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物性セミナー/2019-4-26

2019年 夏学期 第1回 物性セミナー

 講師 酒井 志朗 氏(理化学研究所 創発物性科学研究センター)

 題目 強相関電子系の動的電子構造

 日時 2019年 4月 26日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827

アブストラクト

強相関電子系は、遍歴・局在の二面性をもった電子の多体系であり、磁性や超伝導、金属絶縁体転移といった多彩な物性がその魅力である。遍歴性・局在性とは、場の量子論の言葉では、一粒子グリーン関数及び自己エネルギーの特異点(極)が低エネルギーに存在することと表現できる。そのため、強相関電子系の理解には、この二種類の極を同時に取り入れることのできる非摂動論的な理論が必要になる。 そのような非摂動論的方法の一つであるクラスター動的平均場理論を銅酸化物高温超伝導体の模型に適用すると、実際に高温超伝導や異常金属相が現れ実験結果とよく符号することが2000年代以降の様々なグループによる研究で分かってきた。そこでは、上述の二種類の極が低エネルギーに共存する興味深い電子状態が見られる[1]。特に自己エネルギーの極の存在は、バンド理論やフェルミ液体論、そしてBCS理論に取り入れられていない要素であり、それがモット絶縁体や擬ギャップ状態、そして高温超伝導状態をよく説明する。我々は、この自己エネルギーの極が、電子がフェルミオン的励起と混成した結果生じるものであることを示した[2]。また、このフェルミオン的励起がモット絶縁体に内在し、キャリアドープされたときに擬ギャップや高温超伝導を生み出す、という3つの状態の間の微視的関係を明らかにした[3]。

[1]S. S, Y. Motome, and M. Imada, PRL 102, 056404 (2009).

[2]S. S, M. Civelli and M. Imada, PRL 116, 057003 (2016).

[3]S. S, M. Civelli and M. Imada, PRB 98, 195109 (2018).

宣伝用ビラ

KMB20190426.pdf(185)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

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最終更新時間:2019年04月01日 15時08分30秒