学科紹介

システム創成学科A〜F

システム創成学科の基本的な考え方

 21世紀に入り、すべての工学の対象に対して、多次元の問題解決力が要請されるようになってきました。これからは、これまで以上に多次元の問題解決力が必要な複雑な世界が広がっていきます。社会には多次元の問題解決力を総合化しないと「答え」が得られない「問い」が増えており、工学の目標が大きく変化しつつあるのです。複雑な広い分野でのシステムを対象にすることが求められています。すでに、環境や社会システムも工学の対象なのです。 システム創成学科は、以上のような基本理念に沿った専門教育を行い、未来を担う人材を育成するために誕生しました。今年度から、学科の理念を実行し、かつ、学生の多様な要望に対応するため、従来の4コースを6コースに改めました。

                          学科長 教授:縄田 和満

                          http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/


A:E&E  環境・エネルギーシステムコース

 環境・エネルギー問題は,21世紀に私達が直面している最も大きな問題のひとつです。人間の生活、経済活動に必要なエネルギー源をどのように確保していくのか。そのエネルギーをいかに環境と調和させて活用するか。本コースでは,先進的な科学技術の手法を駆使してこれら課題を解決し,同じく政策策定・技術経営ができる人材を育成することを目的としています。本コース教育が提唱するのは、社会にて分野横断・文理融合のリーダーシップを発揮できる技術者の育成です。いくつかの分野(枝葉)をまたがる学習は、とかく広く浅くとみなされやすいです。が、それらを統一する原理・原則(根幹)を俯瞰し把握できる可能性があります。一度根幹が理解できれば、他の枝葉を理解すること、さらにはそれらを創成することはさほど困難でありません。学際性と専門知識を備えた本コースの卒業生は,官庁,大学・研究機関,産業界,シンクタンクなど多様な分野に進んでおり,環境・エネルギー領域における独自の戦略をデザインし,豊かな社会システムの創造に取り組んでいます。

                         コース長 教授:上坂 充

                         http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/ee/


B:SIM  シミュレーション・デザインコース

 現在の科学技術が直面している問題は、多くの要素が複雑に絡み合っています。地球環境問題にせよ新製品の開発にせよ、物理学、化学、生物学、医学、気象学、地質学など個々の分野の知見を再「統合」し、システムとして再「構成」する力が必要になります。これらの複合的な問題を取り扱う最強の手段がシミュレーションです。個々の要素を結集しシミュレーションを用いて評価することで、細胞や脳の働きから地球規模の台風の動きまで理解することが出来ます。数多くの新しい発見が生まれ、大規模で複雑な問題の解決に繋がります。自然現象の探求に端を発したシミュレーション技術は、さらにアートの世界へもその応用範囲を拡大しています。いまや、映画やテレビゲームの豊かな映像表現にはシミュレーションによるコンピューター・グラフィックスが不可欠となっています。さあ、みなさんも、超高速処理、可視化、CGアートなど最新のシミュレーション技術を縦横無尽にあやつってみませんか。 

                         コース長 教授:岡本 孝司

                        http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/sim/


C:PSI  知能社会システムコース

 システム創成C(知能社会システムコース:PSI)は、専門技術に特化した従来学科の概念を超えるだけでなく、新しい文理融合型の教育を行っています。高度に知能化・情報化した21世紀社会は、従来の産業分野に固執することなく、新たな産業創出や政策立案ができるような人材が必要とされる社会です。システム創成C(知能社会システムコース)は、技術を基盤とする経営・政策のエリートや、技術経営を実践するエグゼクティブ・エンジニアやテクノ・マネージャーを養成するために設けられました。人間を含んだ複雑で大規模なシステムである社会システム、環境システム、行政システム、福祉システム、金融システムなどにおける複雑な問題を解決し、新たな社会システム創成の主役となれる、国際的にも活躍できる人材が求められています。本コースでは、このような人材を育成するためのカリキュラムを用意しています。やりがいがあるチャレンジングな問題に取り組みたい諸君を待っています。

                         コース長 教授:影山 和郎

                         http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/psi/


D:PID  知能設計コース

 最近、TVや新聞で「モノづくり」がよく話題にされます。バブル崩壊後の最悪の経済状態から日本を救った最大の救世主は、デジタル家電、オフィス機器、自動車などの「モノづくり」だったからです。企業は、熾烈な国際競争を勝ち残るために、「モノの情報化」と「モノづくりの情報化」を武器として、日々魅力的な新商品を創り続けています。こうした今日のモノづくりは、情報技術を手段として未知のプロダクトを創造するクリエイティブな作業、すなわち知能設計が中心となっています。本コースでは、新しいモノを構想し、それを形ある製品にするための知能設計を学びます。カリキュラムでは、情報工学や数理工学を重視しています。知能設計では、情報の収集と分析力、さらにモデル化とシミュレーションを行い最適化する能力が不可欠だからです。また、モノやモノづくりを知る基礎として必要な機械・制御・電子工学と設計・生産工学もカバーします。今日の社会では、環境対応、安全安心、ユニバーサルデザインといった多様で複雑な要求を、より高い次元で満足させることが求められています。本コースは、モノづくりに精通し、かつ情報技術や数理手法も駆使し、最先端の知能設計の場で活躍できる「スーパーエンジニア」の育成を目指します。 

                         コース長 教授:鈴木 宏正

                         http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/pid/


E:PIM  知能メカトロニクスコース

 我々の身近にあるデジタル家電、携帯電話、自動車から、最先端の産業用ロボットや医療機器まで、今日、日本の誇る製品は、ナノ・マイクロデバイスを駆使した高度な「機械技術」と、センサやコンピュータを駆使して製品を知的に動かす「情報技術」とにより実現されています。これらを支える中心技術が「メカトロニクス」なのです。メカトロニクスとは、機械・電気・光・情報技術の融合によって物体を精密に制御する技術です。1970年代に日本が提唱し、現在も我が国の重要な産業基盤の1つとなっています。知能メカトロニクスコースでは、機械・制御・計測・電子・情報工学を学び,さらに最先端のナノ領域計測・加工技術まで踏み込みます.今後のメカトロニクスの主体である,人間・生体系や,ユビキタスネットワークへの応用も学習します。デジタル世界と実体世界とを結ぶインタフェースとして、メカトロニクスの重要性はますます高まっています。ハードとソフトの両者に精通し,知能システムを創成する「21世紀のエンジニア」の育成を目指します。 

                        コース長 教授:佐久間 一郎

                        http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/pim/


F:DIS  数理社会デザインコース

 従来の工学では、建築物、材料、工業製品など形あるモノを作ることが興味の対象でした。しかし、システム科学の考え方は、工学で培われた数理的、科学的なモノ作りの手法が、社会組織、社会活動、社会制度といった、人と人とのコミュニケーションの在り方にも適用できることを示しました。そのような社会システムのデザインは、これまで主に経験的、定性的な原理を基礎に行われてきましたが、現代の複雑化、多様化した社会システムに対して従来型のアプローチに限界があることは明らかです。持続可能社会、安全・安心社会の実現など、現代社会が直面する多くの課題を解決するためには、工学的アプローチによる社会システムのデザインが必要とされています。本コースでは、人間社会を数理の眼で捉え、様々な分野で社会変革を主導していける人材を養成するために、複雑システムのモデル化とシミュレーション、人間行動科学、コミュニケーション、法工学など、伝統工学の枠にとらわれない科目構成で教育を行います。さらに、実体験を基礎としたプロジェクトベース学習やシステム化された演習、ディスカッションや英会話教育、インターンシップ等の実社会への準備的科目も取り入れています。このような教育カリキュラムを通して、人間、社会と向き合う技術者、研究者に要求される素養を磨き、技能を鍛えます。

                         コース長 教授:吉村 忍

                         http://www.si.t.u-tokyo.ac.jp/dis/


agc@park.itc.u-tokyo.ac.jp