進学情報センター紹介      

教養学部 進学情報センター

 波田野 彰

 進学情報センターについては教養学部報やその他便覧、「進学ガイダンス」などにも記述されているが、新入生のためにもう少し具体的に紹介しよう。

 東京大学は大変広い範囲にわたる学問についての研究教育を行っている文字通りの総合大学であり、諸君はこれを発展させていく一員として迎えられたのである。しかしこのような広範囲の学問分野に関しては諸君の知識ほあまりにも乏しいと思われる。

 このような状態での諸君を迎え入れる教育制度として、前期(教養)課程を設けて、そこで幅広い学習を通じて人格を高めると共に、広い視野の基に各自の適性を見いだし、学問の発展に寄与する専門分野に進んでいってもらう、という教養課程重視が東京大学のプリンシプルであり、これは全学的な合意となっている。

 つまり、本学では前期課程での2年間が一区切りとして独立した学習期間となっている。ここでの学習を完成させて後、後期課程である専門の学部・学科に進学する。この専門への進学決定は前期課程1年半の時点でそれまでの学習の結果に応じてなされる。そして、2年間で前期課程で必要とされる単位を修得して修了させることによって前期課程が完了する。諸君はこの2つのことを完成させて専門学部・学科に進学できるのである。

 したがってこの1年半という期間は広範に各専門の学問の内容を知り、自分の特性を見いだすことによって、自分の将来の専門を決定しなければならないので、この期間の学習はたいへん重要である。

 ここにはいろいろな問題がある。まず、今までの学習から得られている範囲の知識では、本学の研究の専門分野についての内容を知るには余りにも貧弱である。そして、前期課程での履修すべきカリキュラムでも、それに関して十分に教育されるというわけではない。また、各専門分野ごとに受け入れの定員があり、そこでの選別は、評価基準は各専門により若干異なるものの、基本的には教養課程でのこの1年半の成績による。このように諸君の進路決定に関してはさまざまな重要課題がある。

 進学情報センターはこの進路選択の際に必要とする様々な情報を提供するための教育機関で一号館二階の時計台下に位置している。ここでは資料室を設けて、研究所も含めたすべての本学の研究教育情報を知ることができるように資料を収集している。そしてもちろん、諸君にとって最も気がかりな、進学振り分けの情報もいろいろな角度から調べられるようになっている。ここを利用することによって自分にふさわしい専門分野を探し出し、将来への跳躍台にして欲しい。

 はじめに階段を上った中央にある資料室の紹介をする。ここには8台のパソコンが設置されて、そこには本学の全ての学部・大学院における研究分野の検索、逆に専門分野からそれに関係する学部学科・大学院の検索、各学部・学科での受け入れ定員、受け入れ条件、過去にわたっての進学振り分け情報、及び進学に当たってのいろいろな注意事項やニュースなどがデータベースとして入っている。

 さらに、これらのコンピュータは進学情報センター専用のサーバとしてのコンピュータに接続されていて、そこに格納されている本学のほとんど全ての講師以上の教官一人一人に就いての研究教育に関わる情報を引き出すことが出来るようになっている。このコンピュータによる情報の利用方法は誰にでも容易に行えるように、そのためのマニュアルが用意されているので、コンピュータが始めての人でもすぐに使うことができる。

 ただ利用に当たって、データの利用は資料室内に限られること、したがってプリンタによる利用は出来ないこと、情報検索以外の目的での利用は出来ないこと、データの改懺等をしてはならないこと、などこの利用方法に関してはいくつかの常識的な制限がある。これらのことは守ってもらう。

 このコンピュータでは、進学振り分け時の希望者数とその人たちの成績に関する情報がよく利用されている。これは過去8年分ぐらいの情報が入っているが、特に一昨年度(平成6年度)からのデータは振り分け制度が大幅なカリキュラム変更と相まって、大きく変更されたので、過去とは異なる新しいデータとなっている。これらをいろいろな角度から知ることができるように、コンピュータに入力されている。

 また、上述の進学に関する注意点や時々のニュースなども、コンピュータに「掲示板」というファイルとして入力されているので覗いておくとよいであろう。

 最近は大学院に進学することを前提条件に進路を決めようとしている場合がたいへん多くなっているので、大学院の情報も重要である。そこで、専門の学部・学科の情報だけでなく、大学院の情報も同様に検索できるようになっている。いま、東京大学は全学的に大学院重点化による大幅な変革期にあり、年ごとに機構が変化しており、従って大学院に関する情報は複雑を極めている。しかし、ここでは諸君に必要と思われるデータをできるだけ的確に情報提供するように、ファイルを更新している。

