液体窒素や液体ヘリウムの寒剤は、今日では多くの実験教育・研究において利用されている。教養学部(総合文化研究科広域科学専攻)でも、液体窒素の利用者は物理、化学および生物の全ての分野にわたり、実験系研究室のおよそ2/3に達している。図1は教養学部での年間液体窒素供給量の推移を示す。理系研究棟16号館低温施設が完成してからは、毎年10%近くの割合で増加している。最近では、液体窒素を寒剤としてだけでなく純粋窒素ガスを使う目的での需要も増し、その需要に対し同施設からパイプラインで各研究室に純粋窒素ガスを供給している。図2は教養学部での年間液体ヘリウム供給量の推移を示す。液体ヘリウムにおいては、最近の利用状況は急激な増加を示している。これまでの主なユーザーは物性科学での低温物性の研究者であったが、超伝導磁石や冷凍機の大型化での使用量が増大している。また、高分解能NMRなど液体ヘリウムを使用する各種分析装置や計算機、更に生体試料急速冷凍などこれまで液体ヘリウムに縁遠い分野の利用も増えている。教養学部では寒剤利用者に対し、日本の大学、研究所にはあまり見られない1日24時間、365日の供給体制を行っている。写真は、自動供給装置で液体窒素を供給している風景である。カード1枚で供給から事務処理まで一切を行っている。

教養学部 共通技術室 小田島 豊


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