋げます。
物理学者であるRichard Feynman博士の有名な言葉に"What I cannot create, I do not understand"というものがあります。これは言い換えれば、「タンパク質が持つ複雑な機能の構造基盤、分子基盤を真に理解することができれば、タンパク質が本来もつ機能を改変、向上させた新規タンパク質を創ることができる」ということでもあります。
加藤研究室ではこうしたプロセスを経て、研究・産業・医療に役立つ新規タンパク質(例:光遺伝学ツール)の開発を目指しています。構造機能解析をメインにしている研究室だからこそ取り組めるプロジェクトです。