!!!2023年 冬学期 第1回 物性セミナー !!講師 中川 尚子氏 (茨城大学理工学研究科) !!題目 熱伝導下相共存の大域熱力学 !!日時 2023年 11月 17日(金) 午後4時50分 !!場所 16号館 829およびオンライン {{color red,(注)今期はいつもの827ではなく、829です}} オンラインで参加される方へ: ・オンライン参加の方へ:物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。) 登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform !アブストラクト 非平衡現象の面白さは局所構造の豊かさにあるが、この局所構造に立ち入らずに系全体を粗視化し、熱力学構造の非平衡拡張を行う。この非平衡熱力学を「大域熱力学(Global Thermodynamics)」と呼ぶ[1]。弱い熱流をかけた熱伝導系は温度的に非一様であるが、熱伝導状態を特徴付ける温度として、唯一の大域温度を導入する。他のさまざまな大域熱力学量は局所熱力学に則って自然に導入可能である。この上で変分原理や熱力学基本関係式を整える。一見、局所平衡にある系を粗視化しただけのようだが、二相共存状態では、相界面付近の広い領域で「準安定状態」が安定化される結果が導かれる。このような状態は局所平衡仮説では不安定とされるため、大域熱力学は局所平衡仮説(流体力学)とは異なる非平衡定常状態を予想している。この予想をHamiltonian-Pottsモデルを用いた大規模な数値実験で検証したところ、熱伝導下の秩序=無秩序相の共存状態では大域熱力学予想が支持された[2]。 本講演では大域熱力学の導入、エントロピーや自由エネルギーの非平衡拡張と相加性の破れ、準安定状態の安定化、大域熱力学の熱力学的等価性など、現状の大域熱力学が導いている内容について、時間が許す範囲で説明する。 [1] N. Nakagawa, S.-i. Sasa, Phys. Rev. Lett. 119, 260602 (2017), J. Stat. Phys. 177, 825–888 (2019), Phys. Rev. Res. 4, 033155 (2022) [2] M. Kobayashi, N. Nakagawa, S.-i. Sasa, Phys. Rev. Lett. 130, 247102 (2023) !宣伝用ビラ {{ref KMB20231117.pdf}} !物性セミナーのページ http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar