半導体その他固体の微細加工を行う装置で、電子顕微鏡とコンピュータによる画像制御部の組み合わせと考えればよい。伝統的な光によるリソグラフィーの分解能限界を越え、可視光の波長よりずっと小さな分解能(200nm以下)で任意の二次元的なパターンが描ける新鋭装置である。基礎科学科第一(小宮山研究室)に最近設置され、微細構造中の量子力学的現象の解明に関して数々の研究成果を出している。

 原子・分子(ミクロ)よりは大きいが、日常的サイズ(マクロ)より遥かに小さな、いわゆる“メソスコピック系”の物理学は、現代科学の基盤としている量子力学の、未だその多様性を解明し尽くせていない側面に、直接的手段により迫ろうとするものである。本装置は、最先端の技術を駆使して現代科学の最も基礎的問題に迫ろうとする基礎科学科第一の研究・教育の行き方の一端を現す好例であろう。


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