!!!2018年 冬学期 第5回 物性セミナー !!講師 西尾太一郎 氏(東京理科大学理学部) !!題目 S波超伝導体を用いた分数磁束量子の生成 !!日時 2019年 1月 16日【水】 午後4時50分・・いつもと違う曜日に注意 !!場所 16号館 827 !アブストラクト MgB2などの超伝導体では2つのバンドで超伝導ギャップが開くことが知られている。このような超伝導体は2バンド超伝導体と呼ばれている。2バンド超伝導体では、通常見られるような電子間相互作用によるバンド内電子散乱の他にバンド間電子散乱(ジョセフソン相互作用)が存在している。このバンド間相互作用が小さい場合、2つのギャップは互いに交じり合わず、独立を保つため2つのオーダーパラメータが定義される。理論[1]によれば、バンド間相互作用が非常に小さい場合、ソリトン型のバンド間位相差が引き起こされる可能性がある。また、ソリトン生成に付随して分数磁束量子状態が形成されることもわかった。これは新奇な物理で応用などを考えたとき非常に興味をひかれる現象である。そこで我々は位相差ソリトンの観測と制御をめざし、2バンド超伝導体と等価な二重層構造をもつ超伝導薄膜をつくり、ソリトンのしるしとも言える分数磁束量子の観測を行った。  試料は、AlO層を挟んだ2つの薄いNbの薄膜からなり、上の層にあるピンホールにより磁束をトラップできるようになっている。Nbの膜厚は20 nmである。直径2 μmのピンホールは40 μmの間隔で中央部に並んでいる。走査型SQUID顕微鏡を用いて、試料に弱い磁場をかけることによって面内に生じた磁束量子を直接観察した。実験の結果、磁束の積分値がほぼ0.5Φ0である磁束量子を観測することに成功した[2]。実験の詳細、分数磁束量子であるかどうかの検証およびソリトンとのかかわり合いなどについてはセミナーで発表する予定である。本研究は、物材機構 有沢俊一氏、産総研 山森弘毅、柳澤孝、田中康資の各氏らとの共同研究である。 [1] Y. Tanaka, PRL 88 (2002) 017002. [2] Y. Tanaka, H. Yamamori, T. Yanagisawa, T. Nishio, S. Arisawa, Physica C548 (2018) 44-49. !宣伝用ビラ {{ref KMB20190116.pdf}} !物性セミナーのページ http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar