教室紹介

ご挨拶

 地域看護学教室の教授を兼担しております。少子高齢化が進む日本において、地域看護学とそれを基盤とした保健師の活動・技術の発展は、とても重要な課題の1つと感じています。そんな中、成瀬先生を始めとした若手の先生方が、研究・教育に頑張っています。

  日本と世界の地域看護、保健師活動に貢献できるように、広い視野で研究・教育を進めていきたいと思っています。地域看護学の発展と保健師教育プログラムの開発に向け、地域看護や保健師の活動に関心のある方、一緒に新しい研究をしていきませんか。

教授 山本 則子

 私たち地域看護学分野は、「健康とは、人々が暮らす場・活動する場から始まるものである」と考え、「そこで暮らす・活動する全ての人の健康」を目指しています。

 そのために私たちは、地域や集団の持つ文化や規範、いわゆる「コミュニティの特性」に着目したアプローチを行います。地域(コミュニティ)や集団そのものに働きかけ、システムとして構築することにより、持続的に人々の健康とQOLを維持・向上することを目指しています。

 「コミュニティ」と言う時、そこには「物理的・地理的な境界でくくられた集団」と、「共通の価値や関心による社会的集団」という2つの意味合いがあります。ただどちらも、「共通する何かを持つ集団」という意味では同じです。この「共通する何か」が、時にはそこに所属する人々の健康を阻害しうるものであったり、促進しうるものであったりします。こうした因果を推測し、良い方向に整えていくことが大きな仕事です。その時、「共通する何か」の流れを汲み、そのコミュニティに最も「Fit」した解決策に練り上げることも、大事なテクニックです。

 こうした支援を行うに当たり、私たちはまず、「コミュニティ」のことをよく・深く・丁寧に、理解する必要があります。そのために行う作業が「地域診断」です。コミュニティの中にある、大小さまざまな、そして時には岩陰に隠れているような声に耳を傾け、コミュニティの「全ての人」を救うための解決策を考えることに、正面から取り組みます。集団を知り・動かせる技術と、個々の住民と向き合い支援できる技術を組み合わせた支援モデルです。

 良い効果をもたらす解決策があっても、継続的に実施できなければ意味がありません。私たちは、ただ解決策を探索するのみならず、それがそのコミュニティで効果的に実施され、継続されることを目指しています。そのためには、資源の利用を最適化して活動をシステム化すること、支援者を育て、活動環境を整えることが必要です。こうした活動によって、そのコミュニティに「Fit」した解決策を練っていきます。

 私たちは、研究を積み重ねることにより、これらの支援方策を探究し、目標を達成していきたいと考えています。卒業論文、修士課程、博士課程で学生が行う研究も、その重要な1つです。教員と学生が、ともに学びながら、「そこで暮らす・活動する全ての人の健康を目指す」という大きな目標に向かって、歩を進めています。

 また本学では、修士課程での保健師の免許教育を行っています。ここでは、地域診断に基づく新たな解決策を提案するための基礎技術を学びます。1年目の夏に教員と一緒にフィールドワークをした後、秋には1か月以上の臨地実習をし、そこで得た様々な経験をもとに、2年目では修士論文に取り組みます。

 私たちの研究室自体が一つのコミュニティです。幸いにも、 これまでに当教室を育ててくださった方々、そして現在も支えて くださっている方々のおかげで、互いの立場を超えて、背中を支え、刺激しあうような「文化」が醸成されています。この文化を大切にしつつ、今後も一歩一歩 進んでいきたいと思います。

講師 成瀬 昂