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物性セミナー/2023-5-19

2023年 夏学期 第1回 物性セミナー

 講師 石塚 大晃 氏(東工大理学院)

 題目 量子効果がもたらす磁気輸送現象と非線形応答

 日時 2023年 5月 19日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827 およびオンライン

オンライン参加の方へ:

・物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。

・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。

アブストラクト

磁性体中でみられるスキルミオンなどの様々な磁気状態は、マルチフェロイクスや異常ホール効果、非線形伝導などの多彩な物性を生じる。これらの現象は、スピンのカイラリティや、ベリー位相、多重散乱などの多彩な物理と関連しており、加えてスピントロニクスなどへの応用の可能性もあることから、近年盛んに研究されている。また、MnSiなどの関連物質が多く存在し、理論だけでなく実験的にも盛んに研究されてきた。特に輸送現象の観点からは、スカラー・スピン・カイラリティ(あるいはスピン・ベリー位相)と関連したホール効果[1,2]が長年研究されてきたが、最近でもベクトル・カイラリティと関連した輸送現象[3,4]や磁気揺らぎによる非線形応答[5]などの新しい提案・発見があるなど多くの進展がみられる。

セミナーでは電気伝導を中心に磁性体でみられる新奇な輸送現象について説明し、我々の最近の研究について紹介する。特に、最近盛んに研究されている、磁気構造とスピン軌道相互作用の協奏効果による電気伝導について議論する[4,6,7]。スピン軌道相互作用の効果を考慮しない場合と異なり、スピン軌道相互作用を考慮した場合には、従来のスピン軌道相互作用がない系では禁止されていた散乱過程が生じ、これらが非従来型の輸送現象を生じる可能性が議論されている。中でも、我々は最近、多重磁気散乱の効果が磁気モノポールと関連した異常ホール効果を生じることを提案した[11]。また、結晶の対称性から、ラシュバ系などではモノポール項以外の効果が強く制限されることがわかった。これらの結果は、磁気構造とスピン軌道相互作用の協奏効果が引き起こす多彩な現象を明らかにするとともに、これまで電気的検出が難しかった磁気状態の測定方法としての応用可能性もある。

[1] J Ye et al., Phys. Rev. Lett. 83, 3737 (1999).

[2] K Ohgushi et al., Phys. Rev. B 62, 6065R (2000).

[3] HI et al., New J. Phys. 20, 123027 (2018).

[4] F R Lux et al., Phys. Rev. Lett. 124, 096602 (2020).

[5] HI et al., Nat. Commun. 11, 2986 (2020).

[6] T Yokoyama, Sci. Rep. 11, 12065 (2020).

[7] S-S. Zhang et al., Phys. Rev. B 101, 024420 (2020).

[8] J. Mochida et al., arXiv:2211.10180 (2022).

宣伝用ビラ

KMB20230519.pdf(42)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

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最終更新時間:2023年05月09日 20時36分58秒