専修紹介

 農学部 応用生物化学専修
     生物生産化学専修

大学院農学生命科学研究科
応用生命化学専攻
広報担当 教授 阿部 啓子

 両専修は、百年の歩みの中で"世界に冠たる"と謳われた農芸化学科が発展的に解消し、そこから生まれたいわば双子のような組織です。そして両者が共通の基盤とする学問はバイオサイエンスです。
 バイオサイエンスとは、動物、植物、微生物などの生物の生命の仕組みを、化学的に、生物学的に、しかもしばしば分子レベルで解明する学問です。
 最近のバイオサイエンスの発展は目覚ましいばかりです。それを可能にしたのは、遺伝子工学、細胞工学、酵素工学を支柱とするバイオテクノロジーの著しい進歩でした。こうして発展したバイオサイエンスは、さらに高度のバイオテクノロジーを次々と生みだし、社会に貢献しているのです。高度のバイオテクノロジーこそ、迫まりつつある食糧危機、エネルギーの枯渇、地球環境の破壊、そして健康の傷害といった社会の大問題を解決する本命なのです。
 両専修は、こうした目標をはっきりと視野に入れ、目標到達の基礎となる特色あるバイオサイエンスを展開しています。すでに画期的な研究成果が続々と生みだされ、国際的にも高く評価されているのです。21世紀の世界の最先端を行くであろう両専修で意欲的に学び、自己形成を試みんとする学生の皆様を、私達スタッフ一同は、心から歓迎いたします。
 ご関心のある皆様のために、両専修の内容を以下にQ&A形式で紹介します。

Q:両専修ではどのような教育が行われているのでしょうか。
A:両専修の学生は、主としてもともと1つの農芸化学科を形成していた教官団から教育指導を受けることになります。3年次の学生実験も1年間を通じて全く同様の教育を受けます。したがって、いずれの専修に進学しても同じような雰囲気・環境で過ごすことができ、また卒業後の大学院進学においては両専修に属する学生は全く同等の資格で同様の研究室を志望できます。2年次において自分の興味に合った専修を選択し、3年次終了時に卒論研究を行う研究室を選択し、4年次に大学院での研究を行う研究室を選択するという意味で、各段階における選択は両専修において全く共通と言えます。少し詳しく説明すると、両専修に進学してくると、3年次の学生実験のあと4年次に卒業論文実験を行うために各研究室に配属になります。各研究室は、大学院重点化により大学院の専攻名(応用生命化学専攻および応用生命工学専攻)と研究分野名で呼ばれます。両専修に属する学生が配属される研究室は、上記2専攻の他、応用動物科学専攻の1部です。卒業実験を行う研究室を選ぶ時点でも、両専修に属する学生は同様の資格で選ぶことができます。さらに大学院への進学においても、どの研究室で卒業実験を行っても応用生命化学専攻および応用生命工学専攻へは同様に進学できます。つまり、進学振り分けで「応用生物化学専修・生物生産化学専修」へ進学すれば、3〜4年次の学部、さらにはその後の大学院進学でもほとんど同じ条件、環境で教育指導が受けられるシステムになっていると言えます。

Q:応用生物化学専修と生物生産化学専修でカリキュラムにどのような違いがありますか。
A:学部便覧には「応用生物化学専修の学生は、応用生命科学過程(A類)の課程専門科目の中から最低22単位を、生物生産化学専修の学生は、生物生産科学課程(C類)の課程専門科目の中から22単位以上を取得しなければならない。」と書かれてあり、その点が両専修のカリキュラム上の違いとなっています。ただし学部便覧の表ー2を見てもわかるように、両専攻に関わりの深い課程専門科目を履修しようとした場合、所属している専修の課程専門科目のみでは卒業に必要な単位数には足りません。そこで、自分の所属する専修の課程専門科目を11科目22単位分は履修して、残りは表ー2の全ての科目から自分が興味ある科目を履修することをお勧めします。

Q:3年生になると実験が忙しそうですが、クラブ活動やアルバイトの両立は可能ですか。
A:実験系の学科はどこも似たようなものだと思いますが、確かに月曜から金曜までの午後は学生実験でつぶれることが多くなります。しかし、多くの学生が運動系のクラブ活動と両立させていますし、アルバイトをしている学生も多くいます。その辺の要領は先輩に聞いてうまくやってください。

Q:進学するときに、まだはっきりと進路が決められずに、広くバイオをやっているらしいこの専修を選びました。卒論の配属先はどのように決めたらよいでしょうか。
A:両専修に進学する時点では、皆さんの専門や将来の進路がまだはっきりと決まっていないのも無理はありません。しかし、4年生にもなりますと、少なくともおおよそどの方向に進むかといったことは考えておかなければなりません。卒論でどの研究室に行くかはその点でかなり重要な選択ですから、両専修に進学が決定した段階から、様々な機会を捉えて情報を集め、自分の興味を引くような分野の教官や先輩のお話を聞いておくのも大切なことです。コンパや3年生の学生実験の時など、そのチャンスはいくらでもあるはずです。

Q:卒業生達の進路はどのようですか。
A:学部卒業前、大学院修了前には、多くの方面から求人募集があり、募集状況は全ての学生に公開されますので、自分自身で希望就職先を決定し、就職活動を行うことになります。先輩達の就職先は、幅広い業種にわたっており、みなさんが学んできた学問が実社会でも大いに役立っていることを再確認することになります。
 平成7年度は、81名の学部卒業者のうち、69名が大学院修士課程に進学しています。修士課程への進学者が多いのはここ数年の傾向です。就職先は主に企業の研究所、公立の研究機関などです。
 大学院修士課程修了者80名については30名が博士課程に進学しています。就職先は、食品及び薬品系企業の研究所が多いようです。公務員試験に合格後、国立の研究機関で研究に従事する場合もあります。
 大学院博士課程修了者については、研究者になるために進学しているため、多くが大学の助手、海外または国内での博士研究員(ポスドク)、研究機関の研究員になっています。また、学術振興会特別研究員に採用され、3年間ポスドクとして研究に従事する場合もあります。

○進学相談
 電話(03)3812ー2111
  専攻主任 森  敏  内線5106
  専攻主任 堀之内末治 内線5123
 ホームページ
  http://www.bt.a.u-tokyo.ac.jp/