研究室の沿革
東京大学教養学部超域文化科学科文化人類学分科の歴史は、1954年9月、東京大学教養学部教養学科文化人類学及び人文地理学分科として駒場キャンパス内に設置された時を、 そのはじまりとしています。以後1957年3月に第1期生5名を送り出してから、2007年3月までに311名の学部分科卒業生を輩出し、 日本における文化人類学の教育機関の草分けとして重要な役割を果たしてきました。
文化人類学とは
「文化人類学」は、地球上のさまざまな社会における日常的な文化的実践を、参与観察などの方法による緻密な フィールドワーク(現地調査)を通して研究する活動を中心に、その研究対象を、伝統的社会、部族社会から、現代社会の多くの 問題にまで野心的に拡大し、重要な成果をあげてきました。また異文化のみならず、 われわれの日本文化も重要な研究対象となっています。 人々の行動の細部にまで配慮する観察力、協力者との関係を築く社会的 スキルと、そこから人類社会、文化としての特質を引き出す強靭でダイナミックな思考により、多種多様な人間の活動、営みにアプローチしています。
研究室の主要研究領域
現在、文化人類学研究室のスタッフが専門とする研究領域は、大きく3つの軸に分かれます。
- 第一の軸は、日本を含むさまざまな地球上の社会をその個別の文化的特性から明らかにしようとする「個別文化」研究で、 政治、宗教、言語、民俗、歴史性など、それぞれの社会の個性や伝統を中心としながら、それぞれの教員が一つ、 ないしは複数の地域に関心をもち、専門的研究を行っています。
- 第二の軸は「応用文化」研究で、内容的には、個別のローカルな文化を超えて、グローバルな社会変動という観点から、 移民、観光等といったテーマを含みつつ、全体像を模索しています。
- さらに第三の軸である「先端文化」研究では、近年急速に進展する科学技術といった関心を全面に取り込みつつ、 インターネットや医療、先端テクノロジーなどこうした先端的知識と文化・社会の関係についてラディカルに問い直します。
もちろん、個々の教員の研究活動は、上記のような軸だけに限定されるものではありません。教員スタッフページも参照ください。
学部教育
文化人類学分科のカリキュラムは、フィールドワーク、データ分析などの方法論と、 人類社会、文化に関する理論的枠組を体系的に修得してもらうよう編成され、
様々な社会、文化的事象を分析する能力を育成するものです。
分科科目全体では、経済から宗教までの文化の諸相、家族から国家までの社会の諸次元を扱う文化人類学・ 社会人類学の各研究分野を網羅的に含む多様な授業が用意され、ミクロとマクロの間、
あるいは理論と現実の間を自由に行き来する動態的思考、バランス感覚を身につけていくことになるでしょう。
卒業後の進路ですが、研究者はもとより、国際協力機関、官公庁、民間研究所、シンクタンク、ジャーナリズム、 メディア、その他民間企業などさまざまな分野で活動しています。
大学院教育
一方大学院は、文化人類学の専門家を養成する目的を持ちます。 それは、上記のような様々な問題領域を対象とし、質的調査を中核としながら、 量的調査も含めた調査手法に 精通するとともに、複雑に入り組む諸変数を多次元的に捉える思考法を身につけることをとおして、 研究成果 へと結実させる能力を養うことを意味します。 したがって、人類学系、地域研究系の研究・教育職とともに、融合 ・複合領域、新領域系、国際協力機関、各種公的機関・研究機関の研究職などが、キャリアパスとして考えられます。
研究室が重視する社会的関係性
文化的多様性の尊重、人類への洞察といった学術的特徴から、 研究室の学生たちは、変化に対応する柔軟性を持ち、 人間関係を大事にする側面を持っています。実際、対人関係の豊かさは、研究室の大きな特徴です。研究室にはいる〈通過儀礼〉としての秋の「内定生コンパ」や春の「新歓コンパ」は、 学部学生、大学院生、研究生、教員たちによる研究室全体の交流の場であり、 フィールドワーク演習は学生たち相互を結び付けるとともに、大学外の社会とのつながりを醸成する機会となります。 多様な社会的関係性を構築しながら、文化・社会に対する深い洞察力と学際的な視野を身に つけていくことを研究室では重視しています。