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物性セミナー/2022-8-5

2022年 夏学期 第10回 物性セミナー

 講師 家永 紘一郎 氏(東工大理学院)

 題目 熱電効果測定で探る2次元超伝導体のゆらぎと量子臨界現象

 日時 2022年 8月 5日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827 室(対面)及びZoom (オンライン)

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アブストラクト

2次元超伝導体では,超伝導秩序変数の振幅や位相が量子的にゆらぐことで生じる未解明な現象が多く存在する.例えば,磁場誘起の超伝導-絶縁体量子相転移や, 両者の相の間に出現する非自明な金属状態などが観測されており,量子的な位相ゆらぎが起源とされている.また,量子的な位相ゆらぎによる電子対の局在化(ボース絶縁体)も予言されており,未だに議論されている.しかし,薄膜試料に対する極低温の実験手法は限られており,電気抵抗測定を超えた実験がほぼ実施されていないことがこれらの解明を阻んできた.

そこで我々は,超伝導秩序変数のゆらぎに敏感なプローブである横熱電効果(ネルンスト効果)測定を用いた研究を展開している[1,2].厚さ12 nmのアモルファス超伝導体MoxGe1-xの薄膜に対して0.1 Kの極低温域まで測定した結果,電気抵抗測定では区別が難しい電子散乱の効果と渦糸運動(位相ゆらぎ)の寄与を分離検出することに成功し,20年来の未解決問題であった,絶対零度における非自明な残留抵抗の起源が「絶対零度でも凍らない,量子ゆらぎによる渦糸液体」であることを突き止めた.さらに,この量子液体状態が量子臨界点に特有のエントロピー異常を示すことを見出した.当日は量子的な振幅ゆらぎに関する最新の結果についても紹介する.

[1] K. Ienaga, T. Hayashi, Y. Tamoto, S. Kaneko, and S. Okuma, Phys. Rev. Lett. 125, 257001 (2020).

[2] 家永紘一郎,大熊哲 固体物理 55, 723 (2020).

宣伝用ビラ

KMB20220805.pdf(54)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

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最終更新時間:2022年07月22日 18時55分57秒