| 教員名 | 科目名 | 開講学期 | 曜限 | 授業タイトル |
| 船曳建夫 | 文化構造論U | 冬学期 | 金5 | |
| 山下晋司 | 民族社会論T/生存とライフスキルT | 夏学期 | 火3 | グローバリゼーションの人類学T |
| 山下 晋司 | 文化人類学演習U/人間の安全保障演習Z | 冬学期 | 火3 | グローバリゼーションの人類学U |
| 木村秀雄 | 文明と地域社会T | 夏学期 | 水1 | |
| 木村 秀雄 | 文化人類学演習V | 冬学期 | 水1 | |
| 川中子義勝 | 文明過程論T | 夏学期 | 月2 | 矢内原忠雄を読む |
| 川中子 義勝 | 文化人類学演習U | 冬学期 | 月2 | 聖書の神話論 |
| 岩本通弥 | 文化認識論U | 夏学期 | 金3 | |
| 岩本通弥 | 文化人類学演習I | 冬学期 | 金3 | |
| 福島真人 | 文化構造論U | 夏学期 | 月3 | |
| 福島 真人 | 文化人類学演習T | 冬学期 | 月3 | |
| 箭内 匡 | 文化認識論T | 夏学期 | 木3 | フレデリック・ワイズマンの「人類学」 |
| 箭内 匡 | 文化人類学演習U | 冬学期 | 木2 | 文化人類学理論の展開(構造主義を中心に) |
| 木村忠正 | 文化人類学演習T | 冬学期 | 火5 | ヴァーチュアル・エスノグラフィー〜文化人類学における方法論革新の一方向性〜 |
| 渡邉日日 | 文化人類学演習U | 冬学期 | 水4 | ゼミナール #C11 【記号/community/物語行為:言語人類学の一射程V】 |
| 関本照夫 | 文化現象論 | 夏学期 | 月4 | 工芸、美術、ものの人類学 |
| 関本照夫 | 比較民族誌演習II | 冬学期 | 月4 | What's the Use of Art?を読む |
| 名和克郎 | 社会構造論 | 夏学期 | 水5 | Annual Review of Anthropology 巻頭論文を読む |
| 名和克郎 | 比較民族誌演習I | 冬学期 | 水5 | Strathernを読む |
| 森山 工 | 超域文化科学特別講義U | 冬学期 | 木4 | |
| 真島一郎 | 超域文化科学特別講義T | 夏学期 | 金2 | 共同体の喩法 − 贈与と給付のはざまから |
| 関谷雄一 | 開発と文化T | 冬学期 | 火4 | 開発の合理性と文化相対主義 |
山下晋司
グローバリゼーションの人類学T(夏学期)
2008年秋の米国発の世界金融危機以来、グローバル化とはリスクのグローバル化でも
あることがますますはっきりしてきているが、そのようなことも含め、グローバル化
の時代の「生き方」について人類学の立場から、検討する。同時に、その視点から現
代を生きる人々の生存戦略とライフスキルについても検討する。そうしながら、現代
を考える学として人類学を再構築する。テキスト:Inda, Jonathan Xavier and Renato
Rosaldo eds. 2007 The Anthropology of Globalization: A Reader. 2nd edition. Oxford: Blackwell Publishers.
