2025年 夏学期 第2回 物性セミナー
講師 川野 雅敬 氏 (東大総合文化)
題目 強相関電子系における非平衡緩和ダイナミクス
日時 2025年 5月 9日(金) 午後4時50分-6時15分程度
場所 16号館 827 およびオンライン
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アブストラクト
非平衡ダイナミクスは通常、初期条件や系の詳細に依存した複雑な振る舞いを示す。しかし熱平衡状態への非平衡緩和ダイナミクスは例外的に、系の保存則のみで定まる普遍的な振る舞いを示すことが知られており、特に近年は冷却原子系で実現可能なダイポール保存則による異常拡散ダイナミクスが盛んに研究されている[1-3]。ダイポール保存則は人工的に電荷の移動に強い拘束条件を課すことで実現するが、我々はこのような拘束条件が強相関電子系において極めて自然に現れることに着目した。強い電子相関の下では電子は単独で動くことはできず、電子相関によるエネルギー損失を最小化するよう必ず他の電子と協調して動く。この拘束条件により隠れた保存則が現われ、非平衡緩和ダイナミクスを大きく変えることが期待される。そこで本研究では、カゴメ格子拡張ハバード模型の強相関極限における非平衡緩和ダイナミクスをセル・オートマトン回路模型と場の理論を用いて解析した。その結果、強い電子相関由来の隠れた保存則が非従来型の電荷およびスピンの非平衡緩和ダイナミクスをもたらすこと、それが動的構造因子中の特徴的なドーム構造として現れることを明らかにした[4]。本セミナーではこの結果の詳細を紹介する。
参考文献:
[1] A. Gromov et al., Phys. Rev. Research 2, 033124 (2020).
[2] J. Feldmeier et al., Phys. Rev. Lett. 125, 245303 (2020).
[3] A. Morningstar et al., Phys. Rev. B 101, 214205 (2020).
[4] M. Kawano et al., Phys. Rev. B 109, L121111 (2024).
宣伝用ビラ
KMB20250509.pdf(27)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2025年05月02日 17時27分13秒