ちょっと上の地図を見てください。左下に『明治十七年駒場農学校一覧』と記載してあります。駒場農学校は明治11年1月24日ここ駒場に設立、日本の近代農学発展の礎となった学校です。皆さんが毎日通っている教養学部(駒場Jキャンパス)は駒場農学校の敷地の一部を引き継いでいます。もう一度地図を見てください(地図は上が南になっています)。ぼくは現在の駒場の地図と見比べ、1号館時計台は地図の中央やや左上の化学用試験地と本邦農場の中間あたりかな、また敷地の中央を左上から右下に走っている道が銀杏並木(名称は弥生道)にあたるのかななどと推測して楽しんでいます。農学校の農場の多くは泰西農場、つまり西洋の農法を盛んに取り入れた教育がなされていたようです。右上の泰西農場は今は「駒場野公園」に、公園には農学校で教育と研究に情熱を注いだドイツの農芸化学者オスカー・ケルネル先生の名前が付いたケルネル田圃が残っています。右下の泰西農場は「駒場Kキャンパス」に、その左の植物園は「駒場公園」になっています。

 地図に描かれている3本の帯状の記号、左側に上下に1本、中央部に上下に1本それにやや上側に左右に1本、が気に掛かります。これは水の流れ、つまり川と池を表しています。坂下門から構内に入ると左手に流れている小川が中央部の上下に走る1本のようです。これらの水の流れは空川(そらかわ、現在は暗渠になっているとのこと)となり目黒川に合流、東京湾に注いでいます。

 駒場農学校の敷地がいろんな歴史を経て現在の駒場J・Kキャンパス、駒場公園それに駒場野公園となり、今も豊かな自然が保存されています。お天気のいい日、ピクニック気分で散策してみてはどうですか。

 話はかわりますが、4月24日(木)、25日(金)の二日にわたり進学情報センター主催のシンポジウム「私はどのようにして専門分野を決めたか」を開催します。プログラムはこの冊子の裏表紙に載っています。興味深い話が聞けると思います。是非シンポジウムに参加してください。(里見大作)


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