グローバリゼーションの人類学U(冬学期)
夏学期に続き、グローバル化の時代の「生き方」について人類学の立場から、検討す
る。同時に、その視点から現代を生きる人々の生存戦略とライフスキルについても検
討する。そうしながら、現代を考える学として人類学を再構築する。
川中子義勝
矢内原忠雄を読む
日本の文化的土壌とキリスト教受容の関係を検証する、いわゆる異文化受容の問題を内村鑑三に焦点を当てて扱ってきたが、本年度は、内村鑑三と矢内原忠雄の師弟関係において、信仰ないし真理観がどのように伝達・継承されたのかを問題とする。本年は、同時期に駒場博物館において「矢内原忠雄と教養学部」展が開催されているので、矢内原忠雄に重点を置く。具体的には、本来の聖書的世界観と、その西欧的偏差を被った伝播、さらには、いわゆる日本的伝統という三者の接続と齟齬の問題を、たとえば「戦争」「国体」などの主題と関わらせつつたどることとなろう。そこに示された宗教と文化、個人と共同体の関わりを今日的問題として受け止め直すことが目指されている。
聖書の神話論
旧新約聖書の記述にはさまざまな「神々」が登場する。聖書が聖典として整備され、ヘブライ・キリスト教思想が形成されていく過程で、異なる思想・宗教との出会いは、危機や葛藤を導く一方で、信仰・思想の充実と深化をもたらした。この講義では、その状況を預言者や「詩篇」などに表れた叙述を介してたどる。古代オリエントの神話をも参照としながら、「神話論」として保存される、その解釈の手続きなどと比べつつ、ひろく神話の問題を考えてみたい。聖書の知識を前提としない受講者をも想定しているので、ヘブライ・キリスト教の思想的前提を整理することから始め、旧約聖書・新約聖書の思想的展開を予め概括する。そのような関心からの受講も歓迎する。
岩本通弥
フォークロリズムと文化ナショナリズム
箭内匡
フレデリック・ワイズマンの「人類学」
前学期に引き続き、アメリカのドキュメンタリー映画作家フレデリック・ワイ
ズマンの映画を素材に、institutionの人類学について考える。今学期は、(法
学出身の)ワイズマンの映像を、映像作品としてのみならず、法哲学的な−特に
自然法の問題に関わる−探求として考える中で、現代社会の人類学の新しい展望
を開くことを目標としたい。前学期から継続の参加者、新たな参加者の両方を歓
迎したい(授業では基本的に前学期扱わなかった素材を取り上げ、授業全体も新
たな形で構想する)。
文化人類学理論の展開(構造主義を中心に)
構造人類学は、文化人類学のみならず、人文・社会科学に大きな影響を与えた。
この演習は、レヴィ=ストロースに代表される人類学のフランス的伝統に強調点
を置きつつ、構造主義とその後の展開がもたらしたものを、授業参加者全員が様
々なテキスト(基本的には日本語)を読みながら今日的視点から「体感」するこ
とを目的とする。授業が新しい視点を欠いているわけではないが、学部後期課程
の必修ゼミとの合併科目でもあり、既に構造主義周辺の人類学的文献に親しんで
いる人は履修不要かと思う。
木村忠正
ヴァーチュアル・エスノグラフィー〜文化人類学における方法論革新の一方向性〜
STSを専門とするChristine Hine は、2000年に "Virtual ethnography" と題する著作を著した。それは、サイバースペースを例にとり、人類学を"holism" の頸木から解き放ち、フィールド概念の揺らぎを踏まえて、境界、メンバーが流動的、多所的であることを積極的に捉える理論と方法の提起であった。本演習では、Hineの問題提起を受け、サイバースペースが日常生活空間の一部を構成する現代社会において、いかなる人類学的アプローチが可能であるかを探索する。それは基本的に、新たな方法論革新の探究であり、たとえば、2000年代、教育学、心理学分野で活発となりつつあるMixed Methods approach(定性的・定量的方法の組み合わせ)への人類学の貢献もまた考えたい。
渡邉日日
ゼミナール #C11 【記号/community/物語行為:言語人類学の一射程V】
敢えて「語り得ない事柄は存在しない」という立場に拘り,語られた事柄について考察することの可能性を探る。何らかの記号がなければコミュニケーションは成立しないが,その記号の営みは一個人では起こりえない。物語る「私」や他者は,それ自体,記号作用の担い手である。そうした担い手の集まりを,探求の単位として論理哲学者C・S・Peirceは,community(時にsociety)と苦心しながら呼んでいる。本ゼミでは,このcommunityを「共同体」に回収することを出来るだけ忌避しながら,また単に記号の媒介者としてのみ個人を捉える視点をも拒否しながら,物語行為を主とする記号作用と社会とのインターフェースについて吟味していきたい。
始めの数回,導入的な講義を行ったのち,談話・言説分析,物語分析,会話分析の方法論に関する基礎的文献を押さえ,近年の文献を読んでいく。2007年度冬学期「ゼミナール#C8:語るとは如何なる事態か:言語人類学の一射程U」の継続ゼミだが,新規参入は勿論歓迎される。受講希望者は必ず初回より参加のこと。
関本照夫
工芸、美術、ものの人類学
近現代美術と工芸について、広義の社会学的枠組から論じている文献を読み、また「ものの人類学、anthropology of material
culture」について検討する。「作品」と呼ばれるものの物質性、もののエージェンシー、ものが流通し使用される社会的コンテキストから、美術・工芸を考える。
