!!!2022年 冬学期 第1回 物性セミナー !!講師 岩切 秀一 氏 (ETH Zürich, Nanophysics group) !!題目 魔法角ねじれ二層グラフェンにおける超伝導量子デバイス !!日時 2022年 10月 21日(金) 午後4時50分 !!場所 Zoom によるオンライン開催 ・物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。 ・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。 !アブストラクト 炭素原子の一層からなるグラフェンは、バンドギャップのない線形なバンド分散(ディラック分散)を持つ。そのキャリア密度、ひいてはフェルミ面は、試料にゲート電極を取り付け、微小なトランジスタ構造を形成することで制御できる。さらに、グラフェンの物性は層数によっても大きく変わる。二層グラフェンは放物線的なバンド分散を持つ。しかも、そのバンドギャップは面直の電場によって制御可能であるため、電子にとってのポテンシャル障壁がデザインできる。こうした物理的な面白さと、実験的な利点が相まって、グラフェンおよび二層グラフェンの物性は非常に盛んに研究されてきた。中でも、二層グラフェンでは、ゲート電極のデザインを工夫することで、量子ドット、量子ポイントコンタクト、Aharonov-Bohmリング[1]など、多彩な量子デバイスが実現されてきた。  さらに近年、グラフェン二枚を積層する際に、天然の積層配置ではなく、人の手によって面内方向に回転させてから積層する、という新たな自由度が発見された。中でも、特定のねじれ角をもつ「魔法角ねじれ二層グラフェン(Magic Angle Twisted Bilayer Graphene; MATBG)」においては、キャリア密度によって、超伝導や強相関絶縁相といった多彩な物性が発現することが発見された [2]。それらの発現機構は、未だに謎が多く、理論・実験の両面から、今まさに活発な研究が繰り広げられている。  我々は、MATBGが、ゲート電極によって物質相自体を制御できる点に注目し、新奇な超伝導デバイスを実現することを目指している。中でも、超伝導におけるSQUIDやLittle-Parks振動といった量子振動を測定することは、クーパー対の対称性やひいては超伝導の発現機構を明らかにする上で有力な手段となることが期待される。本講演では、MATBGにおいて量子干渉計をいかに実現するかについて、SQUID素子 [3]および超伝導リングを対象とした我々の研究を紹介する。なお講演では、本分野になじみのない方に向けて、基本的な概念や、試料作製のあらまし等についても解説する。 参考文献 [1] S. Iwakiri et al., Nano Letters 22, 15, 6292-6297 (2022) [2] Y. Cao et al., Nature 556, 43-50 (2018). [3] E. Portoles, S. Iwakiri et al., Nature Nanotechnol. accepted (2022). arXiv:2201.13276 !宣伝用ビラ {{ref KMB20221021.pdf}} !物性セミナーのページ http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar