2025年 夏学期 第5回 物性セミナー
講師 新居 陽一氏 (慶応大理工学研究科)
題目 表面弾性波の非相反性とトポロジカル伝搬
日時 2025年 5月 30日(金) 午後4時50分-6時15分程度
場所 16号館 827 およびオンライン
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アブストラクト
物性物理の主要なテーマとしては、超伝導、磁性、強相関電子系が挙げられ、これらは主に電荷やスピンが重要な自由度とされ着目される。一方で、格子自由度およびそのダイナミクスであるフォノンは、これまで脇役として位置づけられ、限られた分野で研究されてきたように思える。しかし近年、フォノンのホール効果[1]やカイラルフォノン[2]といった新たな現象・概念の発見により、フォノン物性への注目が高まり、急速に研究が進展している。このような流れの中で、表面弾性波(surface acoustic wave: SAW)と呼ばれる一種のフォノンは、そのユニークな物理的性質と、優れた実験プラットフォームとしての利点から、スピントロニクスや量子技術といった分野においても関心を集めている。本セミナーでは、まずSAWがもつ角運動量に注目し、それが磁性体中のスピン角運動量と結合することで生じる非相反な伝搬[3]や、我々が最近見出した非相反回折現象[4]について紹介する。さらに、SAWと人工格子との相互作用を通じて実現されるトポロジカルな伝搬現象[5]にも触れる。これらは、角運動量という内部自由度と空間構造の設計が組み合わさることで現れる、フォノンの新たな可能性とも言える。
参考文献:
[1] C. Strohm, G. L. J. A. Rikken, and P. Wyder, Phys. Rev. Lett. 95, 155901 (2005)
[2] L. Zhang and Q. Niu, Phys. Rev. Lett. 112, 085503 (2014)
[3] R. Sasaki, Y. Nii, Y. Iguchi, and Y. Onose, Phys. Rev. B, 95, 020407(R) (2017)
[4] Y. Nii, K. Yamamoto, M. Kanno, S. Maekawa, Y. Onose, Phys. Rev. Lett. 134, 027001(2025)
[5] Y. Nii and Y. Onose, Phys. Rev. Applied., 19, 014001 (2023)
宣伝用ビラ
KMB20250530.pdf(31)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2025年05月23日 18時56分41秒