現代の生命科学では、構造解析と遺伝情報解析が研究の中心になっている。前者では、蛋白質などの構成分子がいかに集積して一つの構造体を形成しているか、その基本原理を統一的に理解することが重要な課題であり、後者では蛋白質の設計図である遺伝情報の比較解析、あるいはその改変が課題となっている。両者共に分子レベルの研究が先行しているが、構造・遺伝情報をさらに上の階層にある細胞レベルで解析し、細胞の構築原理を見出すには両者を一体化した解析システムが必要となる。この目的のために基礎科学第一(生体計測学講座)では、多岐にわたる情報を高速度で処理できる高機能コンピュータ、一つの細胞の構造を三次元的に観察できる万能倒立顕微鏡、その画像解析のためのソフトウェア、遺伝情報の分析ならびに既存の遺伝子情報との比較解析な可能なソフトウェア等から成る総合的解析システムを構築した。高度な画像解析システムで複雑な生命情報を視覚化することにより実感的な研究・教育の方向を打ち出させるものと期待している。

(教養学部 基礎科学第一 永山国昭・深田吉孝)


agc@park.itc.u-tokyo.ac.jp