2025年 夏学期 第7回 物性セミナー
講師 北村 泰晟 氏 (理化学研究所 創発物性)
題目 量子凝縮相における量子幾何学 -平坦バンド系から分散バンド系へ-
日時 2025年 6月 27日(金) 午後4時50分-6時15分程度
場所 16号館 827 およびオンライン
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アブストラクト
周期結晶中のBloch電子の性質はそのエネルギー分散とBloch波動関数により特徴づけられる。従来、Bloch波動関数の性質はトポロジカル物質科学の文脈で研究が行われていたが、トポロジーを包含するより広い量子幾何学的な性質がBloch波動関数には内在しており、これが種々の物理現象に現れることが徐々に明らかになりつつある。量子幾何に関する初期の研究は主に輸送応答を対象としていたが、近年ではその対象は広がりを見せ、特に量子凝縮相に着目した研究が盛んに行われている[1,2]。平坦バンド系はエネルギー分散を持たないため、その量子凝縮相の物理は量子幾何により特徴づけられる。捻り2相グラフェンでは実際に平坦バンド超伝導が実現しており[3]、平坦バンド系での量子凝縮相は今や量子幾何学研究の1大分野である。しかしながら一般の分散をもつ系においては、量子凝縮相における量子幾何学の研究はあまり行われていない。例えばトポロジカル物質などはバンド縮退により非自明な量子幾何を有することが予想され、そのような系では平坦バンドを持たずとも量子幾何が量子凝縮相の物理を特徴付けることが期待される。本発表では、平坦バンドを持たない量子凝縮相における量子幾何学の研究に関して、その最近の進展である(i)鉄系超伝導体における量子幾何学[4,5](ii)量子幾何が誘起する有限重心運動量超伝導[6,7](iii)量子幾何が誘起する強磁性とその揺らぎによるスピン3重項超伝導[8,9]、の3つの研究を紹介する。
参考文献:
[1] P. Törmä, Phys. Rev. Lett. 131, 240001 (2023).
[2] J. Yu et. al., arXiv:2501.00098. (2025).
[3] Y. Cao et. al., Nature 556, 43 (2018).
[4] T. Kitamura et al., Phys. Rev. B 103, 245114 (2021).
[5] T. Kitamura et al., Phys. Rev. Research 4, 023232 (2022).
[6] T. Kitamura et al., Phys. Rev. B 106, 184507 (2022).
[7] T. Kitamura et al., Phys. Rev. B 107, 214513 (2023).
[8] T. Kitamura et al., Phys. Rev. Lett. 132, 036001 (2024).
[9] T. Kitamura et al., arXiv:2505.01089 (2025).
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最終更新時間:2025年05月24日 12時11分23秒