!!!2020年 冬学期 第5回 物性セミナー !!講師 中 惇 氏(早稲田大学高等研究所) !!題目 有機・無機反強磁性体におけるスピン流生成 !!日時 2020年 12月 18日(金) 午後4時50分 !!場所 Zoom開催 (一度登録された方、物性セミナーMLに登録されている方は、以下は必要ありません。)出席希望者は、予め登録をお願いします。登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。メールにてこちらからZoomアドレスをお知らせします。 !アブストラクト スピン流は電子が持つスピン角運動量の流れであり、電荷や熱の流れを伴わないことから、エネルギー損失が少ない理想的な電子デバイス中の情報キャリアとして注目されている。スピン流を応用するためには、まずこれを自在に作り出せる必要があるため、物質中のスピン流生成はスピントロニクスの中心的な課題の一つとなっている。その最もポピュラーな方法はスピンホール効果[1-3]とスピンゼーベック効果[4]であり、これらはそれぞれスピン軌道結合と強磁性磁化を起源とするため、スピン流生成の研究はこれまで重金属や半導体界面、強磁性体などを中心として行われてきた。 これに対して本講演では、反強磁性体を用いてスピン流を生成するメカニズムを理論的に提案する[5,6]。これは反強磁性秩序と結晶構造の対称性の協力効果によって生じ、スピン軌道結合と強磁性磁化をどちらも必要としないメカニズムであり、従来のスピンホール効果やスピンゼーベック効果とは本質的に異なる。具体的な反強磁性体の候補物質として、強相関電子系の“教科書的”な物質である有機導体κ-(BEDT-TTF)2X[5]ならびにペロブスカイト酸化物ABO3[6]に着目し、これらの物質系がスピン流生成に適した結晶構造と磁気的性質を有することを示す。 [1] S. Murakami, N. Nagaosa, and S. C. Zhang, Science 301, 1348 (2003). [2] J. Sinova et al., Phys. Rev. Lett. 92, 126603 (2004). [3] E. Saitoh, M. Ueda, H. Miyajima, and G. Tatara, Appl. Phys. Lett. 88, 182509 (2006). [4] K. Uchida et al., Nature 455, 778 (2008). [5] M. Naka et al., Nat. Commun. 10, 4305 (2019). [6] M. Naka, Y. Motome, and H. Seo, arXiv:2011.12459. !宣伝用ビラ {{ref}} !物性セミナーのページ http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar