教養学部が発足以来続いている進学振分け、今年度は55回目に当たります。今回の表紙は昭和32年度、48年前の進学状況の一部です。農学部、医学部、教養学部の様子それに全体の進学内定者数などを知ることができます。ちょっと見てみましょう。

 農学部で農化とあるのは農芸化学、現在の二類「生命工学」と「生命化学」の2つの専修がこれに対応しています。農化と同様、当時は人気学科だった林産は七類の「環境共生システム学」、「植物資源プロセス学」がその流れを受け継いでいます。最近、人気が落ちていますがなぜでしょう。畜産と獣医は一緒になり八類の「獣医学」となっています。人気の専修ですが48年前はそうでもなかったようです。

 変わったケースとして水産に内定していた2名が医学部に入学しています。これはY組といって進学振分け時に「医学科」以外に内定しておき、2年生の3月に医学科の選抜試験を受け、それに合格した学生です。Y組の定員は約20名でした。医学科X組は定員約40名、医学科のみを志望する学生のグループです。Y組と同じく選抜試験を受け、この年は35名が合格、5名が不合格です。不合格の場合を医退といい、多くは1年浪人し、次の年の選抜試験を受験することになります。医学科を目指すグループにはこの他にZ組というのもあり、なかなか複雑でした。しかし、昭和37年に理科3類ができ、X、Y、Z組は消滅しました。昭和32年度は進学決定者1981名に対し、落第は25名です。ちなみに昨年度の留年は133名、落第を留年と呼ぶようになったのは昭和40年度からです。

 ところで、今年度のシンポジウム「私はどのようにして専門分野を決めたか」の時に皆さんにお願いしたアンケートの中に「女性の教員の方に、女性であることの利益や不利益、そのことに関する意見を聞きたいです」との回答がありました。今回は講師のお一人、土方苑子先生にご寄稿をお願いしました。女子学生の皆さん、ぜひ先生の「研究で人生を考える」を読んでください。(里見大作)

 


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