 また、コンピュータシステムのほかに、資料室では掲示によってその時々の関心のあるニュースなどの情報も提供している。それらは、例えば各専門学科への応募状況やそこでの成績分布、各専門学科の担当教官、進学に関係したお知らせ、などである。

 そのほか資料室には各学部の便覧や授業時間割、講義内容、各学部や学科が作成したパンフレットなどが自由に閲覧できるように揃えてある。またビデオの設備もある。

 なおこの最初のページにも示したようにこの資料室に新しいコンピュータシステムが導入された。今ほまだそこにはデータが入力されていないので利用できないが、何れ利用可能となるであろう。

 ともかく資料室の開いている時間内(月−金9:30−4:00)であれば自由に利用できるので、空き時間などにコンピュータを操作してみることをお勧めする。

 以上資料室の紹介をした。

 進学情報センターではこの「進学情報センターニュース」を本号(第13号)まで年に3回(4月、進学振り分けの時期の7月と9月)の割合で発行を続けてきている。これは発行時の最新の情報提供の他に、専門学部・学科と諸君とのコミュニケーションの活性化を図ることを目的としている。ここには「進学ガイダンス」とは違った切り口で、各学科や学部についての紹介や諸君への要望などが取りあげられ、進行中の変革も適宜解説している。これまでに発行してきたものにはQ&Aコーナーもあり、そこには学生からの質問のうちで一般性のあるものが取り上げられ、その回答が載せられている。履修や進学振り分けに関して、配布された資料では分かりにくい事項についても取り上げられている。資料性の高いこれまでのバックナンバーは資料室で閲覧できる。進学情報センターニュースでは進学振り分け調査の集計結果も掲載することになっている。発行の都度、進学情報センター、教務課、正門脇で自由にとれるような形で配布している。

 進学情報センターでは学生諸君に学科の見学を勧めている。資料だけではわからない学科の雰囲気なども進路の選択においては重要な条件となるので、ぜひ自分自身で体験してくることを勧めたい。百聞は一見に如かずである。本号の5ページの進学に関わるスケジュールにあるように五月から六月上旬にかけて開催される各学部のガイダンスが行われるが、それらが終わった時期以降から夏休み前までに、多くの学科で学科見学会が行われる。最近では学科側が率先して計画し、引率などすべて行う場合もあるが、多くは進学情報センター経由で行う。進学情報センターや教務課の掲示板で参加者を募集するので、希望者は所定の期日までに進学情報センターに申し込むことになっている。掲示に注意してほしい。参加者の名簿を前日にファックスで見学先の学科に送っているので、参加出来なくなった場合には必ず進学情報センターまたは学科の担当教官に連絡して欲しい。見学の開始時間は、科目の選択の幅が広くなっているため、学生が多くの科目を履修しているので、遅くせざるを得ず、午後5時からという場合も多いので注意してほしい。なお、計画にない見学希望学科があれば早めに進学情報センターまで連絡してほしい。

 これに関連して、文学部では例年自由に専門講義が聴講できる「オープンハウス」が特定の期間設定されている。これについては学部ガイダンスの際や進学情報センター資料室での掲示などに注意してほしい。

 進学情報センターでは毎年進路選択の参考に資するためにシンポジウムを開催している。前述のように本学では研究領域が広範囲に亘っており、類似の分野の研究がいくつかの学部、学科で行われている。そこで、学問の生きた姿を知ってもらうためにこのシンポジウムでは、あるテーマを設定して、それに関連のある学部からの講師が一堂に会して、それぞれの研究の観点、対象、方法などについて述べ、議論してもらう。毎年その内容は非常に充実したものであり、今までの勉学からは得られない学問研究の一線での様子が窺い知れるまたとない機会である。参加した各学部について比較することもでき、進路を決める学生諸君にとって有意義なシンポジウムである。別記のように、今年は5月24日(金)の午後に3つのシンポジウムを同時に開催する予定になっている。その日は五月祭前日で午後からの授業は休講になるので、進路決定を迫られている2年生ほもちろん1年生の参加もおおいに歓迎する。多くの学生諸君がこのシンポジウムに参加してくれることを願っている。

 進学情報センターは進学やそれに関連する履修の問題についての個人的な進学相談にも応じている。飛び込みでの相談が大変多く、それにも応じているが、原則として予約制をとっている。進学相談の申し込みは教務課の窓口で受け付ける。面接を希望する日時を第三希望まで書くようになっている。日数の余裕をもって申し込んでもらいたい。調整をして最終的な日時が決まるので、教務課の窓口には2度行ってもらうことになる。

 以上進学情報センターの概要を述べたが、まず資料室に来てコンピュータを操作してみるようにお勧めする。進学情報センターの情報をフルに利用して最適な進路を見出して欲しい。


agc@park.itc.u-tokyo.ac.jp