まだ詳細は決めていないが、たとえば以下のものが候補となり、そこからゼミで取 り上げる論文を適宜選択する。
Jeremy Coote and Anthony Shelton, eds., 1992, Anthropology, Art and Aesthetics,
Oxford: Clarendon Press. 20世紀後半のイギリス人類学者の論を 集めた論集。/
Howard Morphy and Morgan Perkins, eds., 2006, The Anthropology of Art:
A Reader, Blackwell Publising. 過去1世紀ほどの間の 代表的な論を集めた論集。/
George E. Murcus and Fred R. Myers, eds., 1995, The Traffic in Culture: Refiguring Art and Anthropology, Berkeley: University of California Press. おもに1980年代の論を集めた論集。/
R. B. Phillips and C. B. Steiner, eds., 1999, Art and Commodity in Colonial
and Postcolonial Worlds, University of California Press./
A. Schneider and C. B. Wright, eds., 2006, Contemporary Art and Anthropology,
Berg./
Daniel Miller等によるMaterial Cultures研究の諸文献/
伊藤徹 2003 『柳宗悦 手としての人間』平凡社、277頁。柳と民藝運動を日本と世界に渡るモダニズ ムの中に位置づけた、哲学者による、しかし哲学専門の書ではない研究。/
伊藤 徹 2007 『作ることの哲学』世界思想社、207頁。
What's the Use of Art?を読む
インドネシアの影絵芝居wayangをテレビや広告メディアとの関連で研究したMrazek、
日本の茶道を、そこで使われる道具の物質性から研究したPitelkaの編になる新著を読む。
芸術は実用性を越えた普遍的価値を内在したものという近代の芸術観への、アジア諸国の材料からの挑戦である。
Jan Mrazek and Morgan Pitelka, eds., What's the Use of Art?: Asian Visual and
Material Culture in Context. University of Hawai'i Press, 2008.
こちらで用意したテキストをコピーして使ってもらうので、各自購入する必要はない。
名和克郎
Annual Review of Anthropology 巻頭論文を読む
Annual Review of Anthropology誌の冒頭には、通例功成り名を遂げた大人類
学者による、多くは懐古的な色彩の濃い文章が掲載されている。これらの文章
を手掛かりに、英語圏を中心とした社会・文化人類学の歴史を再考すると共
に、この学問がかつて持っていた可能性、及び今後持ちうる可能性について議
論したい。M. Mead, R. Firth, M. Fortes, E. Leach, J. Goody, M.
Sahlins, C. Geertz, F. Barth, M. Strathernらの文章を検討する予定であ
る。
Strathernを読む
現代イギリスを代表する社会人類学者で、昨年までケンブリッジ大学の
William Wyse Professor of Social AnthropologyであったDame Marilyn
Strathernの業績を、具体的なテクストに沿って検討する。
真島一郎
共同体の喩法 − 贈与と給付のはざまから
マルセル・モースが用いた《prestation》の翻訳にまつわる問題は、主権と連帯の相剋に縛られながら近代共和政体の埒内、ことにその社会の場へと嵌入されるはずだった未生の共同体を想像することの問題に繋留される。経済倫理学の主題に継承されたいわゆる贈与の問題系と、20世紀型福祉国家が用意した給付の問題系とのはざま、つまりは《prestation》の内包に身を置きながら、本講義では、大塚やマルクスの「崩壊過程」論からホブズボーム、メイヤスーを経由し、ポスト・ユートピアへと到る20世紀的共同体の喩法を、ゼミ形式で再考する。
講義であつかうテクストは、各受講生の関心を尊重しながら開講時に定めることにする。
授業の評価方法 平常点による
関谷雄一
開発の合理性と文化相対主義
本授業では、主として発展途上国の社会開発において問題となる開発の合理性と文化相対主義との折り合いのつけ方の
困難性について考察する。途上国の社会開発の背景にある、歴史、文化、政治、経済、教育、保健衛生、産業、情報
コミュニケーション、紛争、環境、民族など、さまざまなカテゴリーでくくることのできる問題に取り組もうとする
とき、そこには開発が依って立つところの合理的根拠と、文化相対主義的視点に立ち戻ったときに見出される開発の
合理性に対する疑義との葛藤が必ず起こる。実践者として、あるいは研究者としてこの葛藤はこれまでどのように扱
われてきたのだろうか。開発と文化をテーマにした先行研究を取り上げながら、できるだけ客観的な開発と文化の分析
視点を養ってゆきたい。