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物性セミナー/2017-1-20

2016年度 冬学期 第4回 物性セミナー

 講師 水野英如氏(東京大学総合文化研究科)

 題目 アモルファス固体の連続体極限における熱振動

 日時 2017年 1月 20日(金) 午後4時50分

 場所 16号館 827

アブストラクト

分子が格子構造上に配置している結晶では熱振動はフォノンとして記述でき、フォノンは連続体極限、すなわち低周波数極限において、連続体力学が記述する弾性波に収束する。では、分子がアモルファス(非晶質)構造上に配置しているアモルファス固体の場合は、その熱振動は連続体極限で弾性波に収束するだろうか?これが、本研究で解明したい問いである。

連続体極限では、熱振動の長さスケールが極めて大きくなり、物質の細かな構造を認識しなくなると期待できる。こう期待すると、結晶であろうとアモルファス固体であろうと、熱振動はともに弾性波に収束すると予測できる。その一方で、結晶とアモルファス固体の熱物性の違いは、1[K]以下の極めて低い温度域で既に存在する[1]。これは、熱振動の違いが、0.1[THz]以下の極低周波数域で存在していることを示唆する。このような極低周波数域は、通常(少なくとも結晶では)連続体極限に達しているとみなすことができるため、これはアモルファス固体の熱振動が連続体極限でも弾性波に収束しないことを示唆しているのではないだろうか?

我々はこの疑問を解明するために、コンピュータシミュレーションを用いて、実際に極低周波数域の熱振動モードがどうなっているのか、その観測を試みた[2]。極低周波数域にアクセスするために、100万粒子規模のシステムを用いた超大規模振動解析を実行した。本セミナーでは、アモルファス固体の熱振動が連続体極限において弾性波に収束するか?という問いに対して、我々が得た最新の研究成果を紹介する。

[1] W. A. Phillips, Amorphous Solids: Low Temperature Properties (Springer, Berlin, 1981).

[2] H.Mizuno, A.Ikeda, H.Shiba, L.E.Silbert, in preparation.

宣伝用ビラ

KMB20170120.pdf(224)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

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最終更新時間:2016年12月23日 17時09分30秒