インドネシア調査許可取得ガイド

松村智雄
[2011年3月20日]

0.はじめに
この文章は、インドネシアで、企業や研究所に所属することなく個人単位で長期にわたる研究調査(1年単位)を行う方を対象に書かれています。まず調査許可を取得して、そのうえでインドネシアの滞在許可が得られます。滞在許可を取得してインドネシアに入国したら、首都ジャカルタの中央省庁で必要な手続き(官公庁への届け出)を行います。その後、調査地に移動して、中央省庁に届け出た内容をもとに調査地の省庁にも届け出をして調査を開始することができます。以上を整理すると、まず「調査許可取得」、その後「滞在許可取得」、そしてインドネシアに入国後に「官公庁への届け出(ジャカルタ→調査地)」という大きな流れになります。

インドネシアで調査許可を授与する業務を一括して行っているのは研究技術省(Kementerian Riset dan Teknologi: RISTEK)です。かつてはインドネシア科学院(Lembaga Ilmu Pengetahuan Indonesia: LIPI)が調査許可を与える窓口でしたが、現在では外国人研究調査者に対する調査許可の付与の業務は完全にRISTEKに管轄が移っていますのでご注意ください。

また、今後も必要とされる書類や手続きの内容が変更になることは大いにありうることです。これから調査許可取得に臨まれる方は、必ずご自身で最新の情報を確認するようにしてください。

1.調査許可取得
【用意すべき書類】
①研究技術省(RISTEK)宛ての調査許可申請の意思を伝える公式な手紙(1部)
②履歴書(6部)
③研究計画書(6部)
④研究計画書の要約(6部)
⑤パスポートのコピー(4部)
⑥赤背景4×6サイズの写真(4枚)
⑦日本での研究受け入れ者(一般に指導教員)からの推薦状(1通)
⑧日本で所属する機関(学部、研究科、専攻など)の長からの推薦状(1通)
⑨インドネシア側のカウンターパートからの、そのサポートを保証する公式な手紙(1通)
⑩日本のインドネシア大使館、あるいはインドネシア領事館からの推薦状(1通)
⑪心身ともに健康であることを証明する書類(1通)
⑫調査中必要な資金源を得ていることを証明する書類(1部)
⑬調査に持っていくもののリスト(1部)

⑥は、文字通り被撮影者の背景が赤一色の証明写真のことです。この種類の写真はインドネシア社会において公的な文書における正式な写真という意味づけがなされています。ですから、学校の入学に関係する書類や就職のための履歴書などには必ず赤背景の写真が使われます。インドネシアで一般的に用いられている形式なので、インドネシアの写真店にはたいてい赤背景の写真を撮影する設備があります。しかし、これからインドネシアに渡航しようとして日本で赤背景の写真を撮影することは困難です。これについては、インドネシア大使館・領事館で撮影できるようになりました。写真のサイズは、申請書類以外で官公庁での手続きでよく用いられるのは4×6サイズです。余裕をみて10枚ほど手元にあると安心です。また、余裕があれば、2×3や3×4などのサイズも数枚ずつ用意するとよいと思います。

⑨は、直接のカウンターパート(インドネシア側の指導教員の立場)からの手紙ではなく、研究機関(インドネシア科学院、ガジャマダ大学○○学部などの組織)からの手紙に限ります。この書類は証明者の直筆のサインが必要です。

⑩は、それ以外の自分で集められる書類を全て揃え、そのコピー(原本ではない)を束ねてインドネシア大使館あるいは領事館に持参すると、2、3日で作成してもらえます。

⑪は、簡易な健康診断に基づいた健康診断書で十分です。

⑫は、奨学金を得ている場合はその出資者からの書類を提出し、もし自費で調査をする場合には日本で所属する機関(学部、研究科、専攻など)の長に作成してもらうことで十分です。

書類がすべて揃ったら、RISTEK宛てに速達便(EMS)で郵送します。また、同時にRISTEKのメールアドレス(frp<アットマーク>ristek.go.id)に③、④、⑤、⑥を添付ファイルで送ります。

2.滞在許可取得
その後、RISTEKとのメールのやり取りが続きます。たいていの場合、3カ月程度で調査許可が取得できます。
審査過程が終了すると、RISTEKは、インドネシア出入国管理局(Imigrasi)に対してビザの発行依頼を行い、出入国管理局が承諾したことを証明する書類をスキャンしたものを申請者にメールで送付します。その書類をプリントアウトしてインドネシア大使館または領事館に持参します。そのとき指示された日時に再び大使館・領事館に出頭し、「ビザ315」という種類のビザを受け取ります。「ビザ315」は滞在許可で、これによりインドネシアに入国します。

3.官公庁への届け出(ジャカルタ)
インドネシア入国後、調査を開始する前にジャカルタの官公庁に届け出をする必要があります。まず行うべきは、調査許可の発行元であるRISTEKの訪問です。ここでは調査開始までにどのような手続きが必要かの詳しい説明が得られます。RISTEKでは各省庁に必要な書類を発行するよう依頼する公式文書を作ってもらい、それを持参して各省庁で必要な手続きを行います。

