学科紹介
工学部  材料系学科
     (材料学科/金属工学科)
     専攻長  教授 梅田 高照

 我々が暮らす”社会”というフィールドで、”材料”、”情報”、”エネルギー”をダイナ
ミックに組み合わせ、社会活動を支えてていく学問、”工学”。今世紀も残すところわずかに
なった現代、突然現われた”世界規模での大競争時代”と”地球環境/資源の限界”。これら
”国家規模でのバリアフリー社会”と”地球規模での環境/資源の明白なる境界条件”の出現
は、”21世紀の工学”における、物理、化学、生命科学といった自然科学のたんなる応用にと
どまることのない、社会科学、人文科学的アプローチをも含めた新しいパラダイムの創生の必
要性を我々全大学人(勿論、あなたがた学生諸君にも)に投げかけています。最近多くの分野
で注目されている”複雑系の科学”の誕生もまたこの時代の風にのって誕生したものでしょう。
このような時代の要請に、”工学”の3つの大きなファクターの中の一つである”材料”を通
じて応える学科群、それが我々の材料系学科(材料学科、金属工学科)なのです。

 18世紀からの第1次産業革命のトリガーとなった蒸気機関の発明、鉄道、それに続く近代
機械の著しい発展を支えたのが鉄鋼材料でした。以降、電気技術と銅材料、航空機技術とアルミ
ニウム材料など新しい重要技術には常に基盤となる材料が存在してきました(言い古された言
葉ですが、正に、”材料が技術を制する!”)。さらに、第2次産業革命、マルチ情報化時代の
現代もまた、シリコン材料に代表される半導体材料/デバイス、ガラス材料に代表される光フ
ァイバー材料、稀土類金属に代表される超磁性材料などの新しい材料がブレークスルーとなっ
た技術革新がつくりだしたものです。 そして21世紀の技術革新に向けて、ファインセラミ
ックス、ニューガラス、超伝導材料、自ら判断して行動するインテリジェント・マテリアル、
ダイヤモンドをはじめとする極限材料、新クリーンエネルギー開発、ノン・ガソリン自動車の
実用化の鍵をにぎる太陽電池材料/燃料電池材料/水素吸蔵材料/リチウム電池材料、宇宙開
発のキイテクノロジー耐環境複合材料、環境に適合したエコマテリアルなど、今や新たな材料
と製造プロセスの開発の時代に突入しています。

 我々の東大・材料系学科は、多くの諸外国の大学の客員教授経験者からなる現スタッフによ
り、インターナショナルな研究活動を進めており、世界的の材料科学/工学の一大センターに
数えられ、多くの外国人教授、学生であふれています。そしてなにより、次のような3つのコ
ース別の教育を通じて、鉄鋼、金属、半導体、セラミックス、ガラス、ポリマー、液晶などの
多様な”材料”という視点から未来社会を切り開いていく仲間の誕生/育成に励んでいます。
(A)材料物理コース 材料の物理、即ち、物質のもつ性質をいかに材料の特性として利用す
るかを念頭に、(1) 物質の電子・原子構造に基づいた物性解明。(2) メゾスコピック構造と材料特
性との相関の究明などを行っています。
(B)材料設計コース 基本となる諸物質から出発して、性能的/経済的/環境的/社会的な
立場から要求される多様な機能を満たす材料をいかなる設計思想で作りあげるかを、物理/化
学/生命科学といった自然科学的手法にとどまらず、環境/資源/社会/倫理/アメニテイー
といった総合的な視点から取り組んでいます。
(C)材料プロセスコース 材料の実際の作製プロセスの設計/開発に主眼をおき、超高温/
強磁場/超高圧/無重力場/ナノスケール超微小領域などの超時空間の極限場を利用したプロ
セスの研究などを行っています。

本学科に興味をもった学生諸君の、工学部案内/学科見学会/インターネットのホームページ
(http://fox.mm.t.u-tokyo.ac.jp)などを通じた、本材料系学科の概要、教官紹介、研究室紹介、
研究施設紹介、講義内容紹介、進路先紹介などの詳しい情報へのアクセスをお待ちしています。

* 進学に関する相談・問い合わせは
  電話03(3812)2111
   内線 7120  梅田 高照 まで
  ( E-mail : umeda@mm.t.u-tokyo.ac.jp )