ジャカルタで訪れる必要がある官公庁は以下の通りです。

①研究技術省(RISTEK)
中央警察庁(Markas Besar Polisi Republik Indonesia: Mabes Polri)宛の書類、出入国管理局宛の書類、調査許可証明書の受け取り、調査許可取得料150米ドルの支払い。

②出入国管理局(Imigrasi)
定期居住許可証(Kartu Izin Tinggal Terbatas:KITAS)の取得
KITASとは、インドネシア国民が携帯する身分証(Kartu Tanda Penduduk: KTP)と同じ役割を持つもので、インドネシアで研究調査する間の身分証の役割を果たします。
*パスポート持参

③中央警察庁
国内移動許可証(Surat Keterangan Jalan: SKJ)の申請
SKJは、調査地に移動し、調査を開始する前に調査地の官庁に届け出る書類です。例えば西カリマンタン州のシンカワン市で調査を行う場合には、まず西カリマンタン州都のポンティアナックの州官庁に届け出をし、その後シンカワン市庁に届け出をします。
*窓口にて国内移動許可証を申請して受理証を受け取り、翌朝、国内移動許可証を受け取る。

④研究技術省(RISTEK)再訪
国内居住許可証(SKJ)のコピー提出、内務省(Kementerian Dalam Negeri)宛ての書類受け取り

⑤内務省
調査通知書(Surat Pemberitahuan Penelitian: SPP)受け取り
SPPも旅行許可証(SKJ)と同じく、調査地で調査を開始する前に官公庁に届け出をする際に必要になる書類です。この書類は封書で、封筒の表に届け出が必要な省庁の名称、住所が明記されています。

⑥中央警察庁を再訪
居住地申告証明書(Surat Keterangan Lapor Diri: SKLD)の申請、住民登録カードの受け取り

①~⑥を済ませた後、調査地に移動します。その後、調査地での官公庁への届け出をする必要があります。

4.官公庁への届け出(調査地)
中央警察庁で受け取った国内移動許可証(SKJ)、内務省で受け取った調査通知書(SPP)の提出、RISTEKからの調査許可証明書、研究計画書、写真の提出

5.その他の注意事項
①一時帰国時
調査期間中に日本への一時帰国を行うか、あるいはシンガポールなど隣国での調査をするためにインドネシアから一時出国する予定がある場合には、RISTEKにその旨を伝え、出入国管理局宛ての再入国許可(Re-entry permit)を要求する公式な手紙を書いてもらう必要があります。それを持って出入国管理局に行って手続きします。

②研究者のインドネシア政府に対する義務
RISTEKに対して3カ月おきに進捗状況レポートを提出する義務があります。また、調査を終えて帰国する直前に最終レポートを提出する必要があります。調査期間を延長する場合には事前にRISTEKに相談する必要があります。RISTEKは、雰囲気がお役所然としていず、オープンな雰囲気なので、気軽に問い合わせて、調査上何か必要があれば、助力を依頼することができます。

[主要官庁所在地一覧]

研究技術省
Kementerian Riset dan Teknologi (RISTEK)
Sekretariat Perizinan Peneliti Asing
Jl. M. H. Thamrin No.8, Jakarta 10340- Gedung 2 BPPT, Lantai 8
Tel. (021)3169293, Fax (021)39836180
Homepage: www.ristek.go.id Email: frp<アットマーク>ristek.go.id

出入国管理局
Direktorat Jenderal Imigrasi
Jl. Rasuna Said Kav 8-9, Kuningan
Jakarta Selatan
Tel. (021)5224658
Fax (021)5224658
Homepage: www.imigrasi.go.id

中央警察庁
Kabaintelkam Polri
Jalan Trunojoyo No.3
Kebayoran Baru
Jakarta Selatan

内務省
Direktur Fasilitasi Organisasi Politik dan Kemasyarakantan Ditjen Kesatuan Bangsa dan Politik
Kementerian Dalam Negeri
Jl. Medan Merdeka Utara No.7 Jakarta Pusat
Tel. (021)3450038

このページはWindows XPとInternet Explprer 6.0の組み合わせで動作の確認をしています。それ以外の環境では適切に表示されない場合があります。
東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻) 古田元夫ゼミ


東京大学大学院
総合文化研究科
古田元夫ゼミ

■東南アジアを学ぶ/東南アジアで学ぶ/東南アジアから学ぶ

古田先生からの発信
現地調査お役立ち情報
現地動向
随想録☆Les Essais
資料紹介

■古田ゼミについて

古田ゼミについて
古田ゼミを知るための16問
授業内容
ゼミ合宿/博士論文検討会
ゼミ生紹介
古田先生とゼミ生の著書
『古田元夫の世界史』
このウェブサイトについて
メンバー専用ページ

■ゼミ生紹介

修士課程在籍
博士課程在籍
卒業生